† 君の頬から涙が落ちる音が聞こえた気がした †










「・・・私、帰る」


「は?」


「ジェッソに帰る」




泣き出したと思えば、ふと泣き止んで・・・

は一言そう言った。

帰る、と。




「いや、今日はやめておいたほうがいいだろ」


「ヤダ、帰る。帰らなきゃ」


「ボス。嬢ちゃんを送って行ってやろうぜ」


「・・・わかった。悪いな、ロマーリオ」


「ディーノ、ありがと。優しくしてくれて、嬉しかったよ」


「あ、ちょっと待てって」


「え?」


「俺とロマーリオの話全く聞いてなかっただろー」


「何、話してた?」


のこと送ってやるって話」


「いいよ、これ以上迷惑かけれないし」


「迷惑じゃないから。てか、この辺物騒なんだよ、マジで」


「大丈夫だよ」


「あのなぁー・・・俺だって女の子を一人危ない道を帰らせるほど薄情じゃないんだぞ」


「知ってる。でも、」


「・・・心配だから、送らせて欲しい。な?」


「・・・迷惑じゃない?」


「あぁ」


「・・・ありがと」




















◇◇◇





















「・・・寝てる?」


「ははっお子様な嬢ちゃんだな」


「本当にな」




泣いて、喚いて、また泣いて。

それで、泣き疲れて眠る。

ははっ・・・なんか本当にお子様だよなぁー。




「でも、結局のところ気ぃ張りすぎなんだよな、きっと」




一度崩れれば建て直しがなかなかきかない。

そんなタイプっぽい。




「まぁ、なんか寝顔可愛いしいっか」




安心しきってるよなぁー。

俺も一応男なんだけどなぁー・・・まぁ寝てる女の子に手ぇ出す趣味は全くないけど。




「ボス。ドン・ジェッソに連絡入れておいたほうがいいんじゃないか?」


「あ、確かに。いきなり行ったら大変なことになりそうだしな」




時間が時間だし。

こんな時間にいきなり行ったら・・・門前払いくらう可能性もある。




「・・・あーもしもし。・・・ドン・ジェッソだよな?」


「・・・・・・誰?」


「え、マジで言ってる?」


「・・・何か用?ドン・キャバッローネ」


のことなんだけど」


「・・・・・・」


「あーもう、白蘭サン代わってください」


「な、何だ?」


「あ、すみません。僕はジェッソファミリーの入江正一といいます」


「え、あーキャバッローネのディーノだ」


サン、返してくれます?」


「あぁ、そのつもりで今ジェッソファミリーの本部に向かってるんだけど」


「あ、そうなんですか。ありがとうございます、お手数おかけしてすみません」


「いや」


「白蘭サン不機嫌最高潮なんで」


「あー・・・あれか?ヤキモチ」


「多分そうだと思います」


「まぁとりあえず、もう着くから」


「はい、わかりました。お待ちしてます」




















◇◇◇





















「よ、ドン・ジェッソ。さっき振り」


チャン返して」


「車の中で寝ちまったんだよなぁー」


「いいから、返して」


「はいはい。・・・なぁ、ドン・ジェッソ」


「・・・何?」


、いらないんだったら欲しい」


「は?」


「なんか気に入っちまったんだよなー」




多分、一番は声なんじゃないかって思う。

一度聴いたら忘れられない声。

なんていうか・・・不思議なんだよな。

パーティー会場なんていう人の声が入り混じる場所で、コイツの声だけが妙に耳に飛び込んできた。

まぁ喧嘩してたからってのもあるんだろうけど。




「嫌、絶対嫌。チャンは僕のなの」


「じゃあさ、ちょっとくらい話も聞いてやれって」


「は?」


「そりゃ、飲みすぎたら大変なことになるのはわかったけどさ。一杯くらいは飲ませてやれよ」




確かに、たくさんは飲ませるわけにはいかないのはわかる。

性質悪いし。

それは身をもって実感した。




「・・・ディーノくんだって知ってるでしょ。パーティーの飲み物なんて何が入ってるかわからない」


「まぁそれはそうなんだけどさ」


チャンって思考は本当に一般人なんだよ」


「それじゃあレモネードだって同じだろ」


「ジュースに何か入れる人間はいないでしょ」


「それこそわかんねぇーだろ」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「君、ムカつく」


「ははっよく言われる」




まぁ、ドン・ジェッソはドン・ジェッソでのこと心配してたんだよな。

あとは、かなりの独占欲。

しかも、これは・・・本人が気づいていないと見た。

ははっ・・・性質悪いよなぁーマジで。




「あ。そうだ・・・ってちゃんと飯食ってんのか?」


「食べてるよ。昨日もランチのコースしっかり食べてたし」


「そっか。いや、なんか軽かったからさ」




抱き上げたとき妙に軽い気がしたし。

まぁ・・・女の子を抱き上げることなんてあんまないから比べようがないと言えばないんだけど。

とりあえず、なんか軽い気がした。




「まぁチャン小さいし」


「なんか可愛いよなぁー」




小動物系ってやつ。

しかも、爪とか鋭くてどうにかして飼いならしてやりたくなるタイプ。




「・・・あげないからね」


「あぁ、じゃあ・・・奪いに行くか」


「は?」


「言っただろ、気に入ったって」




まずは、食事にでも誘ってみるか。

イタリアで一番美味い日本料理屋とか。




「じゃあ、帰るわ。によろしくなー」










† 君の頬から涙が落ちる音が聞こえた気がした †

(欲しい、お前が。だから・・・俺はお前を奪いに行くよ。)



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