† 約束の約束を †
「もしもし、侑士?」
「ちゃん。どうしたん?」
「わかってるでしょ」
「そうやな」
侑士に電話するのは決まって景吾から輸血を受けた次の日。
一年の時からそれは変わらない。
侑士もわかってるから、だから楽に話が進む。
「今日も元気にテニスしてたで」
「ふーん・・・」
侑士のその言葉。
毎回一緒。
「まぁ・・・ちゃんの想像してる通りや」
「そっか、ん。ありがと」
また景吾、貧血なんだ。
家ではそんな素振りを全く見せない。
多分、プライド。
それと・・・私のため。
私のためっていうのが殆ど。
「なぁちゃん」
「ん?」
「今度遊びに行かへん?」
「何処に?」
「そうやな・・・どっか好きなトコとかあるん?」
「家と学校と・・・テニスコート」
「海は嫌い?」
「んー・・・夕焼けごろなら好き」
「じゃあ海見に行こか」
「行くー」
「跡部には内緒やで?」
「え?何でー?」
「着いて来るやん、跡部」
「あははー否定できない」
景吾、激シスコンだから。
まぁ私も激ブラコンだけど。
「激愛兄妹やな」
「ん、自分でも恥ずかしいくらい」
「まぁ、ええんちゃう?」
「そーだね」
◇◇◇
ちゃんが俺に電話かけてくるようになったんは初めて跡部が倒れた次の日。
ちゃんは自分が何も知らんことを悔やんだ。
だから、らしくないとも思いながらちゃんの頼みを受け入れた。
「景吾さぁー・・・学校ではどんな感じ?」
「ちゃんの知ってる跡部通りやと思うで?」
「んー・・・じゃあ優しいんだ」
あーそっか。
ちゃんのイメージの跡部は優しいんか・・・
そうやろな、跡部は跡部で妹溺愛。
「優しないでー跡部は」
「そーなの?」
「跡部が優しいんは、ちゃん限定や」
「ん、景吾はシスコンだからねぇ」
「激愛兄妹やのになんで別々の学校通ってるん?」
「景吾がダメになるから」
「跡部がダメになる?」
「そ。今以上にダメになったらもう大変」
何となく、わかるような気がするわ。
ちゃんが近くにいる限り、跡部はちゃんから離れへん。
そしたら、跡部は間違いなく悪い方向に壊れていく。
そういうことやんな。
「今でもダメなんだよー・・・」
「大丈夫やで」
「えぇー?」
「跡部は跡部なりにちゃんとやってる」
「・・・・・・」
「ちゃんが気にしすぎたらアカンで」
「はーい」
「俺はいつでも教えたるから」
「ん、頼りにしてるよー侑士」
† 約束の約束を †
(せやけどほんまに溺愛兄妹やなぁー。)
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