† 全てにおいて等しい人間はいない †
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい。どうでしたか?パーティー」
「詰まんなかった」
「そうですか」
まぁ、あんまり白蘭サンってパーティーとか好きそうなイメージないし。
どっちかって言うと、その辺ぶらぶらしたり、マシュマロ食べてたり・・・
そんなイメージ。
「あーあ、行くんじゃなかったなぁー」
「てか、サンは一緒じゃないんですか?」
「え?チャン?」
「はい。サンと一緒にパーティーに行ったんですよね?」
確かに一緒に行ったはず。
珍しいこともあるもんだ、と思ってエントランスまで見送ったし。
サンがひとりあたふたしててなんか面白かったし。
白蘭さんがエスコートなんてしてるからびっくりしたし。
「うん」
「じゃあサンはどうしたんですか」
「置いてきた」
「は?」
「だって、チャン僕の言うこと聞かないでワイン飲んだんだもーん」
「いや、パーティーですしワインくらい・・・」
普通飲む。
・・・・・・多分。
僕自身、あんまりパーティとか参加したことないから知らないけど。
とりあえず、パーティー=お酒の席。
「ダメって言ったのに飲んだんだよー。しかも、ドン・キャバッローネからのだし」
「なんでそこにドン・キャバッローネが出てくるんですか」
「そんなの知らないよ。なんか、ワインをわざわざチャンに勧めてきたんだし」
「白蘭サン」
「んー?」
「ひとつだけ言わせてください」
「ん、どーぞ」
「白蘭サンもやっぱり人間だったんですね」
「は?」
普通にヤキモチとか妬けるんですね、白蘭サン。
意外でした、正直。
ヤキモチなんてそんなの全くもって妬くなんてことありえない人間だと思ってました。
「ちょっと待ってよ正チャン。今さらっと失礼なこと言ったよね?」
「いえ、失礼なことは言ってないつもりです」
そうだ、僕は悪くない。
正論を言ったまでだと思ってる。
だって、白蘭サンだ。
「僕だって人間だよーしっかり、人間様」
「あーそうですよねぇ・・・人間様って白蘭サンにぴったりだと思います」
この人は人間様。
ヒエラルキーの頂上ですよね、はい。
否定しません。
できません。
あなたはヒエラルキーの頂上にいます、弱肉強食の強食の天辺です。
「てか、サン置いてきて大丈夫なんですか?」
あの人、つい三日前にイタリアに着たばっかりですよね?
しかも、一文無し。
白蘭サンがいなかったらのたれ死んでたらしいし。
ってことは、今もう、のたれ死んでるんじゃないですか?
「えぇーだってーチャンってば僕にはなかなか名前教えてくれなかったのにディーノくんにはすぐ言っちゃうんだよー」
いや、僕にもすぐ教えてくれたんですけど。
・・・まぁ、それは言わないでおこう。
今、白蘭サンの神経を逆撫でしていいように物事が動くとは思えない。
「しかも、なんか親しげに喋ってたしさぁー」
「サンとドン・キャバッローネって知り合いだったんですか?」
「んー・・・知らない。初対面っぽかったけど」
「てか、白蘭サン」
「んー?」
「ヤキモチ妬くのは一向に構いませんけど、さすがに置いて来るのはサンが可哀想です」
「ヤキモチなんて妬いてないし」
白蘭サン。
世間一般的には白蘭さんの今の行動は完璧ヤキモチだと思います。
あぁ・・・とりあえず、サン生きてるかな・・・
† 全てにおいて等しい人間はいない †
(とりあえず、頑張って生きててください。)
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