†　心が乱されて、平穏じゃいられない　†










｢チャンって僕のこと好きなんだよねー？｣


｢何言ってるんですか、その口マシュマロで塞いでやりましょうか？｣


｢はい、敬語ー。お仕置きねー｣


｢・・・・・・ッんっ・・・｣


｢チャン、もうちょっと素直になろうよ｣


｢私はいつも素直だしー｣


｢嘘ばっかりー｣


｢本当だもんー｣


｢・・・本当のチャンはもっと素直なはずだよ｣




本当の私？

何、それ。

今の私はニセモノってこと？




｢本当の私なんて知らない！！｣


｢チャン？｣


｢仮に本当の私があったとしても、本当の私になったら嫌いになるくせに！！！｣


｢チャン、落ち着いて｣


｢白蘭は今の私だから楽しんでるんだもん！！｣


｢チャン｣


｢本当の私なんて知らない・・・わかんない！嫌いになるんでしょ！｣


｢そんなのわかんないでしょ｣


｢・・・・・・｣


｢僕はチャンが好きだよ｣


｢嘘、嘘・・・そんなの嘘。だって、わかんない、わかんないよ・・・！！！｣


｢チャン｣


｢やだ、やだ・・・ッいや・・・ッ｣


｢うん。わかったよ｣


｢・・・え？｣


｢チャンをローザ隊に戻してあげる｣


｢白蘭・・・？｣


｢正チャンには僕から話しておくから安心していいよ｣




そう言って白蘭は私の体を押した。

出口に向けて。

もう、いらないって言うように。




｢バイバイ、チャン｣




















◇◇◇





















｢サン？どうしたんですか？｣


｢ふぇ・・・正チャン・・・ッ｣


｢え？！わっ！だ、大丈夫ですか？！何かありましたか？！｣


｢白蘭にいらないって言われた。私、ローザ隊に戻るんだって｣


｢え？｣




サンがローザ隊に戻る？

っていうか、白蘭サンがサンのことをいらないって言った？！

そんなの、ありえない。・・・と、思う。




｢いらないんだって・・・ッ｣


｢サン、とりあえず落ち着いて下さい｣


｢正チャン、どうしよう、私の気持ち、白蘭にバレてた｣




いや、それはバレてると思いますけど・・・




｢サン。とりあえず風呂に行ってきてください、落ち着くと思いますから・・・｣


｢正チャン・・・｣


｢風呂から帰ってきたらあったかい紅茶用意しますから｣


｢・・・・・・うん。行って来る｣


｢はい、行ってらっしゃい｣




















◇◇◇





















｢白蘭サン｣


｢正チャンから回線繋いでくるなんて珍しいー｣


｢・・・サン｣


｢んー？チャンがどうしたのー？｣


｢泣いてましたよ｣


｢どうしてー？｣


｢惚けないで下さい｣


｢・・・・・・こうするしかないんだよ｣


｢え？｣


｢正チャンに僕言ったよね。チャンの殻を破るって｣


｢・・・はい｣


｢そのためにはこうするしかないんだよー｣




チャンの殻は思ったよりも頑丈で・・・

チャン自身を強く、強く守ってる。

だから、壊すにもそれなりにリスクが必要。




｢・・・・・・｣


｢・・・でも、ちょっとやりすぎちゃったかなぁー｣




チャンは弱い子。

本当に、すごく弱い子。

強がりで、強がりで、強がり。

怖がりで、怖がりで、怖がり。




｢白蘭サン｣


｢ん？｣


｢サンのことどうするつもりですか？っていうか、サンのことどう思ってるんですか？｣


｢僕はね、チャンのことが大好きなんだよ｣




本当に大好き。

初めてチャンのこと見た瞬間に、あぁこの子だって思った。

無理に笑って、いつも笑って、元気で、明るくて・・・

本当はすごく弱いくせに強がって。

この子を守ってあげなきゃって思った。




｢だからこそ、本物のチャンを見たいんだ｣




弱い部分を見せて欲しい。

僕の前では強がらないで欲しい。

僕がチャンの泣き場所になってあげたいって思うから。

だから、ちゃん僕とも向き合って欲しいんだ。










†　心が乱されて、平穏じゃいられない　†

(本当のチャンで僕と向き合って欲しいんだ。)

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