† 仕方ないよ、僕に君を縛りつけることは出来ないのだから †
「もう・・・疲れたよ・・・」
「・・・」
「雅治」
「ん?」
「もう、死にたい・・・」
「・・・そーか」
雅治はきっと、それ以上何も言わない。
私はわかってて、言ってる。
優しい言葉。
優しすぎる言葉も・・・
私にとっては毒。
「じゃあ、俺を殺して?」
「え?」
「のいない世界なんて興味はないから」
「・・・・・・」
「だから、俺を殺して」
そんなこと、できるわけないのに・・・
私が雅治を殺す?
絶対に、無理。
別に社会的な問題じゃない。
ただ、ただ・・・雅治を殺すなんて出来ない、だけ。
「・・・・・・やだ」
「・・・・・・」
「殺せるわけ、ない・・・っ!!」
「・・・・・・そうじゃろね」
「え・・・?」
「わかっちょるよ。お前が俺を殺せんこと」
「じゃあ・・・っ」
何で?
わかってるなら・・・なんで聞くの?
そんなこと。
「疲れたって言ってもいい」
「・・・・・・」
「死にたいって言ってもいい」
「・・・・・・」
「死ぬ時は俺も一緒じゃ」
「・・・・・・雅治」
「ん?何じゃ?」
「・・・私は、雅治を殺せない」
◇◇◇
お前のいない世界。
お前のいない世界。
そんなもの、俺はいらない。
「殺せない、か・・・」
わかってるぜよ。
お前が俺を殺せないこと。
「・・・ねぇ、雅治」
「ん?何じゃ?」
「雅治は私のこと、殺せる?」
「・・・・・・」
俺が、を、殺す?
殺せるんかのぉ・・・
・・・・・・。
・・・無理じゃな。
「無理じゃ」
「そっか・・・」
「意地悪な質問するのぉ」
「ん、お返し」
まぁ・・・確かにそうか。
にこんな顔させたんも、俺。
意地悪な質問を初めにしたのも、俺。
「のぉ・・・、」
「何?」
「まだ俺と一緒にいて」
まだ、という言葉。
本当はずっと、って想いが込められちょる。
「・・・ん」
「もうちょっと、傍にいて」
もうちょっと、という言葉。
本当はずっと、って想いが込められちょる。
「・・・・・・ん」
言葉には力がある。
この言葉はを縛る、言葉。
まだ、遠くには行かせんよ。
絶対に、絶対に・・・・・・
† 仕方ないよ、僕に君を縛りつけることは出来ないのだから †
(今はまだ俺の傍にいて欲しいんよ。)
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