† 笑顔で貴方に背を向けて(そして大粒の涙をポロポロ流した) †
「お待たせ、ディーノ」
「」
「どうしたの?」
「どうしたの?・・・じゃねぇーだろ」
「うん、そうだね」
白蘭はツナくんを殺した。
つまりは・・・今の私はディーノの敵。
「。ウチに来ねぇーか?」
「え?」
「一人くらいだったら全然大丈夫だし、な?」
あぁ、どうしてあなたは・・・こんなにも優しいの。
本当はその優しさに縋りたい。
ディーノと一緒だったら、きっと、幸せ。
でも、
「・・・ごめんなさい」
「・・・」
「ありがとう」
「・・・わかってるのか?これから、ミルフィオーレファミリーは・・・」
「・・・うん、大体のことは。もっとも・・・あの人が考えてることだけがさっぱりなんだけどね」
ほとんどのことは知ってる。
これからの展開も、最期まで。
でも、白蘭が何を考えてるか、それだけが全くわからない。
「なぁ、俺を選べよ」
「ディーノ」
「俺を選んで欲しい。絶対に幸せにするって、何があってもお前のこと守るって約束するから」
「・・・約束って、苦手なの」
「え?」
「だって・・・約束では何も縛ることができない」
「」
「すごく、すごく嬉しかった」
幸せになれるって確信が持てる。
だって、こんなにも、私のこと大切に思ってくれているから。
ディーノと一緒にいれば幸せになれる。
ミルフィオーレ・・・白蘭の傍よりも、きっと、ずっと。
「でも、私は・・・あの人のこと放って置けないみたい」
あの人はわからない人。
でも、ひとつだけわかることがある。
今はまだ、私のこと・・・必要としてくれてるって。
「いつ捨てられるかもわからないんだけどね」
それでも、私は・・・あの人を選んでしまう。
「でも、私は選んだの。この道を」
「・・・俺と敵同士になってもか?」
「・・・うん、正直辛いけど仕方ないこと」
「」
「来ないで」
「お前・・・!」
「銃って初めて持ったけど、すごく、重いんだね」
重い、重い、鉄の塊。
人を殺す道具。
それを今、私は、大切な人に向けている。
「!やめろ!お前にそんなの似合わねぇーって!!」
「わかってる。私、だってこんなにも震えてるんだもん」
銃を構える手が震える。
「でもね、私はこの道を選んだ。だから・・・さよなら、ディーノ」
鈍い音が響く。
目を開けていられなかった私は、銃弾がどこに行ったか知らない。
「ボス!!」
「撃つな!」
「だが・・・!」
「いいんだ、これで」
一斉に私に向けられる銃口。
それを制したのは、私が撃った、彼。
ディーノの肩からは血が流れていた。
「。大丈夫だ、掠っただけだし」
「・・・・・・ごめん、な・・・さい」
「俺こそごめんな」
「・・・・・・」
「行け」
「・・・・・・大好きだったよ、ホントに」
◇◇◇
追いかけたい、でも、追いかけない。
追いかけてはいけない。
「ははっ・・・痛ってぇー」
傷か、心か。
その両方か。
「ボス」
「ざまぁーねぇーよな、ホントに」
無理やりにでも奪ってやるつもりだった。
ずっと傍にいてやりたかった。
でも、できなかった。
アイツが、自分で選んだ道だったから。
「悪かったな、付き合わせて」
「当たり前だろ、坊ちゃん」
「・・・ははっそーだな」
なぁ、。
お前はこれからどうなるんだろうな。
・・・・・・できることなら、死なないで欲しい。
ははっ俺も甘いな・・・
アイツは俺の敵になる道を選んだってーのに。
「あぁーちくしょー。今からでも追いかけてぇー」
絶対泣いてる。
もう、大泣き。
涙いっぱい流して・・・
あぁーすっげぇー見たい。
「坊ちゃん」
「わかってるって。俺も・・・けじめつけなきゃな」
「・・・ディーノっ」
「・・・なんで、戻ってきた・・・?」
「ひとつ言いたくて」
「・・・・・・なんだ?」
「今まで、ありがと。ディーノに逢えてよかった」
「・・・・・・お前、ズルイ」
抱きしめたい。
俺の腕の中に閉じ込めてしまいたい。
アイツのところになんか行かせたくない。
「うん、知ってる。だから、私のこと嫌いになって」
「そんなの・・・なれるわけねぇーだろ」
「あーあ、やっぱり楽させてはくれないか」
「当然」
「ホントに、嫌いになってよ。そうすれば、私は笑ってディーノの敵になれるのに」
「そんなに俺の敵になりたいのか?」
「んーん。なりたくないよ。できるのならば・・・ずっと、一緒にいたかった」
「なぁ・・・ブレス、外してもいいか?」
「え?」
「俺が持っておきたいんだ」
「・・・どうして?」
「・・・・・・お前のことが・・・好きだから」
「・・・・・・」
「多分、このブレスを見る度にお前は泣くから」
「・・・・・・」
これでも、結構のこと見てきたつもりだし。
弱いことも知ってるし。
いっぱい泣かせてもきたし。
「・・・・・・わかった。・・・ありがと、ディーノ・・・最後まで私のこと想ってくれて」
そう言って、は自分でブレスを外した。
ブレスの下には無数の傷跡。
きっと、決断を下すまでの間でも深い傷になったんだろうな・・・
「今までホントにありがと。なかなかけじめがつけられなくてごめんね。でももう、大丈夫だから」
「・・・・・・あぁ」
「もう振り向かないから」
「あぁ」
「大好き。でも、さよなら」
俺はただ、俺に背を向けて歩き出すを見ていることしかできなかった。
の姿が見えなくなるまで、ずっと。
† 笑顔で貴方に背を向けて(そして大粒の涙をポロポロ流した) †
(・・・愛してた、本当に。・・・違うな。愛してる、今も)
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