† 万華鏡(その光の檻に、私は囚われているのです) †
「うわぁーうわぁーすごいすごい!!」
「チャン、はしゃがないの。恥ずかしいから」
「だってーパーティーだよ、パーティー」
「はいはい。とりあえず、粗相のないようにね」
「わかってるってば」
私だって多少の常識は持ち合わせているんですー!!!
馬鹿にすんなー!!
「あと・・・お酒は禁止、飲んじゃダメ」
「え、なんで?高級ワインとか楽しみにしてたのに!!」
マフィアのパーティーだし。
ワインとか高級そうなイメージ!!
食べ物も豪華な感じだし!
「ダーメ。チャン飲みすぎると大変なことになるから」
「私、そんなに大変なことになってたわけ?」
「うん」
「あぁーもう、ホント何があったか教えてよー。全然記憶にないんだからー」
「うん、知ってる」
何したんだろ、自分。
あぁーなんか、色々想像しちゃうんですけど・・・!
「だから、チャンはお酒飲んじゃダメ。あ、これレモネードね」
「うぅー飲みすぎなきゃいいでしょー?」
「ダメ」
「一杯くらいいいじゃんー」
グラスワイン一杯くらいなら私、酔わないし。
昨日もランチの時にも飲んだけど酔わなかったし!
ちゃんと記憶あるもん!
ほろ酔いの気持ちいい感じだったもん!
「ダメ。チャンが飲んでいいのはレモネードだけ」
「えぇーワイン飲みたい。カクテルとかも素敵な感じだしー」
「絶対ダメ」
「むぅーいいじゃん。白蘭の意地悪」
「うん、意地悪でいーよ」
「のーみーたーい!ねっ?一杯だけだから!」
「ダメ」
「えぇー一杯だけ、グラスに一杯だけでもダメ?」
「ダーメ」
◇◇◇
「なんだぁ?」
端っこのほうで騒いでる二人。
っていっても、女のほうの声しか聞こえないけど。
なんていうか、耳に飛び込んでくる声。
「ははっ・・・パーティー来て飲み物で揉めてる人間初めて見た」
あんま飲み物では揉めねぇーよなぁー普通。
大体こういうパーティーでは、ごまのすり合いで揉めてるのしか見ないし。
「・・・あのお嬢さんにワインを。そうだな・・・女性向けのあっさりしたやつ開けてくれ」
「畏まりました」
なんか飲みたがってるし。
一杯くらいなら勧めても大丈夫だよな?
なんかあったらこっちから謝ればいいし。
◇◇◇
「白蘭ーレモネード飽きた!!ワイン飲みたい!」
「ダメ」
「なんでよぉー」
「自分の胸に手を当ててよく考えてみて」
「んー・・・記憶にないんでわかりませーん」
そうだよ。
わかんないもんは仕方がない。
いや、ホント自分が何やったか気になって仕方がないんだけどね!!
このマシマロ野郎は教えてくれないし。
「お嬢様」
「ん?私?」
「はい」
「すごいすごいっ白蘭!私、お嬢様だってー」
「はいはい。それはマニュアルみたいなものだからはしゃがないの」
「あ、そっか。で、なんですかー?」
「こちらを・・・」
「それってもしかしてワイン?!」
「あちらのお客様からにございます」
「あちら?あ、あの金髪なお兄さん?」
「はい」
「ねぇーこういう時ってお礼とか言っちゃっていいもの?」
「いいんじゃない?その代わり、飲まないこと」
「え、」
「言ったでしょ。お酒はダメだって」
「でも、頂いちゃったし。飲まないのも失礼じゃない?」
「うん、全然」
「・・・とにかく、お礼言ってくる」
まずはお礼。
お礼は大事大事。
あぁー・・・飲みたいなぁー・・・
◇◇◇
「あの、」
「ん?」
「・・・・・・っ?!」
「あ、飲み物で揉めてたお嬢さんか」
「嘘ぉーディーノだ、ディーノだ」
「俺のこと知ってんのか?」
「あ、えっと・・・一方的に」
うん、本当に一方的に。
一方的に知ってる人は多いもんねーーー!!
あの天下のボンゴレだってヴァリアーだって、一方的に知ってるもん!
「そっか。名前は?」
「。って言います」
「ジャポネーゼか」
「うん、そう」
「知ってるみたいだけど・・・俺はディーノ。キャバッローネファミリーの10代目だ」
「あのね、ワインありがと」
「どういたしまして」
「でもね、ボス様が飲んじゃダメって言いやがるの」
「そっか・・・それは悪いことしたなー」
「んーん。私としてはものすごい飲みたいんだよ」
「チャン。それは言わないの」
「あ、白蘭」
「・・・ドン・ジェッソか」
「うん、ドン・キャバッローネ」
「ジェッソファミリーだったんだな」
「まだファミリーに入って三日なんだけどね」
「は?」
「で、パーティーにまで連れて来てもらっちゃった」
「あ、ディーノくん。ウチのチャンが迷惑かけてごめんねー」
「いや、迷惑なんてかけられてねぇーけど」
「そうだよー私、まだ迷惑かけてないって信じてる」
「チャンって結構迷惑かける性質だと思うよー」
「うるさい。もういいもん、ワイン飲む」
「あー・・・」
「美味しいー!このワイン美味しいっ」
「そっか。気に入ったんならよかった」
「ねっねっもっと飲んでいい?」
「あぁ、一本開けちまったから飲んでくれると助かる」
「やった」
「あ、ドン・ジェッソもどうだ?」
「いらない。僕、帰る」
「え?」
「チャンはまだいたいみたいだし、勝手にどーぞ」
「なっちょっと待ってよ」
白蘭は振り向かない。
待ってって言ったのに、スタスタ歩いて行っちゃう。
「もういい、知らないんだから・・・!」
† 万華鏡(その光の檻に、私は囚われているのです) †
(もう知らない、白蘭なんて知らないんだから・・・!!)
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