† 素直になれないのは、貴方が傍にいるから †










「じゃあな、。また遊ぼうなー」


「・・・ホントに帰っちゃうの?」


「あぁ、居てやりたいのは山々なんだけどさー」


「じゃあ居てよ」


「今日はダメだ」


「・・・・・・」


「ちゃんと解決しろよードン・ジェッソ。・・・そうじゃないと張り合いないから」




そう言って、ディーノはロマーリオさんと帰って行ってしまった。

私と、白蘭を残して。

・・・気まずい。

白蘭、喋んないし。




「さーって。邪魔者はいなくなったしーチャン、何乗る?」


「え?」


「僕、そういえば遊園地って初めてかもー」


「そ、そうなの?」




なんか、白蘭が普通だ・・・

さっきの怖い空気とは違う。

いつものよくわかんないけど、居心地がいい空気。




チャン、大丈夫だから」


「え?」


「さっきは怖がらせてごめんね」


「う、ううんっ」


チャンが僕の言うこと聞けないのもわかってるからね」


「・・・ごめんなさい、怖がりで」


「んーん」


「ちょっとはね、白蘭も優しいってことわかってるんだよ」




私が勝手に持ってたイメージとはちょっと違ったのは本当。

もっと残酷で残虐、そんなイメージだったけど、ちょっと私に優しい。

もちろん、私の思い違いだったり、自意識過剰なのかもしれないけど。




「えぇーちょっとだけー?」


「うん、ちょっとだけ。ディーノのほうが優しいもん」


「ディーノくんだってドSじゃんー」


「それは否定しない」


「あ、しないんだ」


「うん」




多分、私が白蘭の言うこと聞けないのは固定概念のせい。

勝手に頭の中に出来上がってるイメージ。

やっぱり、漫画のイメージが強いんだもん。

いくら本物を見てても・・・

捨てられるのが怖い。

やっぱり、飽きたら一瞬でポイってイメージ。

逆にディーノはどんなにドSでも、優しいイメージが強いし。

でも、ね。

ちょっとだけ、白蘭のこと分かるような気がする。

私のこと、嫌いじゃないって・・・




チャン」


「ん?」


「あれ、乗ろっか?」


「観覧車?」


「うん」


「や、ヤダ!密室じゃん!!」


「えぇーだからいいんじゃんー」


「よくない!!」


「はい。じゃあ強制連行決定ー」


「うわっちょっと!!」


「舌噛んでも知らないからねー」


「うぅ・・・ものすごい羞恥プレイ」


「大丈夫大丈夫」


「何を根拠に?!」


「僕が大丈夫って決めたら大丈夫なんだよー」


「その根拠のない大丈夫は却下です!」


「えぇー・・・まぁチャンがイヤイヤ言っても無視なんだけどねー」


「・・・・・・」


「あ、おとなしくなった」


「白蘭ってやっぱりドSだ」


「うん」


「今すぐ殴り飛ばしたい」


チャンには無理でーす」


「殴っていい?殴っていいかな?」


「ほら、そんな疑問を投げかけてるようじゃ僕を殴り飛ばすなんて無理無理」


「うぅー・・・」


「あ、大人二人ね」


「はい、行ってらっしゃいませー」


「あぁーっお姉さんー!せめて突っ込みくらいしてくださいー」




観覧車の係なお姉さんはニコニコ。

なんか逆に気まずいんですけどーーーー!!!




















◇◇◇





















チャンさーホント、ディーノくんに懐いてるよねー」


「観覧車に乗って第一声がそれですか」


「うん」


「仕方ないでしょー。懐きやすいオーラ全開」


「えぇーそうかなぁー」


「白蘭にはわからないと思いますー」


「全然わかんない」




ディーノくんに懐きたいなんて思わないし。

てか、なんかムカつくだけ。




「とにかく、ディーノが懐きやすいのは仕方ないの。納得しやがれ」


「じゃあさー僕にも懐いてよ」


「は?」


「そうだよ。チャンが僕にも懐いてくれればいいんだよー」




うん、それが一番いいね。

チャンが僕にも懐いてくれればなんだか解決。




「いや、無理」


「うわっ即答とかひどくない?」


「だって無理でしょ。無理無理、絶対無理」


「えぇー」


「ディーノはいいお兄ちゃん。白蘭は白い悪魔・・・ほら、ねぇ?」




ちょっとチャンひどくない?

てか、失礼すぎる。

なんでこんなにこの子、僕に対して変なところで強気なのかな?

・・・あぁ、あれかな。

僕に捨てられるのが怖いから強がってる。




「ホント、馬鹿だよねぇーチャン」


「いきなり何言いやがるんですか」


「だって馬鹿なんだもん」


「失礼ですね、白い悪魔サマ」


「それは僕の台詞」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「はぁ・・・観覧車って苦手」


「え?」


「気まずい空気になっても逃げれないから」


「あはっ逃げるの得意だもんねぇーチャン」


「簡単に逃がしてくれないくせによく言いやがりますよ」


「うん、逃がしてなんてあげない」


「あー高い高い。ここから落ちたら間違いなく即死だわ」


「一瞬で死ねちゃうだろうけどねー」


「でも、痛そう。痛いのは嫌」


チャンってホント色々矛盾してる子だよねー」


「だって仕方ないでしょ。世の中矛盾だらけ」


「うわっ開き直ったー」


「当然」


「あ、そーだ」


「ん?」


「遊園地の入り口で聞いたんだけど」


「うわっな、何?!」


「観覧車の頂上でキスしたら永遠に一緒にいられるんだってー」


「・・・んっ?!」




チャンの顔がなんか可愛かったから、

その唇を角度を変えて何度も貪る。




「んーんーんーっっ!!!」


「あー面白かった」


「はぁ・・・はぁ・・・っ」




チャンは息が続かなくて必死だったし。

今も、必死に息を整えてる。

うん、面白いもの見たなぁー。




「これでチャン、ずっと僕の傍から離れれなくなっちゃった」


「何しやがるんですか!!あぁーーー!!意味わかんねぇーー!!」


「えぇーわかりやすいでしょー」


「キス魔キス魔!!!半径一メートル以内に近づくなーーー!!」


「無理でーす」




涙目で顔真っ赤にしてるチャン。

あはっホントに面白いなぁーこの子。










† 素直になれないのは、貴方が傍にいるから †

(・・・僕も結局のところ、この世界のチャンが好きなのかな。)



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