† 流れる血にあがらえない †
「ん・・・」
「目ぇ、醒めたか?」
「ここ、何処」
「病院」
「あー・・・そう」
「俺様に感謝しやがれ」
隣のベットに寝転がっている景吾。
こんな光景いつものこと。
景吾の血が、私の身体に入っている。
「いーの?スポーツマンが」
「ハッ、これくらいで俺様が倒れるわけねぇーだろ」
知ってる。
っていうか、侑士にいつも聞いてる。
私に輸血した後、景吾がよく貧血気味になってること。
でも、知ってて、何も言わない。
言っても景吾は何も変わらないこと、知ってるから。
「あは、でも今すぐテニスしたら倒れるだろーね」
「さぁ、どうだろうな」
「強がり」
「お前もだろ」
「同じ血ですから」
「そうだな」
景吾と私、性格結構似てる。
最も、私は景吾みたいに俺様じゃないけど。
「景吾、眠い」
「あぁ、寝ろ」
今回の血の輸血量も結構な量だったはず。
だってこうして病院に運ばれるくらいだし。
景吾がまだベットに横たわったままだし。
私の身体もダルイ。
「おやすみ、景吾」
「あぁ・・・」
それに、景吾は私が寝ない限り自分の身体を休めようとしない。
病院でも、家でも。
学校行って、部活して疲れてるはずなのに・・・
私がおやすみの言葉を紡がない限り、眠らない。
だから、いつも私からおやすみの言葉を言うの。
「・・・ありがと、景吾」
いつも、あなたの血で私は生かされている。
厄介な私。
それでも、手離そうとはしない。
景吾も、私も。
◇◇◇
俺の血でが笑うなら幾らでもやる。
全ての血でさえ構わない。
俺の体が動かなくなっても、構わない。
「あー眠」
「寝すぎだ、お前は」
「だってー・・・」
「・・・大丈夫か?」
「ん?何が?」
「頭」
「はぁ?」
「・・・・・・」
「大丈夫大丈夫、私の天才的な頭に問題はない!」
「まぁ俺様と同じ血が流れてるからな」
「うわぁー景吾、俺様すぎ」
「ハッだから俺様なんだよ」
「意味不明」
「やっぱ頭おかしくなってんじゃねぇーの?」
「景吾の頭もね」
血なんて幾らでもやる。
お前が笑っているなら。
俺とこうして会話を繰り返すならば。
それだけでいい。
それ以上は望まない。
「んー・・・とりあえず、起きて、明日の用意」
「出てた宿題はやっておいてやったぜ」
「マジ?ありがと」
「・・・・・・」
「ん?」
「明日」
「明日?」
「迎えに行ってやるから待ってろよ」
「えー、イヤ」
「何が不満なんだよ。あーん?」
「とりあえず、イヤなの」
は約束を嫌がる。
それは、きっと、絶対ではないから。
約束は、必ず守られるものではない。
「イヤだから」
「・・・わかってる」
「・・・・・・」
「寝ろ」
「ん、おやすみ・・・」
† 流れる血にあがらえない †
(俺は約束を違えない、絶対に。)
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