† いつか私が狂ってしまったら、貴方の手で私を殺してね †
「ツナくん、入るよー!」
「!10代目の部屋に入るときはノックしろといつも言ってんだろーが!!」
「あ、忘れてた」
「ははっ別にいいですよ。サンは扉壊すわけでもないですし」
うちの扉壊すのは・・・
恭弥とか、ザンザスとか、その辺。
サンはとりあえず、扉を壊すこともないからノックなしでも俺的にはオッケェ。
獄寺クン的にはダメらしいけど。
あの恭弥とかザンザスにも同じ台詞言ってるもんなぁー頼もしい右腕だことで。
「で、どうしたんですか?」
「あのね、ツナくんにお願いがあるの」
「お願いですか?」
・・・・・・俺、サンからのお願いっていいイメージないんですけど!
この前が骸の奪還だったしね!
・・・まぁ、骸の奪還は悪いことではなかったんだけど。
「私をヴァリアーに入隊させてください」
「・・・・・・はい?」
「私ね、強くなりたいの」
「十分強いと思いますけど・・・」
そうだ。
サンは強い、このボンゴレの中でも強い分類に入る。
わざわざヴァリアーに入隊して強くならなくても・・・
だって、ヴァリアーは・・・暗殺集団。
仕事も主に暗殺殺戮、ボンゴレを裏で支える暗殺集団。
「単刀直入に言うね。私、殺せる人間になろうと思うの・・・死ぬわけにはいかないから」
この瞳は正直苦手。
惚れた弱みというか・・・なんというか。
この瞳に見つめられたら頷くしかなくなる。
「・・・本気なんですか?」
「本気本気、断然本気。私、守れる人間でいたいから」
「正直に言います、俺は止めたいです」
「・・・うん」
「でも、もう決めたことなんですよね?」
「え?」
「サンは覚悟を決めて俺のところに来たんですよね?」
俺に断られたとしても、止められてたとしても・・・
きっと、サンは揺るがない。
そういう人だから。
だったら・・・俺に止めることなんてできない。
「うん」
「だったら、無理しないでくださいね」
「え?」
「ヴァリアーには俺が話をつけておきます。任せてください」
「・・・ありがと、ツナくん」
「いえいえ。というか、俺のほうがお礼言わなきゃなんで」
「え?」
「サンがヴァリアーに入隊するのは俺たちのため、なんですよね?」
サンが守りたいのは・・・自惚れかもしれないけど、俺たちなんだ。
俺たちを守るために、サンはヴァリアーに入隊することを選んだ。
うちのファミリーは強いけど、弱い。
その面を補うためにも・・・サンは自分が殺す側になることを選んだんだ。
「まだそんなカッコいいこと言えないけどね」
「あーホントはぶっちゃけめちゃくちゃ止めたいです」
「うん」
「でも・・・俺はボンゴレのボスとして止めません」
「ありがと」
「だけど、ちゃんと帰ってきてくださいよ。ボンゴレに」
「んーツナくんがお帰りって言ってくれるならちゃんと帰ってくるよ?」
あーホントこの人はズルイ。
ピンポイントに俺を攻めてくる。
「10代目、お言葉ですが・・・」
「ん?」
「ヴァリアーにそんな簡単に入隊できるとは思えないんですが・・・」
「あぁ、大丈夫大丈夫。ヴァリアーもしっかり俺の管轄だし、何せサンだしね」
そういえば、ヴァリアーって入隊基準って色々あったような気がするな。
何ヶ国語も喋れないといけないとか。
・・・・・・サンって最近、日本語も危うい感じだよね?
まぁ、サンだし大丈夫か。
ヴァリアーとも仲いいし、普通に遊びにも行ってるみたいだし。
「・・・そう、ですね」
「獄寺クンも心配なら心配って言いなよねー」
「お、俺は別に・・・!!!」
「心配してくれたんだ?」
「だから、俺は別にお前の心配なんてしてねえ・・・!!」
「・・・・・・ありがと、獄寺クン」
「・・・・・・お前もボンゴレファミリーだからな・・・」
「あはっありがと、ホントに」
ホント素直じゃないよねぇー獄寺クンって。
結構サンのこと気にかけてるよね、うん。
本人にバレないように必死だけど。
俺から見たらもうバレバレで・・・まぁ、サンにはバレてないと思うけど。
この人、ホント鈍感だよね!!!
「とりあえず、俺からザンザスには話をつけておきますから」
「うん、ありがと。よろしくねー」
† いつか私が狂ってしまったら、貴方の手で私を殺してね †
(あーあ、この人はなんでこんなにも・・・頑張りすぎてしまうんだろう。)
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