† 涙枯れるまで泣いたら †










「・・・ぅ・・・ん・・・・」


「あ、チャン、起きた?」


「びゃ、白蘭?!」


「うん」


「な、なんで?!」


チャン運んだの僕だし」


「・・・・・・」


「ねぇ、チャン。もうちょっと素直になっても、泣いてもいいんだよ」


「やだ」




ぷいっと横を向いて頬を膨らますチャン。




チャン、強がらないの」




無理矢理僕のほうを向かせても、俯いたまま。




「だって、・・・壊れちゃう」


「壊れないよ」


「嘘。壊れるもん・・・白蘭、泣く女なんて嫌いでしょ」


「うん、嫌いだね」




うん、チャンの言うとおり泣く女なんて嫌いだよ。

今まで泣くから捨てた女だって何人もいたし。




「じゃあ・・・」


「でも、チャンには泣いて欲しいな」




なんて、矛盾。

でも、本当にそう思ってるんだから仕方ないよね。




「え?」


「僕の前だけでは泣いて」


「なんで・・・」


チャンのことが好きだから」


「好き・・・?」


「うん、大好き」


「どうして・・・?」


「んー難しい質問だねー。簡単に言えば泣かせてあげたいって思ったから」




チャンは強がりなお姫様だから。




「よく、わかんない」


「うん、わかんなくていいよ。だって僕がわかってればいいことだから」




チャンのことが好きな理由も、僕が知っていればそれでいい。

もちろん、チャンが知りたいなら教えてあげるけどね。

語りつくしたら一週間はかかっちゃうだろうけど。




「わかんない・・・」


「んーじゃあチャンが泣いてる時は頭を撫でてあげる」


「・・・撫でてくれるの?」


「うん。ずっと一緒にいて、頭撫でてあげる」


「泣き止むまでずっと・・・?」


「うん、ずっと」


「泣き止まないかもしれないよ」


「それだったら僕が泣き止ませてあげる」


「ずっと、ずっと泣いてるかもしれないよ」


「うん。それでもずっと一緒にいてあげる」


「白蘭が疲れちゃう」


「うん、疲れるだろうね」


「じゃあ・・・」


「それでも僕はチャンに泣かせてあげたいの」




多分、なかなかチャンが泣き止んでくれなかったら苛々もしちゃうと思う。

それで、チャンを傷つけちゃうかもしれない。

でも、チャンを泣かせてあげたい。




「・・・私を泣かせてもどうにもならない」


「そんなことないよ。だって本物のチャンに逢えるから」


「え?」


チャン、いつも強がって笑ってるよね」


「・・・・・・」




あ、図星って顔。




「間違ってないはずだよ、ずっと見てきたんだから」


「なんで・・・」


「どんな時でも笑って、弱い自分を見せないようにして・・・また笑って」




チャンを見かけるたびに、僕が見ていたチャンは・・・

強い殻を何重にも被ったすごく弱い女の子。




「・・・・・・」


「そんなチャンを見てるとね、僕の中である感情が生まれたんだよ」


「・・・感情?」


「うん。僕がチャンを守ってあげたいって」


「私を、守る・・・?」


「そう、チャンを僕が守ってあげる」




弱いチャンから、弱いチャンを。

僕が守ってあげたいって思った。




「私、守られる価値なんてない・・・」


「価値ならあるよ、いっぱい」


「え?」


チャンが笑ってくれたら僕は嬉しいよ」


「・・・・・・」


「こうして欲しいってことを素直に言えないのも可愛いと思うし」


「・・・・・・」


「でも僕意地悪だから、つい言わせたくなっちゃうんだよね」


「・・・・・・それ、知ってる」


チャン、弱くてもいいんだよ」


「弱くても、いいの・・・?」


「うん。弱くてもいいよ」


「ホントに・・・?」


「ホントに。僕が弱いチャンを守ってあげる」


「・・・私、白蘭と一緒にいて、いいの?」


「うん、僕はチャンに一緒にいて欲しいなー」


「・・・・・・ありが、と」


「ねぇ、チャン。僕のこと好き?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・嫌いにならない?」


「うん」


「拒否しない?」


「うん」


「・・・その他大勢と一緒にならない?」


「うん、チャンは僕にとって特別な女の子だからねー」


「・・・好き、好き。白蘭が好き」


「僕もチャンが大好きだよ」










† 涙枯れるまで泣いたら †

(僕に初めて守りたいなんて思わせてくれた女の子がチャンだよ。)



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