† 君はもう白という色に染まっているんだ †
「正チャン。私、戻りたいっていうか戻して!!」
「うわっ、またいきなりですね・・・」
白蘭サンに渡されのだろう書類を持って現れたサンの第一声。
白蘭サンに半ば強制でサンを白蘭サンのお世話係に任命して約30分。
流石に早すぎですよ、サン・・・
「いったい、何があったんですか?」
「・・・・・・・・・・・・キス」
「え?」
「キスされたーーーー!!!!」
「はぁ?!」
白蘭サン!
手を出すの、早すぎです!!!
まだ、30分くらいですよ!!!
「正チャン。私をローザ隊に戻してー!!」
「いや、サンはまだローザ隊だと思うんですけど・・・」
「違うよ、正チャン。チャンは僕の部隊になったからー」
いつの間にか現れてた白蘭サンがそんなことを言う。
ほら・・・って感じでサンの胸にあるエンブレムを指しながら。
「パフィオペディラムですか・・・」
「うん。僕とお揃いなんだー」
なんていうか・・・
白蘭サンは隙がない。
「チャン、帰るよー」
「嫌です」
「あ、また敬語使ったー」
「ちがっ・・・ンッ?!」
「びゃ、白蘭サン?!」
目の前で見せ付けられるキスシーン。
これは、僕への牽制も含まれてるんでしょうね・・・
白蘭サンって性格悪いと思う。
「人の部屋で何やってるんですか?!」
「えぇー敬語やだって言ったのに使ったチャンにお仕置きー」
「白蘭の馬鹿!!!」
「あ!サン!!」
捨て台詞を吐いてサンは僕の部屋から出て行く。
残ったのはニコニコと笑って、楽しそうな白蘭サンと僕。
「白蘭サン」
「んー?」
「サンをからかって遊ぶのがそんなに楽しいですか?」
「うん」
「・・・・・・」
「チャンにはこれ位しなきゃ駄目なんだよー」
「え?」
「正チャン。僕はね、チャンの殻を破ってあげたいの」
「殻・・・ですか?」
「うん。本当のチャンが僕は欲しいんだ」
白蘭サンが言う意味が僕にはよくわからなかった。
「さーて、じゃあ僕も帰るねー」
「あ、はい・・・」
「正チャンごめん!書類渡すの忘れて・・・まだいた・・・」
「待って、チャン」
白蘭サンを見つけるなり踵を返そうとしたサンの腕を白蘭サンは掴んだ。
「また書類持って行くの?」
「あ・・・」
「とりあえず、書類受け取りますね」
「う、うん・・・」
なんていうか・・・
サンがペース崩されてる感じがする。
てか、白蘭サンのペースにのまれてる。
「じゃーチャン一緒に帰ろー。あ、飯でも行く?」
「い、行かない!」
「だーめ。もう決定事項だから」
「正チャン!助けて!!」
「無理です」
サンを白蘭サンの手から助けるなんて僕には無理です。
っていうか、面倒です。
あとからネチネチ言われるの目に見えてるし。
「正チャンが部下を見捨てたー!!」
「そんなチャンを上司の僕は拾ってあげるんだよー」
「意味わかんないし!!」
「とりあえず、ご飯行って来てください」
「正チャンの薄情者ー!部下を白い悪魔に売ったんだー!!」
「うわぁー白い悪魔って僕のことー?」
サン。
白蘭サンは一応うちのボスです。
ボス相手に白い悪魔発言は色々問題があると思うんですけどー・・・
まぁ、白蘭サン楽しそうだし、問題ないといえば問題ないだろうけど。
「そうに決まってんでしょー!」
「そんな悪いこと言う子にはお仕置きしなくちゃねー」
「白蘭サン」
「んー?正チャンどうしたのー?チャンのこと助ける気にでもなったー?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど。ここ僕の部屋なんでイチャつくのはご自分の部屋でお願いします」
「うん。じゃーそうするー」
「なッ!正チャン見捨てる気?!」
「はい」
「さーチャン。部屋に戻っていっぱいお仕置きしてあげるからねぇー」
「ヤダ!!ご飯でしょ!ご飯!ご飯食べに行きたいーーー!!!」
† 君はもう白という色に染まっているんだ †
(とりあえず、頑張ってください。でも、白蘭サンが珍しいな・・・誰かを欲しいなんて言うなんて。)
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