† 泣いたのは君、泣かしたのは僕 †
「服、ない」
「あー悪ぃ。えっと・・・今乾燥機まわしてるからこれでいいか?」
「ん」
ディーノが渡してくれたのはバスローブ。
そういえば、白蘭とディーノもバスローブ着てる。
「てか、二人はお風呂は?私お湯抜いちゃったけど」
「暖房で温まったし、大丈夫だ」
「・・・じゃあ、着てくる」
「あぁ」
白蘭が喋らない。
喋らないだけじゃなくて、私と目も合わせようとしない。
◇◇◇
「ったく・・・」
「何?」
「お前、今の顔鏡で見てみろよ」
「えぇー別にいつも通りの顔じゃないー?」
「どこがだよ」
「えぇー」
「、泣きそうな顔してたのも見てねぇーだろ」
「うん」
「・・・お前らホント性質悪ぃーな」
「性質が悪いのはチャンだけだよー」
「は可愛いからいーんだよ、多少性質が悪くても」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「チャンってさ・・・」
「私が何?」
「」
「ねぇ、私が何?」
「ストップ。とりあえず、、こっちに来い」
「ヤダ、私まだ話してんの」
やっと、私のほうを見た白蘭。
今、目を反らしたら負けのような気がする。
だから、私は絶対目を反らしてなんかやんない。
「あのなぁー色々目のやり場に困るんだよ」
「は?」
あ、白蘭が目を反らした。
よし、私の勝ち。
「やっぱフリーサイズのバスローブは合わないよな、うん。お前小さいし」
バス、ローブ?
「え、あ・・・っや、やだっ」
サイズが合わなかったから腰の紐でちゃんと調節してたのに!!
でも、そんな足掻きもむなしく、胸元がぱっかり開いてる。
ブラも乾燥機で一緒にまわってるから何もつけてないわけで・・・
見る見るうちに顔が赤くなってるのが自分でもわかる。
「ほら、調節してやっから」
「う、うん」
「チャン」
「な、何?・・・わっ」
白蘭に名前呼ばれたから目線をやれば、トンと身体を押される。
いきなりのことで思考が停止。
私はそのままベッドにダイブ。
よかった、後ろがベッドで・・・なんて思うのも束の間、目の前に綺麗な白蘭の顔。
「ドン・ジェッソ?!」
「なんで僕の言うこと聞けないの?」
「え?」
「お酒飲んじゃダメって言ったのに聞かないし、この傷僕以外に見せないでって言ったのも聞けないし」
「・・・・・・」
「ねぇ、どうして僕の言うこと聞いてくれないの?」
「わ、私は・・・」
どうして白蘭の言うこと聞けないんだろう。
・・・そんなの、決まってる。
「・・・・・・だって、怖いんだもん!!白蘭に飽きられるのが怖いんだもん!!!」
だって、あなたは捨てるのは一瞬。
いらなくなったら、飽きたらすぐぽいって捨てる。
私は、きっと、それが怖いんだ。
涙が止まらない。
私は、馬鹿みたいに泣いてる。
ホント、子どもみたい。
「・・・はぁ」
ため息をついたのはディーノ。
「ほら、」
「うわっちょっと、ディーノくん蹴るなんてひどくない?!」
「いや、悪ぃ。蹴るつもりなんかなかったんだけどさ・・・なんか、ムカついて」
ディーノは白蘭を蹴って退けて、私を起こしてくれる。
なんか、さっきまでの雰囲気とは一転。
穏やかな雰囲気が流れる。
あ、涙止まった。
「ありがと」
「いや、それより・・・」
「ん?」
「もういっそそのままでいるか?」
「え?」
「バスローブさっきより乱れてる」
「なっ・・・っっやだっディーノ!調節して!」
「いや、もうそのまんまでいいんじゃねぇ?存分に見て慣れたし」
「なっ慣れんな!!」
「ほら、減るもんじゃねぇーし?」
「てか、減るほどないよねぇー胸」
「減ったらどうしてくれんの!!!」
「あー・・・じゃあ何とかしてでかくしてやるから」
「そうそう。揉めば大きくなるって話もあるし」
「なっ・・・な、なっ」
「あはっチャン可愛いー顔真っ赤ー。もしかして想像しちゃった?」
「だ、誰が!!!」
「ははっがおねだりするんなら、協力してやってもいーぜ?」
「しません!あぁー何よ、もう・・・!!!」
さっきまで大泣きしてた私が馬鹿みたいじゃん。
もう、疲れた。
「私、疲れた。だから、寝るから」
もう、いいや。
寝ちゃえ。
折角ディーノに起こしてもらったのにもう一回ベッドにダイブ。
今度は自分で。
「んーチャン誘ってるの?」
「は?」
「ほら、バスローブ肌蹴させて、ベッドに転がって」
「なっ何勘違いしやがってんですか!!!」
「折角だし誘われちゃおっかなぁー」
「乗っかってくんな!!ディーノ!黙って見てないで助けてよ!!!」
「ドン・ジェッソ」
「んー?」
「俺も混ぜろよなぁー」
「なっ?!」
「仕方ないなぁー今回だけだよー」
「いや、ちょっと待て!!待て!待ちやがれ!!!」
綺麗な顔が二つ。
・・・・・・あぁー・・・なんか、非常にムカつく。
余裕っぽい顔。
しかも、笑ってるし。
焦ってるのは私だけ。
「なんかこうしてるといけないことしてるみたいだよねー」
「は?」
「確かにそうだよなー」
「何でよ?!」
「だって、チャンって・・・お子様だし」
「子ども扱いすんな!!」
「さっき子どもでいいって言ったよなー?」
「・・・うぅ、なんか意地悪だ」
† 泣いたのは君、泣かしたのは僕 †
(あぁ・・・なんかムカつく。その余裕そうな顔、つぶしてやりたい!!!)
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