†　知ってるよ、ちゃんと見てたから　†










｢精市、それちょーだい。玉子焼き｣


｢いいよ、口開けて｣


｢あーん｣




口を開ければ、精市が口の中に玉子焼きを入れてくれる。

あっ美味しい。

さすが精市のお弁当。




｢ごちそー様｣


｢、昼ご飯は？｣


｢ん、忘れた｣


｢はぁ・・・また？｣


｢だってお弁当箱重いんだもん｣


｢それでも、作ってくれた人に悪いだろ？｣


｢はーい、以後気をつけます｣


｢幸村、ここにいたか｣


｢あっ弦一郎ー｣


｢・・・たるんどる！！｣


｢はぁ？！何が？｣


｢また忘れたのだろう？｣


｢うぅー・・・何で弦一郎にもバレるかな｣


｢やはりデータ通りだな｣


｢・・・なるほど、参謀がいたわけね｣




データ男、柳蓮二。

やっぱり侮れないわ。

っていうか、蓮二って色んなこと知りすぎ。




｢、他に何か食べたいものはある？｣


｢んーいい。精市のご飯なくなっちゃう｣


｢俺は別に大丈夫だよ｣


｢大丈夫じゃないでしょ、部活もあるんだしー｣


｢・・・・・・｣


｢あっ弦一郎、それ食べたい｣


｢あぁ、好きなものを食べるといい｣


｢ん、あーん｣


｢あーんだと？！｣


｢な、何よ｣




弦一郎のいきなりの大声には慣れてるけどー・・・

そこ、大声出すことじゃないっしょ。




｢たるんどる！！｣




本日二回目。




｢どこがたるんでるのよ｣


｢・・・・・・｣


｢、その言動は弦一郎にはまだ早すぎる｣


｢あー・・・なるほど｣




精市とか、その他大勢にとっては些細なことでも・・・

この純粋っていうか、純情な弦一郎にはあーんとかいう行為はまだ早かったわけか。




｢蓮二、食べさせて｣


｢あぁ、わかった｣


｢あーん｣




蓮二は至って普通に食べさせてくれる。

精市と一緒。

雅治と違って意地悪しないし。




｢コレも食べるか？｣


｢ん、ちょーだい｣




















◇◇◇




















折角作ってもらったお弁当。

全部、自分が食べられないからそれが辛いんだよね。

だから、わざと忘れる。

でも、そのことを跡部家の料理人たちも知っているんだよね。

そのことをは知らない。




｢どーしたの？精市｣


｢ん？別に何でもないよ｣


｢そー？｣


｢ウインナー食べる？｣


｢ん。あーん｣




ウインナーを口の中に入れてあげれば満足そうな顔。

たくさん食べないは、俺たちの少しずつのおかずで十分。

丸井辺りがおやつも与えてるしね。

柳生や仁王もかな。




｢発見ー！！｣


｢ブン太ー？｣


｢そ、天才的ぃーなブン太様だぜぃ☆｣


｢どーしたの？｣


｢ほら！新発売のチョコ！！｣




こんな風にね。

新発売と託けて、にお菓子を与える。

少しでもたくさんの量を食べれるように。




｢ん、食べる｣


｢そー言うと思った！だから持ってきたんだぜぃ☆｣


｢やった｣


｢ほら、。あーんして？｣


｢あーん｣


｢どうだ？美味いだろー？｣


｢ん、なかなか。家のパティシエのお菓子のほうが美味しいけど｣


｢そりゃそーだろ｣


｢でも、ブン太がくれるお菓子だから好き｣


｢そーか｣


｢ありがとね｣









†　知ってるよ、ちゃんと見てたから　†

(みんな、が考えてることくらい知ってるよ。)

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