† 思い出の場所で君を待つ †
「お嬢様、そろそろ・・・」
「嫌」
「・・・・・・」
ゴメンね、我侭言って。
自分が我侭言ってること、ちゃんとわかってる。
「・・・・・・もうちょっと」
「わかりました、お嬢様のご自由になさってください」
「ん、ありがとう」
ありがと。
こんな私の我侭聞いてくれて・・・
跡部の家にいる人間は基本的にどんな我侭も聞いてくれる。
まぁ・・・それは私が跡部の息女だからだろうけど。
〜♪
あっ携帯・・・鳴ってる。
発信者は景吾。
・・・・・・そういえば、連絡入れるの忘れてた。
突然だったし、ここに来ること。
「もしもし」
「今何処だ?」
「・・・・・・いつものトコ」
「・・・・・・」
これで多分、景吾には伝わる。
だって・・・初めにここに連れて来てくれたのは景吾だったもん。
「・・・わかった、待ってろよ」
「え?」
「今すぐ、行く」
「え、いいよ・・・帰るから」
ちょっと名残惜しいけど・・・
景吾が来るとなったら話は別。
・・・・・・部活で疲れてるくせに・・・
「待ってろ」
「はーい」
でも、結局私は・・・
景吾をここで待っている。
◇◇◇
全てのものがお前を拒絶したとしても・・・
俺は・・・
俺だけはお前を離しはしないだろう。
「」
「・・・景吾」
「待ったか?」
「そんなに待ってない」
「そうか」
「景吾」
「・・・何だ?」
「ばーか」
「テメェが馬鹿だろ」
「うわぁーひどい」
「はぁ・・・」
「・・・・・・ありがと」
ポツリとそんな言葉を呟く。
たまにこんなことを言い出すから余計に・・・
手離せない。
「帰るぞ」
「ん・・・」
「・・・・・・まだ帰りたくないか?」
「ううん、帰る」
「・・・・・・飯、食って帰るか?」
「んー・・・・・・でも、シェフもう作ってるでしょ?」
「まぁ作ってるだろうな」
「じゃあ家帰る」
「・・・大丈夫か?」
「何が?」
「何が?、じゃねぇーよ」
がここに来る時は大概何かあったとき。
最も、は何も話さねぇーだろうけどな。
わかりきっていること。
だが、わかりきっていながらも・・・つい聞いてしまう。
「だいじょーぶだから、心配しないでいーよ」
† 思い出の場所で君を待つ †
(そしていつもお前は・・・俺の前でも強がる。)
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