† 日に日に増える血の量 †
「ねぇ、君・・・せめて隠すくらいしたら?」
「ん?」
「また増やしたでしょ」
「何が?」
「その指」
「あぁ、コレね」
「何が気に入らないわけ?」
「別にー。何かが気に入らないからやってるわけじゃないし」
「じゃあなんで?」
「なんとなく」
そう、なんとなく。
私自身もわからないモヤモヤのせい。
モヤモヤするからついやっちゃうだけ。
あ、このモヤモヤが気に入らないといえば気に入らないのか。
「ただでさえ全身傷だらけのくせに」
「あはっ全身の傷は他人がつけた傷だし。ヴァリアーで仕事してたらいやでも傷つくし」
流石に、自分で全身に傷をつける勇気はありませんー。
せいぜい指とか手とか腕が限界。
それ以外はなんか自分でするのは痛くて嫌だ。
嫌ならやめればいいのにね。
でも、やめられない。
「君ってMだっけ?」
「んー・・・どっちかって言うとMかな。ただしSよりのM」
Sっ気もたっぷりあるつもりです、密かに。
特に、獄寺クンあたりにはカナリドSな気がする。
だってー苛めがいあるし。
そんなこと本人に言ったらマジ切れされそうだけど。
「そんなに痛いの好き?」
「だいっきらい」
「・・・言ってる傍からやらないでくれる?」
「あはっ・・・仕方ないでしょ」
「はぁ・・・指貸して」
「貸せませーん。恭弥に貸したらなんか折られそう」
ボキッと片手で。
あーなんか想像しただけで痛そう痛そう。
折られるのは嫌だね。
てか、私ってば骨折とかしたことないや。
「喧嘩売ってんの?」
「喧嘩は買う専門なので売れませんー」
そう、喧嘩は買うに限るね!
売ったらそれだけでなんだか負けのような気がするし!
売った喧嘩は勝てないような気がする。
・・・っていうか私、喧嘩売ったらまず勝ててない気がする!!
あ、でも復讐者にはある意味勝ったか。
でもなぁー基本的に勝てない気がするね、売った喧嘩は。
「・・・・・・」
「もうー睨まないの」
「・・・はじめから素直に出しなよね」
「ほら、コミュニケーションですよ、コミュニケーション・・・ってなんで舐めるかな」
「消毒だよ」
「血、舐めるのってあんまりよくないらしいよー」
まぁこんな世界だし、ついつい口の中に血が入っちゃうこともあるけど。
それはまぁまず自分の血だし。
他人の血をわざわざ舐めるようなことはまずないし。
てか、舐めたくない。
「別に大丈夫でしょ。君の血だし」
「いや、多分関係ないから」
私の血を舐めても大丈夫なんて・・・そんなのわかんないし。
てか、自分的には自分の血はなんだかアウトですよ!
色んなものいっぱい入ってる自信もあるよ!
悪いもの多いよ、絶対!
「まぁ僕の勝手だし」
「あーうん、そーですよねー。雲雀恭弥サマだもんねー」
「・・・・・・どうなの?」
「え?」
「暗殺部隊」
「うん、別にいたって普通。強いて言えば・・・人を殺すことに慣れたよ」
「・・・そう」
「恭弥、相変わらず私に優しいよね」
「・・・大切だからね、君は」
「ありがと」
私にとっても恭弥は大切。
絶対、大切。
大切に思ってるんだよ、本当に。
「ねぇ、恭弥」
「何?」
「私の前からいなくなったりしないでね」
「僕が君の前からいなくなるはずがないでしょ?」
「うん、そーなんだけど。ほら、やっぱり、ねぇ?」
「君が何を考えてるかは知らないけど、安心していいよ」
「え?」
「僕は簡単に死んだりしないから」
「うん、知ってる」
† 日に日に増える血の量 †
(知ってる、けど・・・怖いものなんだよ。死ぬなんて一瞬のことだって知ったから。)
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