† 戸惑う時間はない、戸惑えば戸惑うほどに守るべき者は死に近づくのだぞ †










「お疲れサマー」


サンもお疲れっす。怪我は大丈夫っすか?」


「まぁねー」




うん、まだ死なないね。

絶対死なない。




「あ、山本サンー」


「ん?」


「面倒じゃなかったら私のこと運んでくれないー?」


「あぁ、はい」


「ありがと」




やっぱ、撃たれた傷は痛いです。

痛み緩和の言霊も大して効かないし。

貫通してるから、まぁ仕方ない。




「ツナんとこ報告に行く前に病院に・・・」


「あ、いらない。ボンゴレの治療室に報告の後行くからー多分」




うん、気が向いたらね。

治療室って嫌いなんだよねぇーうん。

あんまり再々行きたいところじゃない。




「・・・・・・了解」


「あ、あと・・ツナくんには言わないでね」


「気付くと思うんですけど」


「大丈夫。しっかり言霊かけるし」




ボンゴレの超直感に負けない。

絶対負けない。




「・・・・・・」


「あんまりツナくんに心配かけさせたくないんですよー」




ツナくん気にするし。

また、殺しさせないようにって言われると困るし。




「・・・わかりました」


「ありがとね、山本サン」




わかってくれて助かります。

うん、ホント助かるー。




「山本サンってさー色んな意味で怖いや」


「え?」


「うん、ボンゴレ内でツナくんの次に怖いや」


「俺はサンが怖いですけどね」


「イヤイヤそんなことありませーん」




私なんて怖くもなんともありませんよー。

無謀なわかりやすーい人間です。

あ、なんか自分で無謀とか言うのは空しいからやめとこ。




サンってさ、なんで六道を連れて帰ってきたんですか?」


「そりゃ必要だったから。ボンゴレって、ほら・・・殺せる人間少ないから・・・・・・っていうものあるけど、結局の所私が使うため」


「そっか」


「あ、受け入れてくれるんだ、これで」


「あぁ。別に六道も嫌そうじゃないからいいんじゃないですかねぇ?」


「あーなるほどねー」




骸ってばどんなイメージもたれてるんだろうねぇー。

ボンゴレ内の幹部クラスにとって。

やっぱり、どっちかっていうとまだボンゴレファミリー入って間もない人間とかは怖い存在っぽいもんねぇー。

一応、あの有名な六道骸だからねぇー・・・全然そんなイメージなくなってきたけど。

だって、骸は今は私の有能セバスチャン!




「山本サンはさー骸が怖い?」


「いや、別に。初めて逢ったときは恐怖の対象でしたけどねー実は」


「あ、そうなんだ。でもそうだよねーあの時の骸必死だったから」


「やっぱ強いですし、アイツ」


「ツナくんのほうが強いけどねぇー」


「まぁ確かに。ツナは最強ですし」


「そうそう、ツナくんは最強。ボンゴレで一番強いのは間違いなく我らがボスだよねー」


「ですね」


「あ、そんなこんなでいつの間にか本部に帰ってきたねぇー。今更なんだけど、重くなかった?」


「全然。てか、もうちょっと食べたほうがいいんじゃないっすか?」


「食べてるよー結構。毎週ケーキは欠かしません」


「あー骸とかディーノさん?」


「そうそう。たまに目に付いたのか最近では恭弥まで買ってくるようになりましたー」




おかげで体重が恐怖です。

絶対に体重計乗りたくないったらない!

軽く3キロくらい増えてる自信あるもんね!

思いっきり無駄な動き増やして仕事しててもケーキ食べたらたいして意味ないしー。

かといって、ケーキ断ったら性質悪い人間ばっかだし。




「すげぇーのな」


「あの恭弥がケーキ屋サンで横文字のケーキ名言ってる姿が想像できなくて」


「俺も無理です」


「でしょでしょー。あ、山本さん、この辺で降ろして」


「・・・大丈夫っすか?」


「うん、言霊もばっちり。どこからでもかかって来いって感じですよ」


サン!ちょうどいいところに!」


「ホントにかかってきた!」


「え?」


「んーん、こっちの話ー」


「急いでんなーツナ」


「あはは・・・仕事お疲れサマの後で本当に申し訳ないんですけどサンにお願いがあって・・・」


「あーわかった。あのおバカサン二人ね」


「おバカサンですか・・・」


「おバカサンですよ。どうせドンチャン騒ぎ始めたんでしょ」


「・・・はい。俺が止めたらいいんですけど、聞く耳持たないって感じなので」


「はいはいっじゃあしっかり止めに行って来ますよ」


「・・・サン!」


「なぁに?山本サン」


「・・・・・・すいません、呼んでみただけです」


「あはっ何それ。じゃあツナくん行こっか」


「は、はい!スミマセン、よろしくお願いします!!」




















◇◇◇





















「骸、恭弥」


「姫」


「・・・何の用?」


「綱吉クンが助けを求めたようですね」


「・・・・・・」


「全く、ツナくんに迷惑かけちゃダメでしょー?」


「・・・さすがサン・・・」


「はい。じゃあ骸は私に紅茶淹れてよね」


「いきなりですね」


「あ、でもその前に報告書作らなきゃか」


「いえ、報告書は山本が作ってくれる予定だったんで、最初から!!」


「そっか。じゃあ恭弥も一緒に紅茶の・・・も・・・」


「姫?!」


サン?!」


「綱吉クン!一体何が・・・?!」


「お、俺にも・・・ッ」


「とりあえず、ボンゴレの治療室、空いてますよね?」


「大丈夫だと思う・・・!!」


「恭弥クン」


「うん、その子のことは任せるよ」


「はい。じゃあ綱吉クン、失礼します」


「う、うん!!!」


「・・・綱吉。今日この子、山本武と仕事だったよね?」


「うん・・・!」


「山本は自室?」


「恐らく・・・」


「・・・ツナ、わりぃー・・・」


「山本?!部屋で休んでたんじゃ・・・」


サンに黙ってろって言われた・・・と言うか無言の脅迫と言うか・・・」


「もしかして、もしかしなくても俺がサンに助けを求めたから・・・」


「撃たれたんだ、一発」


「・・・あの子が?」


「あぁ。で、得意の言霊で無理矢理の治療してた」


「はぁ・・・本当に馬鹿な子だよね。あ、綱吉、君は全く悪くないから顔をあげなよ」


「でも・・・!!」


「言霊で無理矢理治療なんていつものことだし」


「俺が・・・助けを求めなかったら・・・サンはもっと早く治療室に・・・!!」


「・・・大丈夫だよ、あの子簡単に死なないから。それに、あの子誰かに気付かれるまで治療室行かないだろうし」










† 戸惑う時間はない、戸惑えば戸惑うほどに守るべき者は死に近づくのだぞ †

(あぁ・・・もう、どうしてこんなときに限って俺の超直感は役立たずなんだろう・・・)



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