† 待つ間は独りぼっち †
「来ない・・・」
待ち合わせって、嫌い。
約束の時間にちゃんと来る人はいい。
ちょっと早めに来ている人もいい。
でも、待ち合わせの時間を過ぎても来ない人は嫌。
「帰ろうかな・・・」
あーでも、車呼ぶの面倒。
電車も嫌い。
歩いて帰るにも遠いし・・・
〜♪
「メール・・・」
赤也からのメールは極々簡単な内容。
「はぁ・・・」
どうしよっかな・・・
帰ろっかな・・・
でも、折角来たし・・・
〜♪
「次は電話か・・・」
発信者はやっぱり赤也。
「もしもし」
「あっ先輩ッスか?!」
「ん、私の携帯だからね」
「すみません!!俺、遅れちゃいそうで・・・」
「・・・違うよ、赤也」
「え?」
「遅れてるの」
「・・・っ!スイマセン!!」
「どれくらいで着くの?」
「えっとー・・・あと20分位ッス」
「そう・・・」
「ホント、スイマセン!!あの・・・待っててくれますか?」
「・・・どーして欲しい?」
「・・・待ってて欲しいッス・・・」
「ん、わかった」
「いーんッスか?」
「何が?」
「その、待っててもらっちゃって・・・」
「ん、いいから。早く来なさい」
「ハイ!!」
◇◇◇
先輩は、優しい。
俺がこんな風に遅刻しても、帰らないでくれた・・・
俺だったら絶対にムカついて帰るんだろうなぁ・・・
まぁ、先輩が相手なら別だろうけど。
「先輩!!」
「やっと、来た・・・」
「スイマセン!ホント、スイマセン!!」
「赤也」
「はい?」
「ありがとうは?」
「え?」
「私、ちゃんと待ってたんだよ」
「あ・・・」
そっか、謝罪の言葉はもう何度も口にした。
先輩、あんまり好きじゃないし・・・謝罪の言葉。
謝罪の言葉を言われるたびにちょっと哀しそうな顔してるの、知ってる。
「ありがとうございます、先輩」
「ん、宜しい」
やっぱ・・・メッチャ好き。
こういう先輩。
「じゃあ行きましょ」
「んー・・・その前に・・・」
「え?」
「喉、渇いた」
「あーはい、喜んで奢らせていただきます」
「スタバ」
「何処でもいいッスよー。俺が悪いんだし」
「スタバで奢ってくれたらチャラにしてあげるから」
「はーい」
よかったぁ・・・
今日、俺的には先輩とデート。
でも、遅刻して・・・
先輩怒らせたままだったらやっぱ嫌だし。
でも、チャラにしてくれるなら、楽しいデートになるッスよね!
† 待つ間は独りぼっち †
(俺は先輩に笑ってて欲しいんっすよー!!)
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