† 空想に想うのと現実に生きるのではまったく違うんだよ †
「あ、イタリアまで飛行機でいい?」
「ま、マジでイタリアなの?!」
「うん、イタリアだよー」
「日本にイタリアって場所あったっけ?イタリアって名前の市町村ってあったっけ?」
とりあえず、ボケよう。
そうだよね、うん。
日本にイタリアって場所があるんだよ。
あー・・・でも、コイツ、ジェッソファミリーのボスの白蘭サマだった。
「んー僕、ジャポネーゼじゃないからわかんないー」
「やっぱりヨーロッパなわけ・・・?」
「うん、ヨーロッパ」
「無理!絶対無理!飛行機で何十時間とか耐えられない!!!」
まず、イタリアって行ったことないし!!!
そりゃ、しっかり憧れてたけど!
一回行ってみたいって思ってたけど!!
ちょっと、白蘭とかディーノとかに逢えるかな?っていうドリーム思考な期待も抱いてたけど!!
でも、まさかこんなこと起こるなんて微塵も思ってなかったし!
「あ、そこなんだ。大丈夫だよー自家用ジェット使うから早いし」
「なっ自家用って・・・?!ジェット機?!自家用で?!」
「だって僕、マフィアのボスだし」
「てか、マフィアって私の知ってるイメージのマフィアなわけ?」
正直、マフィアが何してるかなんて知りません。
漫画じゃ、そんなこと細かく書いてないし・・・!
特にジェッソファミリーなんて不思議がいっぱい。
ミルフィオーレファミリーも同じ感じだけど。
とりあえず、この男は・・・ボンゴレを壊滅に追いやる奴。
「君が考えてるマフィアのイメージってどんなの?」
「キーワードでいうなら・・・酒、金、ギャンブル、女。あと・・・殺し」
「んー・・・当たってるといえば当たってるかな」
「じゃあ、やっぱり私には無理です、無理。まず人、殺すなんて考えられない」
20数年生きてきたけど・・・
人を殺すなんて、そんなことしたことないし、できない。
まず、無理。
人を殺すなんて、無理だから。
「別に、君に殺しをさせるつもりはないんだけど」
「お酒も強くないから」
飲むの好きだけど。
ちょっとほろ酔いになるくらい飲むのが理想です。
記憶飛ぶくらい飲むと後々後悔することになるんです。
いったい何回後悔してきたか・・・!!!
「うん、別にいいよ。僕はお酒よりもマシマロが好きだし」
「マシマロ・・・?マシュマロ?」
「うん、マシマロ。あのフニフニって感覚が堪んないよねぇー」
「ごめん、わかんない。っていうか、嫌い」
「えぇー」
「お金も別にあればいいと思うけど、大金はいらないから。使い方わかんないし」
「あははっ大丈夫大丈夫。そんなに簡単に大金あげたりしないし」
「ギャンブルとか無理、嫌い、大嫌い」
なんていうか、ギャンブルって勿体無いイメージ。
多分、損するイメージが強いから。
絶対やらないったらやらない。
「しなくていいよー。君、弱そうだし」
「私、女の子可愛いって思うけど、恋はしませーん」
女の子は可愛いと思うよ。
うん、ホントに。
女の子って可愛い。
でも、残念ながら・・・恋は無理です、できません。
「うん、それ期待してないから」
「あっそ。・・・とりあえず、総合的に考えて、まずマフィアとか無理です、無理」
「大丈夫」
「いや、その根拠のない大丈夫とかマジいらないから」
「えぇーいいじゃん。マフィアっていうかウチのファミリー意外に楽しいかもしれないよー」
「楽しいイメージとかないから!!」
特に、ジェッソファミリーは。
ボンゴレとかキャバッローネとかはちょっと楽しそうなイメージがあるけど!!!
ジェッソは怖いイメージです。
楽しいイメージないです。
「それは偏見でーす」
「・・・確かにそうかもしれないけどさ・・・」
確かに偏見だとは思いますよ、うん。
だって、マフィアっていう集団に入ったことないし。
ジェッソファミリーのこと知らないし。
でも、ねぇ?
私は、未来編の結末を知ってるから・・・
「じゃあさ、お試し期間」
「え?」
「とりあえず、一ヶ月くらいにしておこっか」
「いや、ちょっと待て。待て!意味わかんないんだけど」
「だから、君にお試し期間をあげちゃう。特別大サービスだよー」
「いや、ホント意味わかんないから」
「だって、どんどん君のことウチのファミリーに入れたくなってきたし」
「なんで?」
「え?」
「私、一般人だし。絶世の美女ってわけでもないし、特別頭がいいわけでもない普通の女の子です」
自分で言っててちょっと切なくなるけど。
うん、でも仕方ないよね。
だって私は普通の女の子・・・って、女の子って言える年齢かはわかんないけど!
「うん、君ってホント普通の女の子って感じだよねー」
「ムカつく・・・なんか、ムカつく」
そりゃ、白蘭サマはまず一般人じゃないし。
正直、ムカつくくらい美形だし。
頭もきっといいと思われるし!・・・マシマロ馬鹿なイメージもしっかりあるけど。
あとは、何考えてるかわかんない、ものすごい怖いイメージ。
「でも、面白いよ」
「私、面白いなんて言われた経験ないんだけど、多分」
「えぇーこんな状況で普通に話してる時点で面白いと思うけどなぁー」
「え?わっ忘れてたーーー!!降ろせ!降ろして・・・!」
「やだ、忘れちゃうくらいこの状態がよかったんでしょー?」
「いや、そんなことないから!あぁーもう、ホント降ろして。恥ずかしくて死にそう」
「大丈夫、かなり目立ってるから」
「それが困るんだってばーーーー!!!!あぁー・・・もうヤダ」
「じゃあイタリア行こっか」
「じゃあって何?どこがじゃあなの?!なんでそんな軽い雰囲気なの?!」
「だってーイタリアなんてすぐ着くし」
「そういう問題じゃなくて・・・!!」
「さぁーって行くよー。大丈夫、楽しいマフィアライフを約束するからー」
「約束されても困るからーーーー!!!」
† 空想に想うのと現実に生きるのではまったく違うんだよ †
(・・・困ってるのは、本当。でも、ちょっと・・・ちょっとだけドキドキしてる自分がいる。)
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