† 君には負けない †
「」
「何?」
「おー怖」
「ムカつく」
「そんなムカつきなさんな」
「なんで私が居残りなんてしないといけないわけ?」
「お前が授業サボるから」
「雅治もじゃん」
「だからこうして居残ってるんじゃろ」
雅治は心底楽しそう。
なんだか、ソレがムカつく。
「雅治」
「ん?」
「紅茶買って来て」
「また俺様な発言を・・・」
「だって様だし」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「じゃんけんじゃ」
「のった」
「「じゃんけーん・・・ポン」」
「勝った」
「・・・・・・はいはい。わかりましたよ、お嬢様」
「潔くて結構、雅治スチャン」
「雅治スチャンって何じゃ・・・?」
「セバスチャン+雅治・・・で雅治スチャン」
「・・・納得」
「雅治スチャンー紅茶」
「はいはい、行ってきます」
「あったかいのにしてねー」
雅治に私はじゃんけんで負けたことがない。
だから私の勝率は100%。
雅治が負けてくれてるって知ってるけど。
「しかし、雅治スチャンとは我ながら見事なネーミングセンスだね」
◇◇◇
「我侭お嬢様じゃのぉ・・・」
は。
だけど、それを可愛いと思ってる自分がいる。
だから、じゃんけんにはわざと負ける。
ほんのコンマ数秒の世界。
「・・・・・・紅茶の・・・これにしちゃろ」
のあまり好きじゃない、砂糖大量のホットのミルクティー。
我侭お嬢様にはお仕置きも必要。
まぁ・・・俺がの色んな顔が見たいだけじゃけど。
◇◇◇
「」
「おかえりー雅治スチャン」
「その呼び方やめんしゃい」
「えぇー結構見事なネーミングセンスだと思ったんだけど?」
「駄目じゃ」
「えぇー」
「悪いお嬢様には紅茶、あげんよ」
「あ、それは困る。ありがと、雅治」
「はい、どういたしまして」
「いただきまーす・・・うっ」
ほら、心底嫌そうな顔。
そんな顔を見るのも好き。
の顔じゃからね。
「雅治スチャン」
「なんじゃ?」
「何コレ」
「のリクエストの紅茶」
「この激甘はなんですか」
「激甘にしてみたから」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「雅治が飲んでるのは?」
「ブラックコーヒー」
「交換」
「いやじゃ」
「駄目、絶対交換」
「駄目」
「・・・・・・じゃあこうしてやる」
混ぜた。
ブラックコーヒーと激甘ミルクティー。
中途半端な色と香り。
恐らく味も。
「・・・責任持って飲め」
「雅治が先」
「いやじゃ」
「私も嫌」
「「・・・・・・」」
ホントに我侭お嬢様じゃ・・・
だけど、憎めない。
† 君には負けない †
(そんなトコも可愛ぇって思ってるんよ。)
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