† 大丈夫だって、誰もお前を傷つけないから †
「ボス。ほら、嬢ちゃんに」
「サンキュ、ロマーリオ」
「ほら、。ジュース」
「・・・ありがと」
・・・・・・。
あぁー恥ずかしい恥ずかしい。
何してんだろ、自分。
ホント性質悪いなぁー・・・てか、泣きすぎ。
「ー。俺にも一口頂戴?」
「ん」
「サンキュ」
私、こんなに簡単に泣けるタイプじゃなかったはずなのにー。
なんでか、この世界に来てずっと泣いてるような気がする。
「さてと、何乗りたい?」
「何でもいい」
「何でもいいってなぁー」
「・・・だって、わかんないし。決めるの苦手」
「んー・・・じゃあ、メリーゴーランドとか?」
「また、子ども扱いする」
「いや、子ども扱いはしてないつもりだぜ」
「え?」
「俺はお前のことお姫サマ扱いしてんだよ」
「お姫サマ?!そんなのガラじゃないから!!」
「そんなことないって」
「・・・ある。あるったらある」
お姫サマとか、まずありえない。
「ほら、とりあえず行こうぜ。メリーゴーランド」
「わっちょっと、ディーノ!!私、乗るなんて一言も言ってないーーー!!!」
腕を掴まれて私はずるずるメリーゴーランドがあるだろう方向に。
腕を掴むディーノはなんだかものすごく楽しそう。
・・・・・・嫌な予感。
「だめ、もう決めたから」
「・・・・・・わかったわよぉ・・・」
「大丈夫だって。しっかりお姫サマ扱いしてやっから」
「い、いらない!」
「がいらないって言っても俺がしたいからする」
「横暴だぁーーー」
「これくらい横暴じゃねぇーとマフィアのボスなんて務まんねぇーよ」
「それはなんか納得」
確かにそうだ。
多少の強引さは必要だと思う。
「大人二人」
「はい、お好きな馬にどうぞ」
「どれ乗りたい?」
「ど、どれでもいい」
てか、なんかやっぱり恥ずかしい。
ディーノってば大人だし、私だって一応大人だもん!
大の大人が二人してメリーゴーランドっていう光景がなんか恥ずかしい・・・!
「・・・お、これいいじゃん」
「ディーノ、それなんかでかい」
「これにしよーぜ」
「わっちょ、ちょっとっな、なんで?!」
でかい馬を見てぼけぇーっとしてた私に伸びた手。
てか、いきなり抱き上げられた・・・!!!
で、乗せられたのはディーノが選んだでかい馬。
むちゃくちゃ高いんですけど・・・!!!
「だって、の身長からして一人で乗るなんて無理だろ?」
「ちっさくて悪かったわねぇl!!!」
「それに、ほら・・・お姫サマ扱い」
そう言って、私の手の甲に口付けるディーノ。
ご丁寧にチュッって音までつけて。
私、今絶対顔赤い・・・!!!
「ちゃんと掴まってろよー」
「あ、うん」
掴まれ、と言われたから素直に従ってみる。
だって、落ちたらマジ痛そうだし。
「って?!なんでディーノまで乗る?!」
「だって俺も乗ってみたいし」
「他にもいっぱい馬いるじゃん!!!」
今日は平日。
メリーゴーランドのお客さんは私とディーノだけ。
つまり・・・まだまだいっぱい馬はある!
似たような馬もいっぱいいる・・・!
「えぇーでもこれが一番でかいし」
「あんま変わんないじゃん!」
「ほら。俺、跳ね馬だし」
「意味わかんねぇーーー!!!てか、私が降りるから!」
「ダメ。俺はと一緒に乗りたい」
「・・・ッ耳元、反則!」
耳元に唇を寄せられて、紡がれる言葉。
近いし、なんかものすごく恥ずかしい。
「うわっ」
動揺して、バーを離してしまったら一瞬、宙に浮く感覚。
でも、地面は近づかなくて、腰を支えてくれているのは大きな手。
「あぶねぇー。ちゃんと掴まってろって言っただろー」
「・・・あ、ありがと」
てか、ディーノの攻撃のせいじゃん・・・!!
「ほら、動き出したからじっとしてろって」
反論しようと振り返ろうとすれば、ディーノに制される。
私が握るバーを私の手ごと包むのは大きな手。
・・・・・・なんか、やっぱり恥ずかしい。
「ディーノの馬鹿」
「ははっ落ちても知らねぇーぞ?」
「え、やだっ。顔面激突になるから!!!」
鼻からしっかり落ちる自信あるよ!
むちゃくちゃ痛いんだよ、絶対!
「大丈夫だって。そんなことさせないし」
「・・・・・・」
「それに、・・・ははっ顔真っ赤」
「・・・バカヤロウ・・・!」
「・・・・・・なんか、可愛いな」
「なっ」
何ボソッとそんなこと言ってんのよ、この男!!!
あぁー赤くなるな、自分!!!
「ずっとこのままでいたいかもー俺」
「わ、私は無理!!!」
耐えられないから!!!
今すぐ、顔面激突以外だったら降りたい衝動に駆られてるから!!!
「なぁーあと一時間くらいこのままでいねぇ?」
「いません!!一時間とか耐えらんないから!!」
確実に変な状況だから!!
一般人な私が一般人じゃなくなる・・・!!!
てか、今でも十分変に注目されてるから・・・!
「えぇーいいだろー」
「ダメ!私、止まったら降りるからね!!」
「落ちても?」
「落ちても!!!」
「・・・・・・だよなぁー。ははっ冗談だって。俺も一時間も乗ってたら飽きる」
† 大丈夫だって、誰もお前を傷つけないから †
(・・・メリーゴーランドなんて久しぶりに乗ったなぁ・・・)
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