† さあ、これで逃げ道はなくなった。どう逃げる? †










「はい、チャン座って」


「は?」


「じゃあ、後よろしくねー」


「かしこまりました」


「ちょっと待て、白蘭」


「あ、大丈夫。チャンが嫌がるようなことはしないはずだから」


「いや、そういう意味じゃなくてですね」


「んー?」


「この手錠は何の意味があるんですか。3行以内で答えろ」


チャンが逃げないようにするため」


「は?」


「だってーチャン逃げそうだし」


「いや、逃げないし」


「んーん。絶対逃げる逃げる」


「・・・その確信は?」


「えぇー今話したら逃げられそうだから言いたくないー」


「言え、今すぐ言え。気になるじゃんーーー!!!」


「いや、簡単な話だよ。ただ、僕って女の子連れてパーティーって出たことないなぁーって」


「・・・うわ、それは大変。今すぐパーティー行きはなかったことにして」


「ほら、やっぱり逃げようとする」


「だって、ねぇ?」




白蘭が今までパーティーに女を連れて行ったことない。

=今日、私は初めて白蘭と一緒にパーティーに出席する女になる。

=敵がいっぱい。

=綺麗なお姉さんがいっぱい。

=こ・ろ・さ・れ・る。




「私、まだ死にたくないし」


「大丈夫大丈夫。やられても薬盛られるくらいだから」


「嫌だから。ぜぇーったい、嫌」


「ほら、チャンおとなしくしてれば大丈夫だって」


「そりゃ、私は一般人だし?目立つようなことしなければ目にも映らないと思いますけど!」




問題は白蘭サマ。

白蘭サマってば普通にいるだけで目立つじゃん、うん。

つまり・・・私が目立たないなんて無理無理。

絶対目立つ、白蘭のせいで。




「でしょー?じゃあ大丈夫」


「・・・じゃあ、白蘭は私に半径一メートル以内に近づかない?」


「え?」


「そうすれば私は目立たない」


「それは無理でしょ。チャンを僕が連れて行ってあげるんだし」


「・・・ですよねぇー」




うん、そうだよね。

白蘭と一緒にいなければ・・・私ってば、場違いすぎるのもいいとこ。

ただでさえ場違いだろうにね!




「大丈夫だよ、チャン」


「何を根拠にそんなこと言いやがってるのかなぁー?白蘭サマは」


チャン可愛いし」


「それは白蘭が言ってるだけだから」


「えぇー」


「白蘭様。そろそろ時間のほうが・・・」


「あ、ホントだー。とりあえず、チャンのことよろしくねー」


「かしこまりました」


「あ、ちょっと逃げんなーーー!!!」




逃げられた・・・

逃げ足速いし。




様、どのようにいたしましょうか」


「んー・・・じゃあ、白蘭の隣に立っても恥ずかしくないようにして」


「かしこまりました」


「あ、後・・・ついでに、白蘭がびっくりするような感じでよろしく」




逃げるなんてやっぱり、ちょっと嫌だし。

どうせなら、戦ってやる。




















◇◇◇





















「・・・・・・うわぁーチャン可愛いーーーー!!!」


「やったね、お姉さん!勝ったよ!」


「よかったですね、様」




可愛いとか言わせたし!!

あぁー違う、白蘭の可愛いは信じないって決めたんだった・・・!!!




「可愛くしてもらってよかったねぇーチャン」


「白蘭サマもものすごくカッコいーですよー」




なんか、正装とかしてて無駄にカッコよくてムカつく・・・

そうだよ、やっぱりカッコいいんだよ、コイツ。 

顔だけは無駄にいい男だもんね!




「あはっありがとー。じゃあ行こっか」


「あ、うん」


「・・・はい、どうぞ」


「へ?」


「お手をどうぞ、お姫サマ。・・・なぁーんてね」


「・・・・・・っっ!!」




何よ、何よ、何よーーーー!!!

お姫サマとかずるいずるい!!!

あぁーバカヤロウ!!!




「あはっチャンかーわーいーいー」


「うわぁぁーーーーお姉さん鋏とか貸して!それかなんか刺すものない!刺していい?!」


様、これは私のものなのでお貸しすることはできません」




そうですよね!

商売道具を血で染めるわけにはいかないですよね!




「ほらほら、困らせないの」


「元はといえばアンタのせいでしょーーー!!!」


「えぇー」




そうだよ、白蘭がお姫サマとか言うのが悪いんじゃん!!!

しかも、絶対わざと!!!




「だって、チャン可愛いんだもんー。ついつい苛めたくなっちゃう」


「あぁーやっぱりわざとだったーーー!!」


「あ、そろそろ行かなきゃ。さすがに招待されてて遅刻はまずいし」


「遅刻は反対!絶対反対!」




遅刻とかしたくない!

絶対しない!

そんな迷惑かけちゃダメでーす!!!




「はい、じゃあチャンもう一回」


「へ?」


「お手をどうぞ、お姫サマ」


「な、なんで?!」


「だって、僕、女性同伴でパーティー行くの初めてだしー」


「どの辺がだってなのかわかりませーん!!!」


「ほら、チャンをちゃんとエスコートしてあげなきゃかなぁーって」


「え、あ・・・えっと」




確かに、エスコートっていうのはわかるかもしれない!!

ほら、完璧場違い人間になりかねないし、私。

白蘭にエスコートしてもらったら4割くらいは場違いさがなくなるかもしれないし!




「・・・お願い、します」


「うわぁーチャンが素直だー可愛いーーー」


「あぁーーー!!前言撤回、エスコートなんていらないーーー!!!」










† さあ、これで逃げ道はなくなった。どう逃げる? †

(あぁーもう、心臓がいくつあっても足りない・・・!!)



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