† 君へ愛情いっぱいのキスの雨を †
「・・・風邪、引くよ。ただでさえ薄着なんだし」
「な、なんでいんだよ?!」
「それはこっちの台詞!!なんで、まだ帰ってないのよ!!」
帰ってることを確認しにきたのに!!!
それなのに、ディーノはまだベンチに座っていた。
さっき声かけた時と同じ様子で。
「それは・・・なんか動けなくて」
「・・・私は気になりだしたら止まんない性格なんだもん」
「ははっそっか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ハンカチ、それしか持ってないからティッシュでも濡らすべき?」
「・・・いや、いい。大丈夫だ」
「・・・そう」
「・・・ごめんな」
「なんで謝るかな」
「俺、の気持ちとか全く無視した行動しちまった」
「だーかーら、一発叩いたでしょ?謝んのは恋人にしなさい」
そうだよ。
恋人に謝るべきでしょ。
弱ってた時だったからって、他の女にキスして・・・
「・・・別れた」
「は?」
「さっき別れたんだよ。聞こえなかったか?」
「いや、さすがに会話までは聞こえなかったし」
「別れたんだ。だから・・・」
「何?」
「もう一回キスしてもいいか?」
「なっ?!・・・んっっ」
私の返事なんて聞かずに塞がれる唇。
「もう一回」
「んっ」
唇を放したかと思えば、一言、もう一回と呟いて・・・
また、唇が塞がれる。
さっきよりも、深い口付け。
息もできなくて、とろけそうな。
「もう一回・・・痛てぇ!!!」
「いい加減にしやがれ!!!」
次に唇を放した瞬間。
また紡がれた、もう一回の言葉を無視して隙だらけの身体に拳を一発。
突然の痛みに、目の前の彼は少し涙目。
「・・・なんで?」
「なんでって聞く?!普通聞く?!むしろ私が聞きたいわ!!」
「好きなんだ」
「はぁ?!」
「お前のことが気になってしょーがねぇんだよ!!」
「意味わかんないから!!!」
「わかれよ!!」
「逆ギレ?!」
「好きだ、好きなんだ。誰と一緒にいてもお前のこと考えちまって、気になって仕方ねぇーんだよ!!」
「んっ?!っんーんーんっっ?!」
言いたいこと言いたいだけ叫んだかと思えば、また、唇を奪われる。
さっきの、とろけそうなキスとは違う。
荒々しいキス。
「好きだ・・・」
「・・んっ」
抵抗しようと、振り上げた腕は簡単に掴まれて。
唇を放すたびに紡がれる好き、という言葉に酔わされそうになる。
「好きなんだ」
「んんっ?!」
「わかってくれよ・・・頼むから・・・」
「わ、わかった!わかったから・・・っ!!とりあえず、ストップ!!」
ディーノの頭にとりあえず、頭突きを一発。
よし、動きが止まった。
「痛ってぇ・・・この石頭。おまけにムード壊すし」
「アンタが悪いんでしょ!何か言う間もなく、キスいっぱいしてきて・・・!!!」
「だって・・・したかったから」
「欲求不満の思春期の男子か!!!」
「いや、もう思春期は越えてるはず・・・多分」
「とりあえず、私にも喋らせろ!!」
「あ・・・はい。ごめん」
「あーもう何話せばいいんだろ。わけわかんない」
「いや、お前が喋らせろって言ったし・・・」
「言ったよ、言いましたよ!あぁー・・・とりあえず、寒くない?」
「ちょっと寒い」
「じゃあさ、あったかい飲み物でも買いに行こうよ」
「いらない」
「いや、だって寒いし」
「じゃあ・・・こうしてたらあったかくなるんじゃねぇ?」
そう言って、ディーノは私を抱きしめた。
思いっきり。
「あぐっい、息ができない・・・っ」
「お前ホントムード壊すよなぁー・・・」
「だ、だって、ホント息できなかったし!!!」
「それでも我慢して普通は抱きしめられてるもんだろー」
「何よ!窒息したらどうしてくれんの?!」
「あー・・・その時は人工呼吸でもするわ」
「あぁーもう、なんだろ・・・アンタといると疲れる」
「俺も」
「・・・でも、嫌いじゃないよ。ムカつくけど」
そんなこと言ったら、ディーノはもう一度私を抱きしめた。
今度はさっきよりも優しく。
だから、ムードを壊さないように黙って抱きしめられてた。
† 君へ愛情いっぱいのキスの雨を †
(あー・・・なんか超絶恥ずかしい。今すぐ蹴っ飛ばして逃げたい。)
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