† 笑顔を張り付けたまま(彼は人を殺していく) †
「よし、あとは・・・あ、そうだ」
マシュマロでも買っていこう、うん。
私は食べないけど。
・・・白蘭用・・・ってつもりもないけど!
カード貸してもらったし、お礼ってだけ!
「えっと、お菓子屋サンお菓子屋サン・・・」
・・・・・・お菓子屋サンなんて知らないよ!!!
てか、マシュマロってどこに売ってるんだっけ・・・
あ、スーパーとか?
この世界に来るまではマシュマロ売ってるの見てはちょっとキャーキャー言ってた、なんて懐かしい。
「うわっあ、ごめんなさい」
「ボス、この女が間違いなく・・・」
「連れて行け」
「はい」
「・・・うぐっ?!」
考えながら歩いてて、前を見てなくて目の前の人にぶつかった。
だから、謝った。
ここまでは、何もおかしくない・・・はず。
それなのに、思いっきりお腹を殴られて・・・私は意識を失った。
◇◇◇
「白蘭様!!!」
「なぁにー?騒々しいなぁー」
「様が!!」
「チャンがまた何かしたのー?放って置いていいよー」
チャンがすることなんてたかがしれてるし。
僕的にはたいしたことないし。
「・・・・・・」
「何?言いたいなら言ってもいいよー?聞くかはわかんないけど」
「様が・・・カルピアートファミリーに・・・」
「は?」
「カルピアートファミリーに誘拐されました!!!」
「はぁ・・・なんてあの子、こんな厄介体質なんだろ・・・」
全く、何考えてるんだか・・・
てか、カルピアートファミリーもよく、チャンの存在を知ってたよねー。
むちゃくちゃ一般人って感じしてるのに。
「白蘭様」
「うん、わかった。この件に関しては他言無用で、あ、僕が何とかするから」
「か、かしこまりました!!」
さーて、どうしようかなぁー。
カルピアートファミリーねぇ?
・・・・・・どんなファミリーかまず想像もつかないんだけど。
僕、そんなに敵作っちゃってるのかなぁー。
◇◇◇
「・・・・・・あのねぇー白蘭は来ないって」
あの人は来ない。
そうだよ、絶対に来ない。
だって・・・捨てるときは一瞬。
こんな、面倒なこと起こした時点で、捨てられるのも当然。
「ははっどうだろうな」
「だから、来ないって」
「・・・ボス。ドン・ジェッソがお見えです」
「なっ」
なんで・・・?
「ここに通せ」
「かしこまりました」
「よかったなぁーお姫さん」
「・・・・・・」
「あはっホントに掴まってるねぇーチャン」
「・・・・・・」
「黙れ!少しでも動くとこのお姫さんの命はないぞ!!」
首元に突きつけられるのはナイフ。
つまり、白蘭がちょっとでも動いたらナイフで首をザクッと。
やだ、死にたくない。
死にたくないよ・・・
でも、そんなこと言えない。
そんな、弱い女だって思われたくない。
・・・・・・捨てられたくない。
「こ、殺せばいいじゃない!!私一人いなくなったって、白蘭は!!」
何も変わらない。
そうだ。
私がいても、いなくても何も変わらない。
白蘭は何も変わらない。
「・・・殺しなさいよ!!!」
「あはっチャンってやっぱり強がりだよねー」
「なっ」
「嫌いなんだよねー意味もなく強がる子って」
「・・・泣き叫ぶ子も嫌いなくせに」
「うん、嫌い」
「・・・じゃあ、殺しなさいよ!殺せばいいじゃない!!!」
「でも、チャンだったらいいかなぁーって」
「え?」
「無意味に強がったりしてるのもチャンだったら可愛いなぁーって」
「何よ、それ」
「つまりは、チャンなら可愛いってこと。だから・・・まだ死なせてあげない」
そう言って白蘭は私を捕らえていた奴に銃口を向けた。
一瞬の動きで、私を捕らえていた奴は地面に落ちる。
カタン、とナイフが一緒に。
そのときの白蘭は怖かった。
それこそ、誰もがゾッとする微笑み。
「さ、チャン。帰ろっかー」
「え、あ・・・や、やだっ」
私に伸ばされた手。
白蘭の手。
私はその手を叩いた。
どうしてだろう。
彼が人を殺すことくらい、わかっていたはずなのに。
どうして、私は怖がってるんだろ・・・?
「あ、あの・・・ごめ、ごめんなさ・・・っ」
「うん、いーよ。でも、ここに長居するわけにはいかないから・・・・・・ごめんね」
白蘭の・・・ちょっと、悲しそうな顔が近づいた途端、私は意識を失った。
◇◇◇
「チャン、ごめんね」
意識を失っているチャンにポツリと呟く。
別に怒ってないよ、僕の手を叩いたことなんて。
だって・・・チャンは一般人だから。
死体なんて、見たことなかっただろうし・・・
てか、まず銃で人が殺されるところを間近で見ることなんてないよね。
「あー・・・・・・なんなんだろ、このもやもや感」
† 笑顔を張り付けたまま(彼は人を殺していく) †
(あぁーなんか変な感じ。)
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