† 雲は優雅に泳いで、でも今にも消えてしまいそうで †










先輩ーなにしてるんッスかー?」


「んー飛行機雲見てた」




空には見事なまでの飛行機雲。

何処までも続く飛行機雲。

うそ、何処までも続くはずない。




「明日雨ですかねぇー?」


「え?」


「違いましたっけ?飛行機雲が出てると次の日雨って・・・」


「知らない」


「あ、じゃあー明日、先輩のこと迎えに行ってあげる」


「ん?話が見えないんだけど」


「そしたら明日雨かどうかわかるじゃないッスか!」


「いや、赤也いまいち話が見えない・・・」


「俺、先輩と明日一緒に学校行きたい」


「え?」


「だから、約束」




約束、か・・・

約束なんてだいっ嫌い。

でも・・・




「絶対守ってよね」


「もちろんッス!!」




なんとなく、守ってくれるって思えるから。

赤也とだったら約束してもいいかなって思えた。




「あ、じゃあもう一つ!」


「もう一つ?」


「俺、今から家庭科なんで、作ったもの先輩にあげる」


「食べれるもの?」


「当然!先輩のために愛を込めて作りますから!!」


「・・・・・・楽しみにしてる」


「ハイ!」




















◇◇◇




















センパーイ!!」


「ん?赤也」


「ハイ!これ、約束したもの!」


「何?これ」


「飴」


「飴?」


「あ、先輩知らない?べっこう飴」


「べっこう飴?・・・あ、確かに色が鼈甲色」


「え?鼈甲色?」


「うん、こんな色」




先輩が指差したのは自分の髪飾り。

あ、ホントだ。

確かに、似たような色。




「へぇー・・・あ、でもこれは飴なんで食べてくださいね」


「さっき言ってた家庭科で作ったもの?」


「ハイ!先輩のこと思ってハート型にしたんですよー!」




俺、頑張ったと思いません?




「ハート・・・?」


「あ!先輩今、見えないって思ったでしょー!!」


「ん」


先輩ひどいッスよー・・・」


「ごめん、ごめん。・・・・・・砂糖味?」




飴を一口食べた先輩の感想。

はい、全くその通りです。




「砂糖の焦げたのッスから」


「ふーん。でも、なんか美味しいね」


「ホント?」


「ん、量は食べれないけど結構好き」


「あ!全部食べないでいいッスよ!!」


「ごめんね、赤也」


「全然!先輩が食べてくれただけで俺、充分ッスから!」




先輩がこうやって俺があげたもの食べてくれるのが嬉しい。

先輩が笑顔を向けてくれるのが嬉しい。

すごく、嬉しいんッスよ。










† 雲は優雅に泳いで、でも今にも消えてしまいそうで †

(先輩が傍にいてくれることが俺は嬉しい。)



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