† 傷口を抑えても血は噴き出し続けた †
「・・・痛ッ・・・っていうか、ヤバイなぁー」
荒業治療を施した身体から血が吹き出る感覚。
あーアジトまで行けるかな・・・
うん、頑張れ自分。
「とりあえず、塞がれ」
よし、傷は塞がったとみた。
流石私、荒業上等。
「あー・・・疲れた。しかも無駄足とか」
非常に残念。
自分の力過信しちゃ駄目だよねぇーうん。
言霊とあのリングじゃ・・・まぁ勝てるわけない。
「・・・ボロボロだね」
「あーそう思うなら是非連れて帰っていただけると助かるんですけどー」
正直歩くのもしんどいです。
荒業で傷塞いだからいつ血が吹き出るかもわかんないし。
とりあえず、意識手放したらアウト。
「いやだよ」
「そう言うと思ったー恭弥だもんねー」
うん、恭弥がそんなに甘くないことなんて知ってる。
結構長い年月を一緒に過ごしてきたんだからね。
まぁコートの下が傷だらけのボロボロだって気づいた恭弥もすごいけど。
「どうしたい?」
「え?」
「早く言わないと咬み殺すよ」
「えっとーじゃあ、あそこのイタリアンジェラートが食べたいです」
「はぁ?」
「いや、なんかお店出てるから気になって」
「・・・・・・味は?」
「任せる」
私がそう言えば恭弥は私が指差したイタリアンジェラートのお店に直進。
本当に買ってきてくれる模様。
我ながら暢気だと思う。
コートの下は大変なのことになってるっていうのにイタリアンジェラート食べようとしてるあたりが。
「はい」
「ありがと。あーなんか美味しそう」
恭弥のチョイスは割といいほうだと思う。
っていうか、基本的にチョコとバニラとストロベリーの三種をトリプルで用意してくれる。
だからいいんだよねぇー。
「んー美味しい」
「で、今からどうする?」
「そうだなぁー流石にイタリアンを食べて帰るのは無理があります」
コート脱げないし。
正直、カナリ傷が痛いし。
てか、私としてはいつ血が吹き出てくるか心配です。
流石にこんな街中で血を吹き出したくはないです。
「本当に馬鹿だよね」
「あーうん、今日だけは認めちゃう」
「・・・・・・珍しいね」
「んー・・・まぁ今日は本当に馬鹿だったかなぁーなんて」
ちょっと甘く考えてた。
っていうか、正直なところ一戦仕掛けても白蘭がのってくるとは思ってなかった。
まぁ、のってきてもいいように用意はしてきたけど。
でも、きっとこの辺も甘かったんだろうなぁーって思う。
「はぁ・・・」
「うわっ!ちょっと恭弥?!なんでお姫様抱っこ?!」
「煩いよ」
「いや、煩くもなるって!!」
「ジェラート食べるでしょ」
「え、あ、うん。食べる」
「これが一番食べやすいはずだよ」
「あーまぁそうだけどさぁ・・・」
確かに、歩くのはしんどいし。
お姫様抱っこという非常に恥ずかしい体制が一番楽っていうのも事実。
ジェラートも食べれるし。
「黙ってなよ」
「はいはい」
◇◇◇
「・・・姫?!」
「あ、骸。ただいまー」
「お帰りなさい・・・じゃなくてですね・・・!!!」
「あはっざっくりやられちゃった」
恐らく、姫がさす、ざっくりというのは・・・
長かった、姫の、髪。
長かった髪が今では失われて・・・
まるで、姫が、自らの罪を背負う前。
そう・・・初めて姫と出逢った頃のよう。
「しかも全身傷だらけじゃないですか」
「一歩も歩きたくないし、歩けないので運ばれてるー」
「一体何処で・・・」
「ジェッソファミリー本部。てか、よくわかったねー全身傷だらけだって」
「姫の言霊には慣れてますからね」
「あはっそっかぁー・・・あ。恭弥、ごめん・・・限界」
「うん。骸・・・掃除頼んだよ」
「はいはい、わかりましたよ。その代わり、傷は残さないで下さいよ」
「当たり前でしょ」
姫が意識を落とせば大量の血が滴る。
廊下を彩る赤。
あぁ・・・掃除が大変そうですね。
「・・・本当に全身傷だらけですね」
「このまま放置したら出血多量で死ぬんじゃない?」
「姫が死んだら困るでしょう?僕もあなたも」
「そうだね。あ、掃除が済んだら跳ね馬に連絡しておいてよ」
「跳ね馬のことです、連絡を入れる前に飛んでくるんじゃないですか?」
「そうかもしれないね」
「あぁ、そうだ。恭弥クン」
「何?」
「姫の髪のこと、君はご存知ですか?」
「あぁ・・・切られたらしいよ、ドン・ジェッソに」
「・・・・・・」
「ちなみに自分の命と引き換えに」
「姫の命、ですか」
「そう。この馬鹿な子の命の対価としては上出来だよね・・・あの髪も」
「えぇ。しかし、姫にとっては・・・」
自らの命よりも重いモノ。
姫が葬ってきた命。
「案外すっきりしたんじゃない?」
「そうだといいですけどね」
「「・・・・・・」」
「まぁ、まずありえないよね」
「えぇ、ありえませんね」
「この子の髪、切るなら僕が切りたかったんだけどね」
「同感です。まさか、誰かに切られるとは思ってもいませんでしたよ」
「また髪をのばすなんて馬鹿なこと言わなきゃいいけど」
「ですが・・・言うでしょうね、姫は」
不器用ですから、彼女は。
「本当に馬鹿な子だよね」
「えぇ、本当に・・・馬鹿ですよね」
でも、そんな馬鹿なあなただからこそ愛おしく思ってしまう。
・・・・・・僕たちも相当な馬鹿ですね。
† 傷口を抑えても血は噴き出し続けた †
(あぁ、本当に・・・愛しくて仕方がない、僕のオヒメサマ。)
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