† 鎧の姫は唄を歌い、剣を振るう †
「ドン・ジェッソに逢いたいんだけど」
「面会のお約束は?」
「逢いたいの、逢わせて」
「少々お待ち下さい。・・・白蘭様。お客様がいらっしゃっております」
内線連絡。
あーちょっと言霊微妙だったかな?
内線連絡されちゃ難しいかも。
んーまぁその時はその時。
目の前のこの人の記憶を改ざんして逃げればいいだけ。
「・・・はい、そのようにお伝えいたします」
「ドン・ジェッソはなんて?」
「ここでお待ちください、と」
「・・・そう」
待つ、ねぇ?
果たして待ち人は来るか否か。
もしかしたら、侵入者扱いで惨殺。
うん、可能性は高いね。
「君がお客サン?」
「初めまして。あなたがドン・ジェッソね」
「初めまして。まぁここではなんだし僕の部屋まで行こっかー」
惨殺の可能性は・・・まぁ89%って所かな。
ドン・ジェッソ、基、白蘭が現れたから10%くらい可能性を下げておこう。
高いことには変わりないし。
「あ、お客さんが帰るまで誰も僕の部屋に近づけないでねー」
◇◇◇
「・・・で、君の名前は?」
「名乗らなきゃいけない?」
「うん。折角だし」
「名前名乗るの好きじゃないの」
「へぇー・・・まぁいっか」
イメージ的に不思議な人だったけど・・・
本当に不思議な人。
ジェッソファミリーのボス、白蘭。
「で、チャンは何しにきたのかなー?」
「・・・名前知ってるんじゃん」
「うん。トロイの木馬のチャンって有名だからねぇー」
「それはどーも」
「それ以外は全く知らないんだけどねー」
「あ、そうなんだ。とりあえず、ケーキでもご一緒にいかがですか?」
「あ、そこのチーズケーキ美味しいよねー」
「ん。だからチーズケーキ持って来ましたー。紅茶よろしくねー」
おぉ!白蘭が動いたーーー!!!
ジェッソのボスに紅茶淹れさせるなんて私すごくない?すごくない?
「チャンは砂糖いくつ入れるー?」
「入れない方向で」
「えぇー」
「だってケーキも甘いじゃん。甘い×甘いになっちゃう」
「甘い×甘いっていいじゃんー」
「太りたくないんです」
「チャン全然太ってないと思うけどなぁー」
「努力してるんですよ、ど・りょ・く!」
この目の前のドン・ジェッソ様は全く努力なんてしてそうもないけどね!
いつでもスレンダーなんだよ、きっと。
女としては敵ですよ、敵!
「まぁいいや。はい、紅茶」
「ありがと。いただきまーす」
「頂きます。・・・あ、砂糖なしの紅茶って結構ケーキに合うんだねー」
「でしょー。甘い×甘いだと太るよ」
「あははっ僕も太りたくないし、これからは甘いものには砂糖なしにしよっかなぁー」
「それをお勧めしまーす」
「・・・で、チャンは何をしにきたのかな?」
「んー・・・ジェッソのボスである白蘭サマと一戦交えてみようかと思いまして」
出る杭は早めに打っておくのがいいし。
てか、絶対早めに潰しておかなきゃいけないような気がするし。
「うわぁー好戦的だねぇー。でも、チャンじゃ僕を殺せないよー」
「知ってますよー」
「それでも僕と一戦交える気なんだ」
「うん、ガツンとね」
「いーよ。受けて立ってあげる」
「やったっ先手必勝。風雪、刃となりて!」
「あれー?僕の部屋ってそういうの全部遮断するはずなんだけどなぁー」
「部屋の性質よりも私の言霊が優れてるってだけだからー氷柱、突き刺され・・・ッ!」
「うわっ危ないなぁー・・・」
あー余裕そうな顔。
非常にムカつく。
でも、ムカついてる場合じゃない。
早い目に片付けないと私に勝ち目はまずない。
「ねぇ、そのリング、レベル全然高くないよね?」
「まぁねー私が持ってる中でも最低レベルですよ」
「ふーん・・・そんなリングで僕に勝てると思ってるの?」
「さぁ・・・どうでしょう?凍風、かまいたち・・・!」
「無駄だよ」
「次っ」
「だーめ。次は僕の攻撃ー」
「・・・当たらない!防御強化鋼鉄鉄壁絶対防御!!」
「無駄無駄ー」
「・・・ッ痛ー!女の身体に傷つけるなんて最低ー!!」
あーやっぱりレベルが違う。
うん、最初からわかってたはずなのにね。
全ては私の好戦的な性格と好奇心旺盛な性格の所為。
ツナくんに怒られそうー。
ヤダヤダ。
「鋼鉄強化、強化、加速加速加速・・・!!」
「速いねぇー・・・・・・風と雪?」
「あー余裕そう。結構頑張ったのに」
言葉を発する接近攻撃に言葉を発しない風と雪の攻撃混ぜてみても・・・白蘭には効果なし。
これなら恭弥相手でも結構いい線いけるのに。
「うん。今の攻撃は面白かったよー。それにそんな傷だらけなのによく動けるねぇー」
「でも、もうお手上げ」
ちょうどいいところにソファー発見。
もういいや、寝転がっちゃお。
起きれる自信が一気になくなるけど。
この状況だし、仕方ない。
「どーしますか?ドン・ジェッソ」
このまま放置されても出血多量で危ないかなぁー。
言霊でギリギリを保ってる感じだし。
「んー殺すのは勿体無いなぁー」
「・・・・・・あはっそれはどーも。でも、もうマジで言霊発する気にもなれませーん」
疲れましたー。
もう起き上がりたくないでーす。
ソファーが非常にふかふかで気持ちいいでーす。
「チャン、嘘つきだねー」
「は?」
「まだブーツの中とかにいっぱい武器隠してるくせにー」
「うわっなんでバレるかな」
あーあ、ちょっとずるい手とか使ったら一瞬くらい隙ができると思ったんだけどなぁー。
無理じゃん無理。
あー侮ってた。
「だってー無駄にヒール高いしー、分厚いしー」
「無駄言うな!!私にはしっかり必要な要素なの!!!」
「うん、小さいもんねー。チャン」
コイツムカつく。
あーもう、余裕そうだし。
ずるい手も使えそうにないし。
「・・・ばらしちゃうけど、中には銃弾とナイフしか入ってませんよー」
「うん、知ってる。銃はここに隠してるもんねー」
「ひゃっ捲くんなーーー!!!」
セクハラですよ、セクハラ!!!
訴えていいかな、訴えて!!
あーでも、私ってばちょっぴりずるい侵入方法だし。
訴えても勝てないんじゃない?
「いや、チャンの今の状況だったら捲くってもたいして恥じらいとかないでしょー」
「失礼なー!私だって多少の恥じらいは持ってますよーー!!!」
「えぇーでも、チャンしっかりボロボロだよー服とか原形とどめてないしー」
「煩い!!!」
「あ、服貸してあげよっかー?」
「いや、なんか可笑しいでしょ」
「んー?」
「それに、白蘭サマ。白蘭サマの服は私には大きすぎると思われます」
「あーチャン小さいもんねー身長とかその他諸々」
その他諸々って何?!
胸とか言ってんのかな、胸とか!!!
「黙れ」
「えぇー小さくて可愛いと思うよー」
「・・・嘘つき」
「嘘じゃないんだけどなー」
「あーもういいや。とりあえず交渉してみよ」
「ん?」
「私、そろそろ帰りたいんですけどー」
「えぇー」
「正直、傷滅茶苦茶痛いし。死んじゃいそう」
「うーん・・・あ、そーだ。じゃあこれで今日は見逃してあげる」
「なっ・・・!」
床に落ちるのは髪の毛。
・・・私の。
「長すぎて気になってたんだよねーだから」
「・・・・・・」
「軽くなったでしょ?」
「・・・ホントにね・・・」
「大方、初めて人を殺した時からずっとのばしてるって感じかな」
「その通りですよ、コノヤロウ」
「あはっじゃあ僕はチャンが殺した人間をさらに殺しちゃったんだねー」
「・・・・・・」
「短いのも似合ってるよー可愛い可愛い」
「・・・それはどうもありがとうございます」
「全然心こもってないねー」
「あぁー服ボロボロだし」
「うん。つい本気になっちゃった」
「嘘つき」
「嘘じゃないよーチャン、予想より強かったもん」
† 鎧の姫は唄を歌い、剣を振るう †
(あーあ、髪切られちゃった。)
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