† 本当に苦しいから、本当に悲しいから、こんなにも赤い涙を流しているの †
「あぁ・・・また切っちゃったんだね」
「精市」
「とりあえず、止血しようね?」
そういって、精市は私の腕を取る。
血に濡れた、左手を・・・
「・・・・・・今日もまた深く切っちゃったんだね」
「んー・・・そんなに、深い?」
「うん、深いよ」
「痛くない?」
「んー・・・そんなに痛くない」
精市は、気持ち悪いとか思わないのかな?
私の手首、キズだらけ。
キズは薄れても消えることはない。
「あーあ、また残っちゃいそう」
ヤダなぁ・・・
一応、私も女だし。
「跡残るのはイヤ・・・」
「じゃあ少しずつ、減らそう?」
「・・・・・・」
「減らしていけば、跡が残る量も変わってくると思うよ?」
「そうだろうね・・・でも、やめれ、ない」
確かに精市の言う通り。
切ることをやめればこれ以上、キズは増えない。
でも・・・
私は、やめられない。
「そっか・・・」
「ゴメンね、精市」
「俺に謝る必要はないよ」
◇◇◇
もっと、自分を愛することが出来れば・・・
もっと、自分を大切にすることが出来れば・・・
は幸せになれるのかもしれない。
「飴、食べる?」
「んー食べるー」
「はい、どうぞ」
「ありがと、何かブン太みたいー」
「はは、俺は丸井みたいにプクプクにはならないよ?」
「えぇー?そんなのわかんないよー」
「・・・・・・」
「でも、プクプクな精市は見たくなーい」
「俺もなりたくないよ」
いくらが笑うとしても・・・
それは嫌だからね。
「あー先輩と幸村部長ー!!」
「赤也?」
「どうしたのー?」
「部長とマネージャーが部活サボらないで下さいよー!!」
「えぇー?もうそんな時間?」
「はい!って!もしかして先輩たちサボってたんッスかー?」
「ん、だって体育嫌いなんだもん」
「今日はテニスらしいしね」
「そ、テニスやらせてもらえないしー先生と交渉済み」
「マジッスか・・・ってか、先生と交渉って・・・」
「精市と二人でバッチリ交渉したもんねー」
「うん、先生も簡単に騙されてくれたしね」
「・・・何やったんッスか、二人とも・・・」
「「秘密」」
「さーって、部活行かなくちゃ」
「仁王辺りが怒ってそうだしね」
「あー確かに」
「宥めるのは担当だからね」
「ん、りょーかい」
† 本当に苦しいから、本当に悲しいから、こんなにも赤い涙を流しているの †
(には誰よりも幸せになってもらいたいんだよ。)
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