† 私にだって逃げたい時ぐらいある †
「やぁ、死神姫チャン」
「・・・どちらサマー?」
白い物体に声かけられた・・・!
いや、物体なんて言い方失礼だね。
白い塊・・・あ、どっちもどっちか。
「僕は、」
「あ、ストップ。やっぱり名乗らないで、関わりたくないから」
そうだ。
ただでさえ、全身全霊で厄介さをアピールしてるし。
そういう人間とは関わらないに越したことはない。
てか、関わるな、自分。
「うわぁーヒドイなぁー」
「だって、関わったらろくでもないことになりそうだし」
「あはっ僕は白蘭」
「だぁぁ!!名乗るなって言ったのに!」
「えぇーだって、思いっきり拒絶されたら意地でも名乗りたくなるでしょ」
「確かにその気持ちもわからないでもないけど!!」
「じゃーいいじゃん」
「はぁー・・・まぁ厄介なのが知り合いに増えた」
「あははっ噂どおり、死神姫チャンって面白い子だねぇー」
「イヤだなぁーその面白いって言われてる噂。てか、死神姫って呼ぶのやめてくれない?」
「えぇーだって僕、君の名前知らないしー」
「。」
「うん、知ってるけどねー」
「だぁぁ!やっぱりコイツ、厄介だよ」
「死神姫のチャンって有名だし」
「いーえ、はいつでも日陰の女なんですー」
「日陰、ねぇ?」
「てか、なんでジェッソファミリーのボスが声かけてくるかな」
「あっ僕のこと知っててくれてるんだー。嬉しいなぁー」
「そりゃ、知ってるに決まってるでしょ。の情報収集能力なめんな」
あーそっか、今日だったんだ。
今日だとわかってれば・・・外出なんて一切しなかったのに!!!
ジェッソファミリーのボス、白蘭。
私の瞳が見せる先視、その未来の中にこの男の存在は確かにあった。
あんまり害がなさそうだったから頭の片隅に追いやってたけど、全く持って勘違いだったみたいだね!
「うん、ホントみたいだねぇー。その綺麗なサファイアの瞳も」
「あ、それも知ってるんだ」
「まぁねー。それにしても綺麗な瞳だよねぇー」
「そりゃどーも」
「抉って僕のコレクションにしたいなぁー」
「それはマジやめて」
「うん、やらないよー。チャンについてるほうが綺麗そうだし」
「あぁーもう、目抉るとか言いやがるから目に違和感感じるじゃん」
「えぇー大丈夫ー?」
「だいじょー・・・んっ?!」
白。
目の前に白。
頭の中も真っ白。
「あはっなんか、チャンが可愛かったからキスしちゃったー」
「あ、アンタねぇ!!!」
「別にいいでしょー。どうせ、初めてってこともないだろうし」
「そりゃ初めてじゃないですけどねぇ!」
「じゃーいいじゃん」
「いや、よくないから。普通よくないから」
「えぇー」
「はぁ・・・なんで初対面の男にキスされるかな。しかも唇に」
「んー唇じゃなかったらよかったのー?」
「挨拶ってことで自己完結するから」
「うわっよかったー唇選んで」
「あぁーーーもう、なんでこんな厄介な奴ばっかなんだろ」
このイタリアのマフィア界って厄介な人間ばっか。
ボスレベルになるともう厄介さが半端ない。
ちょっと部下に同情。
† 私にだって逃げたい時ぐらいある †
(とりあえず、今すぐ逃げたい。)
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