† 明日が今日よりも少しでもいい日でありますように †
「あ。正チャン」
「あ、サン。ちょうどよかった、これ白蘭サンに渡してもらえます?」
「え、ヤダ」
「えぇ?!即答ですか?!」
「うん」
「と、とにかく・・・渡しておいてください」
「やーだ」
「いいじゃないですか!どうせ続きの部屋なんですし!!」
「面倒」
「僕だって面倒です」
「だって正チャンが渡さなきゃな書類でしょ」
「でも、話すことが面倒なんです。白蘭サンと話すことが」
「うわぁー正チャンってば強気ー」
「そうでもなきゃ白蘭サンと話すの大変なんですって」
「あー確かに。正チャンも色々頑張れ」
「は?」
「大丈夫。私は・・・何もしないから。てか、何もできないから」
「サン?」
「でも、どうせなら・・・今のままだといいな」
なんて、私の勝手な願い。
知ってることなんてたかがしれてるのにね。
白蘭が世界征服しようとしてるらしいことも・・・漫画読んで知ってるだけだし。
正チャンが言ってたことだからホントかどうかもわかんないし。
それこそ、最後まで白蘭のことわからなかった。
「ま、私の戯言に付き合ってくれたし・・・今日はその書類届けてあげる」
「あ、ありがとうございます・・・」
「渡すだけだからねー」
「はい、それで大丈夫です」
「じゃあ、ちゃんと渡しとくわ」
「お願いします」
「はーい」
「あ、サン!」
「ん?」
「あなたは・・・何を知っているんですか?」
難しい質問だね。
何を知ってる、か。
何も知らないっていうのも答え。
だって、結局のところ・・・私はきっと状況を理解はできていないから。
「知ってることと言えば・・・そうだね、最期まで」
「え?」
「でも、結局のところこの未来はどうなるかわかんない」
「・・・・・・」
「だからね、私は・・・何もできないんだよ」
未来を変えるのは怖いことだから。
だって、もしかしたら・・・
私が何かを変えようとして、変わってしまって大切な人を失うことになるかもしれない。
それは、嫌。
でも、変えなければ・・・必ず、失うことになる。
それでも、私は・・・わかっていても、何もできない。
「ま、大丈夫。ホントに何もできないから安心していいよ」
「・・・・・・」
「あーもう、睨まないでよー」
「・・・・・・」
「私、何も言わないから・・・・・・白蘭には」
「え?」
「だからそれで許してよねー」
「サン、あなたは・・・」
「私はただ、今の世界が好きなだけ。それ以上も、それ以下もないから」
私は今が好き、大事、大切。
ずっと、このままでいたい。
でも、それはきっと無理。
だから・・・今を大切に生きなきゃいけない。
後悔だけはしたくないから。
「正チャンはいつか私の幸せを壊すけど、それは仕方ないことだってちゃんとわかってるよ」
† 明日が今日よりも少しでもいい日でありますように †
(だから、ちょっとくらい正チャンに意地悪しても許されるよね!)
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