† 逃れることはまず不可能 †
「あぁーあ、ホントに着ちゃったよ」
イタリアに。
しかも、ジェッソファミリーだよ、ジェッソファミリー・・・!!!
絶対選択ミスだよ、うん。
おそらく、今の時期だったら絶対ボンゴレファミリーのほうが安全よね、うん!
・・・そりゃ、もうすぐしたら恐らく、壊滅させられちゃうんだろうけど。
だから、ミルフィになれば、とりあえず・・・ミルフィのほうが安全っちゃー安全。
だって、強いし。
まぁまだ、ミルフィオーレになってないからなんとも言えないけど。
「てか、チャン見事に爆睡してたねー」
「だってなんか疲れたんだもん」
白い悪魔の相手が。
なんか、白い悪魔の言葉巧みさに負けてこうなったようなもんだし。
でもって、結局・・・
この世界に来ちゃったことは夢ではなかったと思われる。
「チャンってさーなんか無防備だよね」
「いや、別にそんなつもりはないし」
「んー・・・チャンってすごいや」
「え?」
「何も考えずに僕に言葉を返してくるね」
「は?」
「ほら、僕ってばボスやってるじゃん」
「うん、ボス様」
「だからかなー割と、一瞬考えてから返事が返ってくる人間が多いから新鮮。まぁ一言が命取りになったりするんだけどねー」
「・・・なんか、白蘭って大変だね」
それに、ちょっとだけ・・・
ホントにちょっとだけだけど、淋しそう。
確信は全然持てないけど。
だって、白蘭だし。
「え?」
「とりあえず、私だって色々考えてるんですー・・・人を何も考えてない単純な子扱いすんな」
「あははっ別にチャンのこと単純なんて思ってないよー」
「あ、そうなの?」
「うん。どっちかって言うとよく考えてそうなイメージ」
「さぁーどっちでしょう?意外になんにも考えてなかったりして」
「うん、僕的にはどっちでもいいや」
「うわぁーつまりは興味ないってことですかー。ちょっぴりショックー」
うん、ショックだね。
ちょっとは興味持ってもらえてたのかと思ってたのに!!!
「ううん、興味はあるよー。めちゃくちゃ」
「は?」
「だってチャン面白いし。なんていうかー苛めたくなっちゃうし」
「いや、ホント苛めないでください。泣いちゃうから」
「あはっそんな風に言われたら泣かせたくなっちゃうなぁー」
「ドSめ」
「うん。可愛い子見るとついつい苛めちゃう」
「か、可愛い・・・?」
「可愛いよ。チャンって、なんか可愛い」
「・・・あぁーーーっっ社交辞令社交辞令!騙されるな、自分っっ!」
「チャン、普通にそれは心の声に留めておこうよ」
「だって・・・白蘭が悪いし!か、可愛いなんて言うし!!」
「だってチャン可愛いって思ったんだもーん」
「か、可愛くないもんないもん!!」
「んー普通に可愛いと思うんだけどなぁー」
「私はいたって普通の一般人!」
「うん、知ってるよー・・・でもね、チャン。チャンもう、いたって普通の一般人じゃなくなっちゃったよ」
「え?」
「だって、ジェッソファミリーっていうマフィアの仲間入りだし」
「た、確かに・・・」
いたって普通の一般人は、マフィアになんてならない。
つまり、イコール・・・
私は一般人から昇格?
・・・普通に、嬉しくないです。
・・・・・・嘘、ちょっとだけ嬉しい。
そうだ、私ドキドキしてる。
今から起こることに・・・怖いことばっかりが待ち構えてる気もするけど。
「まぁ、ちゃんはいつも通り生きててくれたらいいから」
「え?」
「あんまり無理しないよーにね」
「白蘭が優しいー・・・」
「僕はいつでも可愛い子には優しいよー」
「ねぇ、白蘭」
「んー?」
「・・・私のこと、ホントに可愛いって思ってる?」
って、何聞いてんの私!!
そんなこと聞いて、どうするっていうの?!
白蘭だよ、あの白蘭だよ。
本当のことなんて言うはずがない。
「白蘭、待った!今のなし!なかったことにして!!」
† 逃れることはまず不可能 †
(可愛いって本当に思ってくれてるんだったら・・・なんて期待しちゃダメ!!)
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