† 人間とは、必ずどこかで己の欲が働いている †
「はいはーい、ディーノくんって言うかジェッソファミリー以外は立ち入り禁止でーす」
出やがった。
っていうか、やりやがった。
ドン・ジェッソ・・・独占欲強すぎじゃねぇ?
「あ、もしもし?だよな?」
「んー?」
「悪いんだけど、出てきてくれねぇ?」
「ん、わかったー。入り口でいい?」
「おぅ」
「じゃあ今から行くー」
よし、これでいい。
さすがのドン・ジェッソもが来たらなんか動くだろ。
「うわぁーディーノくんってばずーるーい」
「いや、お前のほうがズルイだろ」
「えぇー」
「四六時中と一緒にいるくせにその独占欲はどうかと思うぜ?」
「僕、そんなに独占欲強くないつもりなんだけどなぁー」
「どこがだよ!」
「うわぁー突っ込まれたー」
「の携帯に盗聴器つけてる時点でお前は独占欲強いっつーの!」
「えぇー盗聴器なんてつけてないよー」
「棒読みすんな!」
「ディーノくんこそ、チャンと同じ突っ込みしないでよねー」
「は?」
「チャンだったら許してあげるけど、ディーノくんは許さないからねー」
「意味わかんねぇーんだけど」
「僕はチャンの携帯に盗聴器なんてつけてませーん」
「マジ?」
「マジだよー」
「じゃあなんで俺がをデートに誘ってるのわかったんだよ」
「それはー・・・チャンの部屋に盗聴器が付けてあるからでーす」
「携帯より性質悪いだろ!!!」
「えぇーだって心配だしー。逃がしたくないしー」
部屋に盗聴器は携帯よりも性質が悪い。
てか、性質が悪過ぎる。
「あ、でも四六時中盗聴できるわけじゃないんだよー」
「は?」
「電話とか外部からの伝達のみ盗聴できることになってるんだーだから、チャンのプライバシーは守ってまーす」
「いや、外部からの伝達を盗聴してる時点でプライバシーは守られてないと思うんだけど」
「えぇー」
「まぁ、まだマシか。プライバシーも何もないんじゃさすがに可哀想過ぎるだろ」
「僕だってチャンのプライバシーを覗く趣味はないでーす」
「じゃあ盗聴器もやめてやれよ」
「ヤ・ダ」
「なんでだよ」
「さっきも言ったじゃん。チャンを逃がしたくないの、僕は」
逃がしたくない、か。
・・・マジ、独占欲強すぎ。
「ディーノくんに奪われるとか絶対イヤだし」
「そんな風に言われたら余計に奪いたくなるんだけど。てか、今からデートだし」
「んーデート自体は別にいいんだけどねー」
「は?」
「だって、チャン絶対に帰ってくるし」
「なんだよその自信」
「チャンは絶対に僕のところに帰って来るんだよー・・・今はね」
◇◇◇
「ディーノ!おまた・・・なんで白蘭が一緒にいるわけ?」
「ディーノくんを通せんぼ中なんだよー」
「なんで?」
「んーなんとなく?」
「まぁいいや。遅くならないうちに帰ってくるから」
「うん、気をつけていっておいでねー」
ほら、ね?
チャン、自分で帰って来るって言ったし。
僕が言ったこと、間違ってないでしょ?
「さ、ディーノ。どこ行くの?ランチ」
「お、おぅ・・・なんか食べたいもんあるか?」
「んーじゃあ、ピッツア」
「ピッツアなら美味しい店知ってる」
「うわっそれは楽しみ」
「ピッツアの後ブレス見て、カフェでお茶でもしようぜ」
「うん、楽しみ。じゃあ白蘭、行って来るねー」
「いってらっしゃーい」
◇◇◇
ほら、やっぱり僕、そんなに独占欲強くなくない?
だって、一緒に行くとか言わなかったし。
ホント、失礼しちゃうよねーディーノくんってば。
† 人間とは、必ずどこかで己の欲が働いている †
(だって、チャン、最後には絶対に僕のところに帰って来るんだもん。)
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