†　人を殺すことがどんなに重いことか分からないほど愚かじゃない　†










｢ディノー！｣


｢おっどーした？｣


｢ちょっと相談相談｣


｢ん？｣


｢私がヴァリアーに入隊するのってどう思う？｣


｢・・・・・・は？｣




がヴァリアーに入隊？

普通に、考えらんねぇ・・・こともねぇか。




｢なんでか聞いていいか？｣


｢私が人を殺したことがないから｣


｢・・・・・・殺さずにすむならそれに越したことはねぇよ｣


｢わかってる、けどね・・・それじゃダメだから｣




・・・・・・。

の言いたいことはわかる、わかるんだ。

でも、俺としては・・・に人を殺して欲しくない。

なんて、勝手な願いなんだけどな。




｢・・・どうしてもか？｣


｢え？｣


｢ヴァリアーに入隊だよ｣


｢どうしても。だけど、決心がつかなくてディノに相談しに来たの｣


｢そっか・・・頼ってくれてありがとな｣




が頼ってくれるのは普通に嬉しい。

それがどんなことであっても。

多分、今この世界で一番に近いのは俺だって自惚れてもいいよな？




｢だって、ディノは何があっても私の味方でいてくれるってちゃんと知ってるもん｣


｢当たり前だろ。お前は俺の・・・一番大切なお姫様なんだからな｣


｢ありがと。で、結局のところ・・・私がヴァリアーってどう思う？｣


｢正直に言えば、悪くない選択だと思う｣




これは、キャバッローネのボスとしての俺の答え。

マフィアのボスとしての答え。

俺個人としては止めたい、だけど・・・きっと、俺個人の答えをは求めていない。




｢だけどな、。ヴァリアーはお前が考えてるほど甘くないんだぞ｣


｢・・・うん、わかってる。多分、甘やかされて生きてきた私にはカナリきついと思う｣


｢わかってんだな｣


｢わかってるけどね、私は強くなりたいの｣


｢え？｣


｢自分の身を挺する以外の守り方ができるようになりたい｣


｢・・・そっか。よし、じゃあ・・・俺は応援する｣


｢ホント？｣


｢あぁ。お前が決めたこと、俺が応援しないはずがないだろ？｣


｢ありがと、ディノ｣


｢きつくてしんどくなったりしたらいつでも俺のところに来いよ。俺はいつでもお前のこと甘やかしてやっから｣


｢あはっディノ、それじゃあ私、全然成長しない｣


｢いいんだよ、それで。お前はいつでも俺の前では弱いままでいていーんだ｣




強がらなくていい。

弱いままでいい。

俺は、ありのままのお前が好きだから。

繕わない、自然なお前が。

そんな姿を俺にだけ見せてくれる、そんなお前がいいんだ。




｢やっぱりディノに一番に言ってよかった｣


｢ははっボンゴレ１０代目のツナより先に聞いちまうとはな｣


｢ツナくんならきっとわかってくれるよね？｣


｢まぁ反対は一度はすると思うけどな。俺みたいに｣


｢ディノとツナくんってなんか似てるもんねー｣


｢おぅ。俺もツナも結局のところ・・・悪足掻いてただけだしな｣




ダメ人間を演じて・・・

マフィアという道から逃げようとしていた、逃げられるはずもないのに。

でも、結局のところ、お互いにこの道に落ち着いている。

やっぱ、俺たちにはこの世界しかないんだろうな。




｢ね、ディノ｣


｢ん？｣


｢いつもありがとね｣


｢どういたしまして。あ、ツナのとこ一緒に行ってやろうか？｣


｢んーん、一人で行ってくる｣


｢・・・そっか｣


｢でも、ツナくんに全否定されちゃったらそのときは慰めてね？｣


｢あぁ、もちろん｣




・・・まぁ、きっとそんなことはないだろうけどな。

多分、ツナは一度は止めようとするけど・・・結局は、の意見を受け入れる。

俺と同じで。

あーでも、やっぱり、止めたいっていうのが本音。

この世界で俺の傍にいて欲しいって思ってるくせに、誰も殺さないで欲しいっていう矛盾。

でも、止めることをは望んでなんていない。




｢じゃあ、いってきまーす！｣


｢ちょっと待て｣


｢え？｣


｢ボンゴレまでくらい送らせろよなー｣


｢いーの？｣


｢当たり前だろ。てか、俺がお前ともうちょい一緒にいたいんだよ｣










†　人を殺すことがどんなに重いことか分からないほど愚かじゃない　†

(俺は永遠に、何があってもお前の味方なんだからな。)

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