† 今日も空は泣いていて、今日も心はびしょ濡れで †
「・・・・・・ふぇ・・・」
白蘭のあの笑顔が頭から離れない。
白蘭のあの言葉が頭から離れない。
「私、どうしたらいいのかな・・・?」
本当の私って何?
白蘭が言う本当の私って何?
「・・・バイバイ、か・・・」
そんな言葉、聴きたくなかった。
ローザ隊は好きだった。
大好きだった。
戻れるならいつでも戻りたいって思ってた。
なのに・・・
「・・・白蘭・・・」
あの人の隣はとても心地よくて・・・
いつの間にか、あの人に惹かれてた。
でも、駄目、って繰り返した。
だって、好きって感情を知られてしまったら同じになってしまう。
たくさんのうちの一人になってしまう。
今まで白蘭の周りにいた女の人たちと一緒になってしまう。
そうしたら、白蘭の隣にいれなくなってしまう。
「・・・もっと、一緒にいたかった・・・いたかったよ・・・」
怖かったの。
一緒にいれなくなることが。
◇◇◇
「そーいえば、チャンはー?」
「気分を落ち着けてもらうために風呂に・・・」
「正チャン!それ、いつ?!」
「白蘭サンに連絡するちょっと前・・・ッ?!」
「正チャン、ローザの風呂だよね?!」
「は、はい!」
僕がそう答えた時にはもう画面に映るのは白蘭サンの後姿。
白蘭サンのあんな顔初めて見た。
「・・・本当に、大好きなんですね。サンのことが」
◇◇◇
「チャン!!!」
「びゃく・・・ら・・・ん?」
朦朧とする意識の中、白蘭の姿が見えたような気がした。
◇◇◇
「正チャン!救護班呼んで!!」
サンを抱きかかえたまま、白蘭サンが叫んでくる。
珍しく・・・っていうか、今まで聴いたことないくらいの大声で。
「はい、もう呼んであります。もうすぐ白蘭サンの部屋に着くと思いますよ」
「・・・さすが正チャンだね」
「サン、大丈夫ですか?」
「湯あたりしちゃったみたい。ここまで運んだらちょっとは落ち着いたみたいだし」
画面越しに映るのは、サンの髪を優しく梳く白蘭サン。
きっと、表情もすごく優しくなってることに本人は気付いてないんだろうな・・・
「そうですか・・・よかったですね」
「うん」
「白蘭サン」
「ん?」
「あんな白蘭サンの顔初めて見ましたよ」
「えぇー僕どんな顔してたのー?」
「珍しく感情的な顔ですよ」
「・・・・・・」
「白蘭サンもあんな顔が出来るんだってちょっと安心しました」
白蘭サンに言うつもりはないけど・・・
最初、僕は白蘭サンがサンをお世話係に任命したのは遊びだと思ってた。
でも、今日ちゃんとわかった。
白蘭サンはサンに本気で向き合おうとしていたことが。
全部が本気だったってことが。
「白蘭様、失礼します」
「あ、救護班来たみたいですね」
「うん、正チャン。ありがとねー」
「いえ・・・あ、あまりサンを泣かせないであげてくださいよ?少し前までは僕の部下だったんですから」
「んーそれは聞けないかな」
「じゃあ程々にしてください」
「りょーかい。あ、チャンは僕が運ぶから触らないでよねー」
「は、はっ」
白蘭サンって意外と独占欲強いのかもしれない。
これから大変そうだよな・・・サン。
でも、頑張ってくださいね。
† 今日も空は泣いていて、今日も心はびしょ濡れで †
(きっと、頑張ればサンは幸せになれるから。)
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