† 幸せは一瞬の間だけ感じるもの †










「はぁーつまんない会談だったねぇー」


「あはは・・・お疲れ様です」


「正チャンもお疲れー」




なんて言いながら白蘭サンは楽しそうに笑ってる。

きっと、カナリアに逢いに行くから。

カナリアに逢いに行く時、白蘭サンは機嫌がいい。

もう、どんな無理なお願いをしても笑顔でOKしてくれそうなくらい・・・




「じゃあ正チャン、僕はチャンのとこ行ってくるねー」


「はい。・・・あ!白蘭サン!!」


「んー?」


「・・・いえ、やっぱりなんでもありません」


「変な正チャンー」




嫌な予感がする。

いや、まさか、そんなはずはない。

僕の思い違いに決まっている。

なにもない、何かが起こるはずがない。

大丈夫だ。




「正チャン」


「は、はい!!」


「何があっても、きっと僕は幸せだよー」


「白蘭サン・・・」


「やることやったら幸せになれる、それがウチのポリシーだし」


「・・・そうですね」




幸せ。

確かに、ジェッソファミリーに入るときに白蘭サンは言っていた。

やることやれば幸せになれるって。

じゃあ、それを言う白蘭サンの幸せってなんなんだろう・・・




「白蘭サンの幸せってなんなんですか?」


「僕の幸せはね、正チャン」




















◇◇◇





















「――――――――――――――――――――だよ」



愛しい人と一緒にいること、だよ。

それが、僕の幸せ。



「じゃあ正チャン、チャンのとこ行ってくるねぇー」




















◇◇◇





















「今日の夕食は僕のお勧めのお店から届けてもらったんだー」




テーブルにナイフやフォーク、スプーンを並べながらチャンに言ってみる。

もちろん、チャンの反応はない。




「まずはスープから。どうぞ」


「・・・・・・」


「で、次が前菜で・・・その後にメインディッシュ、デザートの後は紅茶ね」




食後の紅茶はアールグレイ。

やっぱりアールグレイはストレートかなぁ・・・

まぁ、チャンが勝手に自分の好みにするだろうから僕が今考えても仕方ないけど。




「ここのスープ美味しいでしょー。冷たいコーンスープ、しっかりコーンも入ってるし」


「・・・・・・」


「今日はねーメインはお肉にしたんだー」


「・・・白蘭」


「・・・え?」




喋らないはずのチャンが僕の名前を呼んだ。

銀色を光らせて。










† 幸せは一瞬の間だけ感じるもの †

(あぁ、久しぶりにチャンの声、聞いたなぁー。)



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