† 誰かを思って流す涙 †
「ねぇ、やめようよ」
「うん、無理」
「レオくん殺したって意味ないって」
うん、ごめん・・・意味はあるんだと思う。
だって、レオくんは骸だし。
とりあえず、意味がないことはない。
それに私はわかってた。
今日がこの時だって。
だって、今日の花は・・・ダチュラだから。
「意味はあるよー。レオくんって六道骸くんが憑依してるんだもーん」
「・・・・・・」
「チャンも知ってたでしょ?」
「それはっ・・・」
「別にチャンがレオくんの正体知ってて黙ってたとしても僕は怒らないよー」
「・・・白蘭も知ってたんだもんね、レオくんの正体」
「うん」
「私、レオくんのこと気に入ってたのに」
色んな意味で。
素のレオくん見るのも楽しかったし。
会話してて面白かったし。
何より、白蘭への愚痴を聞いてくれちゃうもんね!!
「うん、知ってる」
「でも、白蘭は本気でレオくんのこと殺す気なんだ」
「また泣かせちゃったらごめんね」
「泣いてやる、大泣きしてやる」
目が腫れるくらいまで。
・・・誰かが死んで泣くなんてまだしたことないけど。
私、きっと泣くと思う。
そんな気がする。
「うわぁー性質悪い」
「そんなの白蘭に言われたくないでーす」
「てか、僕を無視するのやめてくれません?」
「いや、今の隙にしっかり逃げちゃってくれたらよかったんだよ」
逃げれたはずなのにねぇ?
まぁ、そんなに甘くないだろうけど・・・白蘭は。
でも、とりあえず、私だって頑張ってレオくんから話反らしてたのに!
全く私の行動は骸にとって無意味なものだったんだね!!
「なっ・・・」
「わぁーレオくんが骸くんになってるし!」
「あーあ、私、マジでレオくんのこと気に入ってたのに」
「えぇーそんなこと言われたら余計にレオくんのこと殺したくなっちゃう」
「いや、だからやめようよ」
「やめませーん」
「だから、僕を無視するのやめてくださいって言ってるでしょう!!」
「うわっなんか無意味に逆ギレされたし!」
「逆ギレもしたくなりますよ!!」
「もうちょっと温和に行こうよー」
短気だよねーホントに。
まぁ、私が暢気なのかもしれないけど。
あーでも、ホントレオくんがいなくなっちゃうのは寂しいなぁ・・・
私の遊び相手。
「はぁーい、じゃあチャンは部屋に戻っててねー」
「は?」
「僕としてはレオくんっていうか骸くんを殺すところはチャンに見せたくないの」
「いや」
「ダーメ」
「どうせなら見届けさせてよ」
「ダメ」
「なんで?」
「チャンは弱い子だから」
「・・・・・・」
「はぁーい、おとなしく部屋で待っててねー。全部終わったら迎えに行くから」
そう言って、白蘭は私を部屋に追いやった。
「ちょっと!白蘭、開けなさいよ!!!」
どんなに扉を叩いても何も聞こえない。
外の音が聞こえない。
私の部屋には今、私の声しか聞こえない。
外部の音を遮断された部屋。
「白蘭!骸!レオくん・・・っ!!!」
どんなに叫んでも何も変わらない。
わかってる。
白蘭がちょっと優しいこと。
優しいからレオくんを殺すところ見せないようにしてること。
でも、わからない。
絶対、わかってなんかあげない。
「白蘭のバカヤロウ」
◇◇◇
「あなたも人間らしいところがあったんですね」
「うわぁー骸くんってばチョー失礼!」
「そんなに彼女のことが大事ですか?」
「うん、大事。何よりも」
「・・・は?」
「チャンのことは僕も自分でもびっくりするくらい大切なんだー」
ホント馬鹿みたいに。
あの子が大切で仕方がない・・・けど、止まらない。
止められるわけがない。
「彼女も気の毒ですね」
「だねー」
でも、チャンも相当なもんだよね。
性質が悪すぎる。
もう僕でもびっくりしちゃうくらい。
まぁ・・・それも可愛いなんて思っちゃってるんだけど。
あはっ重症。
「さーって、さっさと終わらせよっか」
早くチャンの顔見たいし。
うわぁー僕、チャンにぞっこんみたい。
本当に・・・危険分子だよね、チャンって。
† 誰かを思って流す涙 †
(大泣きしてるんだろうなぁーチャン。)
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