† 腕の中に収まる小さな命 †










「なぁー乗れって。送って行ってやるから」


「いらない」




・・・・・・強情な女。

山本ん家から飛び出したと思えば、家の周りを行ったり着たり。

つまりは、迷ってるってこと。

まぁ、この辺着たことなかったら仕方ないよな。

さっきは俺が無理やり車に乗せて来たんだし。




「強情」


「うるさい。あ、知ってる道っぽい・・・・・・よかった」


「なぁ、お前っていつもそんなんなのか?」


「何が?」


「その態度」


「態度?」


「あぁ。なんていうか・・・可愛くないぜー」




普通に可愛いのに。

ちっさくて小動物みたいな感じで。

口を開けば、可愛くない発言ばっか。




「・・・うるさいうるさい!」


「近所迷惑」


「・・・・・・」


「ははっおとなしくなったな。ってことで!」


「うわっ」




扉を開けて、隣を歩くを引き寄せる。

いきなりのことで驚いたのか、は目を見開いて俺を見る。

俺の腕にすっぽりと収まる身体。




「な、何すんのってか、顔近い!!!」


「ロマーリオ、出してくれ」


「あ、ちょっと!なんで、車の中?!」


「迷子になりそうだし」


「な、ならないし!」


「嘘付け。さっき山本ん家出た瞬間に迷ってただろ」


「あれは、私の知らない道だったし。この辺知ってるし!!!てか、この体勢しんどいんだけど!!」




俺の腕の中にすっぽり収まったままが叫ぶ。

あー確かにしんどそう、特に腰とか。

俺は座ってるだけだから楽だけど。




「あー悪い悪い。なんか、このすっぽり収まる感じが妙に新鮮で」




多分、俺よりめちゃくちゃちっさいからだよなぁー。

身長差40cmくらいありそうだし。




「降ろして!!車から!!」


「嫌」


「アンタねぇ!!」


「なぁ、もうちょいこのまま抱きしめてていいか?」


「はぁ?!」


「抱き枕抱いてるみてぇー」


「家帰って抱き枕に抱きついてください」


「えぇーイタリアまで遠いし。まだ帰れねぇーし」


「じゃあその辺の店で抱き枕買いやがってください。パウダービーズの抱き枕とかおすすめしとくから」


「なんだぁ?デートの誘いか?」


「違います」


「うわっ即答」


「とにかく!離せーーー!!!」


「嫌」


「あのねぇ!アンタは座ってるだけだから楽かもしんないけど、この体勢ホントにしんどいの!!」


「じゃあ体勢変更」


「はぁ?」




疑問符を浮かべてるを軽く持ち上げて膝と膝の間に座らせる。

うちの車割と天井高くてよかったよなー。

頭ぶつけずにすんだみたいだし。




「なっ何、この体勢!!」


「これなら楽だろー」


「楽とかそんな問題じゃなくて、おかしいから・・・!!」


「大丈夫だって。あーなんかホントちっせぇー」


「殴る、殴ってやる!!」




殴ろうとする手を掴めば、悔しそうな顔。




「無理だって。俺とお前じゃ力の差が半端ないから・・・っいてぇ!!」




余裕で笑ってたら突然、頭に痛み。

しかも、半端ねぇ!




「攻撃できるのが手だけだと思うな!」


「捨て身の攻撃かよ・・・」


「だって腕掴まれてるし」


「なんていうか・・・お転婆姫だよなぁーお前」










† 腕の中に収まる小さな命 †

(なんていうか・・・可愛い女だよな、お転婆だし)



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