† 彼女は自らの棘に刺されて傷ついていく †










「・・・・・・白蘭サマ」


「んー?」


「どこから突っ込めばいい?」


「どこからでもどーぞ」




よし、じゃあとことん突っ込んでやるーーーー!!!

あぁ、もう突っ込みどころ満載万歳。

マフィア様だから・・・でいっそのこと全部片付けたいくらいにね!




「その1。なんですか、この無駄に広い部屋は」


「だってー僕の部屋ひとつ分けてあげたんだもーん」




・・・・・・なるほど。

うん、白蘭サマの部屋なら仕方ない。

だってこの人ジェッソのボス様。

・・・・・・自分が住んでた家以上の部屋の大きさに笑えるんですけど。

てか、笑うしかない。




「その2。あのベッドとか・・・家具一式はなんですか」


「さっき言ったでしょー。ジェット機の中で暇だったから勝手に選んだってー」


「なんで、見事なまでのお城スタイル?まるでマリー・アントワネット?」


「あ、うん。それいいねー。パンがなければケーキを食べればいいのにー」




・・・・・・見事なまでのロココ調スタイル。

日本じゃまず似合わないよね!

よっぽどの豪邸でしかも、お城スタイルじゃないと・・・!




「でも、可愛いでしょー。デザインとか可愛くて一目惚れ」


「じゃあ自分の部屋用にしなよー」




白蘭が使ってても全然違和感ないと思うから。

そう信じてるから。




「ダメ。チャンに似合うから買ったんだし」


「いや、普通に似合わないから。私、一般人って知ってるでしょー」


「うん、知ってる」


「即答ですか。そうですか、そうですよねー」


「あのね、チャン」


「ん?」


チャンは、ここでお姫サマしてればいいよ」


「え?どーいう意味?」


「うん、チャンはお姫サマ」


「いや、意味わかんないから」


チャンお姫サマだからお姫サマみたいな部屋にしたんだし」


「あぁーもうどんどんわけがわかんなくなってきたんだけど」


「うん。簡単に言うとね・・・絶対逃がしてあげない」


「簡単に言ってくれた感はあるんだけど、意味はわかんないから」


「大丈夫。チャンが僕が創ったお城から逃げられなくなったって、ただそれだけだから」


「ちょ、ちょっと待て!それは非常に困らない?困るよね?私が」


チャンは拒否権なし。ここでは僕がルールですー」


「・・・もういいや。その3、あの山積みダンボールはなんですか?」


「んーさっき買った服じゃないー?」


「私、あんな大量のダンボールになるほど服見てないんだけど」




あの店で見てたのってワンピースとドレスと・・・白蘭が勝手に購入決定したワンピースくらいだよね?

つまり、ダンボール一箱に収まると思います、それか二箱。

でも、ダンボールの数は・・・十近くあります。




「あ、うん。だって後はチャンに似合いそうなのチョイスしてもらうことにしたんだもーん」


「は?」


「あの店のオーナーセンスいいから大丈夫」


「いや、そういう問題じゃなくてですね」


「でもやっぱり仕事速いよねー。もう、送ってきてくれたし」


「あぁー・・・もう、ついていけない・・・」


「あ、チャン。早速試着タイムだよー」


「はぃ?」


「サイズ確認とか、単に僕が見たいから今すぐ着て」


「あぁーわかりましたよー白蘭サマ!!」




















◇◇◇





















「白蘭ー。私、やっぱりドレスは長袖がいいー」


「んー?どーして?」




普通に可愛いのに。

チャン、別に腕とか太くないし。

てか、逆に細いほうだと思う。




「長袖がいいのー。せめて、ボレロとか羽織りたいー」


チャン」


「ん?」


「左腕貸して」




さっきから、左腕隠してるし。

正確には・・・

左手首を隠してる、よね。




「ヤダ」


「いーから」


「ヤダ。ヤダってばー」


「あー・・・やっぱり」


「何よぉー・・・」


「これは自分でつけた傷?」


「・・・・・・そうですが、何か?」


「はぁ・・・」


「なんでそこ、ため息つくかな」


「じゃあ、チャンはなんでそんな泣きそうな顔してるの?」


「え?」


「強がり」


「別に強がってなんかないし」


「強がってるでしょ」


「強がってなんかないもん」


チャンは全部、ここにぶつけちゃうんだね」


「え?」


「たくさんの感情を全部、ここにぶつけて・・・強がってるんだね」




左手首にひとつだけ。

でも、深い傷。




「強がってなんか・・・」


「ないことないでしょ」


「・・・・・・」


チャン」


「・・・何?」


「僕がそんな強がりなチャンを潰してあげる」


「は?」


チャンを根本的に壊してあげる」




うん、決めた。

チャンを壊しちゃえばいいんだ、根本的に。

もちろん、チャンの可愛い部分はいっぱい残しておくし、もっと可愛くしてあげちゃう。

・・・で、僕に向かって笑いながら死んじゃうチャンになんかさせない。




「何言って・・・」


「楽しみにしててね」


「ちょっと待ってよ、白蘭」


「待たない。待ちませーん」


「・・・・・・」


「あ、そーだ。ちょっと待っててねー」


「あ、ちょっと、白蘭?」


「えっと、確かこの部屋に置いておいたんだよねー・・・あ、あったあった」


「何、その箱」


チャンにあげる」


「え?」


「その箱の中身、今のチャンにきっとぴったりだから」


「・・・ブレスレット・・・」


「うん。・・・ほら、こうやってつけると傷が見えないでしょ?」


「・・・・・・うん」


チャンは今からずっとこのプレスレットつけておくこと」


「え、」


「ずっとっていうのはちょっとしんどいかな・・・うん、チャンが僕の許からいなくなるまでずっとね」




チャンが僕の傍からいなくなるなら外してあげる。

そう、そのブレスレットは君を繋ぐ鎖。

僕とチャンを繋ぐ鎖。




チャンが自分で外したら何度でも僕がつけてあげる」




君はオヒメサマ。

僕が創った城からはもう、逃がしてあげない。










† 彼女は自らの棘に刺されて傷ついていく †

(傷だらけの君、僕が君を壊してあげる。)



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