† 笑うことが貴方に幸福をもたらしてくれる †
「センパーイ」
「何?赤也」
「コレ、あげる」
「・・・何コレ」
「見てわかんない?リストバンド」
「あー・・・そういうこと」
今日リストバンドするの忘れて、包帯も巻いてない状態。
まぁまだ長袖だから何も問題ないけど。
でも気になっちゃったんだねぇー赤也は。
「違うッスよ」
「何が?」
「腕が気になったから渡したんじゃない」
「・・・じゃあ、何で?」
「俺とお揃い」
ニヤッと笑う、切原赤也。
全く、面白い子だね。
っていうか、テニス部レギュラーは大概面白い。
怖がって近づいてこない人間たちが普通。
レギュラー陣が異常なだけ。
そんなこと言ったら怒られるか。
「お揃いねぇ・・・」
「嫌?」
「別に、嫌じゃないよ」
「良かったッス」
「ただ、私の部屋リストバンドで溢れてるんだけど」
こんな風に赤也に限らず誰かがリストバンドくれることがよくある。
しかも、いつもお揃いだって言って。
全く・・・そんな風に言われて、私が断れないってこと知ってるのかな。
雅治と精市あたりは気付いてるね。
あと、蓮二も。
「別にいいじゃん?先輩だってテニスするし。使うでしょ?」
「・・・まぁね」
「うわっ、もう授業始まるじゃん」
「遅刻しないようにねー」
「先輩、行かないんッスか?」
「ん、サボリ」
「ずりぃー」
「赤也はダメだよ、一時間目英語でしょ。恐怖の」
「うっ・・・」
「また、後でね」
「・・・うぃース」
◇◇◇
全部先輩だから。
だから、俺だって笑っていて欲しい。
ずっと、そう思ってる。
そんな風に思えたのは先輩にだけ。
「あっいいもん発見」
購買で売られてるパックのジュース。
その中で目に付いたのは苺ミルク。
「オバちゃん、苺ミルク頂戴」
「はいよ」
「ありがと」
さーって、捜しましょうか。
これを嫌々ながらに受け取ってくれるだろう人を。
文句言いながらも、俺に笑顔を向けてくれる人を・・・
◇◇◇
「せんぱーい、見ーっけ!!」
「赤也?」
「コレ、あげる」
「何コレ・・・」
「先輩、さっきもそんな会話したッスよ」
「そーだね、学習能力ないなー赤也は」
「先輩もでしょ」
同じ会話してる先輩も同じだって。
でも、俺、同じ会話でも全然いい。
だって・・・先輩笑ってるし。
「とりあえず、コレもらってくださいよ」
「苺ミルク、ねぇ・・・」
「そ、先輩にぴったりでしょ?」
「嫌がらせにしか思えない。なんで苺ミルク持ってくるかなぁ?」
「えぇーいいじゃん、可愛くて!!」
「私は可愛い女じゃないよ」
「・・・そんなことないッス」
「はぁ?」
「先輩は可愛いッスよ」
「・・・ばぁーか」
† 笑うことが貴方に幸福をもたらしてくれる †
(先輩は可愛い!!何もかもが可愛いっス!!)
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