† 殺すということは多かれ少なかれ、他人の憎しみをうけなければならないんだ †










ー何人目ー?」


「・・・・・・」


「なんだ、まだ1人目じゃん」


「煩いっ!」


「王子の勝ちー」


「てか、ベルのほうがヴァリアー歴長いんだから当然ですー」




私は今日初任務ー!

・・・って、そんなのヴァリアーには関係ないか。

てか、まずそんな甘えきかないなんてわかってる。

あーあ、それでも私はきっと甘えてるんだ。

弱いなぁーホントに。




「だって俺、王子だもん」


「はいはい。ですよねー」


「てかさーなかなか非情だよなーって」


「え?」


「一瞬で殺ってやんないと可哀想じゃん」


「一瞬で・・・ね」


「そうそうーどうせ死ぬのは一緒なんだし」


「へぇーなんか以外。もっといたぶって殺すのかと思ってた」


「王子はそんな面倒なことしませんー」


「・・・そっか。一瞬のほうが優しいなんて思わなかった」




まぁ確かにそうだよねー。

痛いの続くなんて嫌だし。

てか、普通そうだろうし。

私だってどうせ死ぬなら一発でガツンと仕留めてほしい。

苦しむのはイヤ。

でも、死ぬのはもっとイヤ・・・なんだよね。

それがわかってても、私は殺すんだ・・・殺さなきゃいけないんだ。




「あ、そーだ。今から王子と勝負な」


「は?」


「王子のほうが殺した人数多かったら夕食、の奢りで決定ー」


「いや、ちょっと待った!」


「待たないー。王子早くも1人目ー」


「あーもうっやればいいんでしょ、やれば!」


「そうそうー王子、ファミレスとか無理だからー」


「うわぁーなんか、超高級フレンチとか言われそうー」


「当然ー」





















◇◇◇





















「あぁー疲れた。てか、流石にここまで運ぶと重い」


「お帰り」


「跳ね馬じゃん。あ、お姫様プレゼントー」




そう言って、ベルフェゴールは俺にを渡した。

まるで、荷物を渡すよう感覚で。

まぁしっかり、お姫様抱っこで運んできたっぽいから荷物よりは格上なんだろうけど。




「・・・なぁ。今日、何人殺した?」


「5人くらいじゃねぇ?結局勝負は王子の勝ちだったしーてか、結果発表の前に倒れたし」


「・・・そっか」


「王子にはあんま向いてないと思うけどなー」


「ハッそうは見えねぇーだろうが」


「うわっボスが出迎えなんて珍しいー明日、槍でも降るんじゃないー?」


「うるせぇー」


「ザンザスははこの世界、向いてると思うか?」


「あぁ」




・・・・・・俺も正直ザンザスと同じことを考えている。

確かに、はこの世界に向いていると思う。

この世界から離れさせたいって思っちまってるけど、でも・・・

結局、俺はをこの世界に繋ぎとめたいんだって思う。




「・・・・・・ぅ・・・ん」


「あっやっと起きた」


「うわっ?!な、何この展開?!」


「倒れたを王子が運んでやったんだぜー」


「あ、それはありがと」


「ちなみに勝負は王子の勝ちなんだけどー」


「えぇー気のせいってことでよろしく」


「お帰り、


「・・・ディノ?なんで?てか、なんで私、ディノに膝枕されてる?」


「膝枕は・・・まぁなんとなく」


「うん、じゃーなんでここにいるの?」


「いや、だってお前・・・」


「あーありがと。心配して来てくれたんだ。もう過保護だなぁーディノは」


「仕方ねぇーだろ。お前はいつまで経っても俺の可愛いお姫様なんだからな!」


「あーなんか恥ずかしい。二人きりだったら全然平気だけど、みんなの前だと恥ずかしいんだけど!!」




あぁ・・・

やっぱり、お前って色んな意味で爆弾、麻薬。

そういうのってずるいんだって、マジで。

今すぐうちに連れて帰りたくなる。




「で、どうだったんだ?初任務」


「うん、ヴァリアーって甘くないってよくわかった。なんか慣れるまで大変」


「今日は俺、こっち泊まることにしたから」


「・・・大丈夫なの?」


「あぁ。何かあったら連絡するように言ってあるし」


「そっか・・・うん、ありがと。あ、ザンザスー私、明日は?」


「オフだ」


「ザンザス。まだ、ヴァリアーにいさせてね」


「早く寝ろ、カスが」


「はぁーい。てか、ご飯ー」


ちゃんーお帰りなさーい」


「あっルッスー」


「ご飯用意してるわよー」


「嬉しいー。お腹空いてたんだー」










† 殺すということは多かれ少なかれ、他人の憎しみをうけなければならないんだ †

(私はこれからも、人を殺すんだ。)



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