† 笑顔の方が数倍怖い †










「ねぇ、


「ん?」


「今、暇かな?」


「暇と言っちゃ暇」




授業中だけど。

っていうか、精市もサボってるし。

怒られても知らないよー?

ま、大丈夫か。

精市には黒魔術がある!!




「じゃあ付き合って」


「何処に?」


「スポーツ用品店」


「えぇー興味・・・」


「興味あるよね?」




精市、怖い。

笑顔で脅迫的デス。

はぁ・・・仕方ないなぁ。




「・・・アリマス、アリマス」


「そう、よかった」


「でも何でスポーツ用品店?」


「それは秘密」


「えぇー・・・」


「大人しく着いて来てくれたら後でクレープ食べさせてあげる」


「はーい」




別にクレープに釣られたわけじゃないけど。

精市と出かけるの楽しいし。

っていうか、授業中っていうの完璧無視っぽい?

まぁ、いっか。




「精市って優等生サンだと思ってたんだけどねぇー最初は」


「それはもだろ」


「まぁーね」


「別に今日サボっても何も支障はないよ」


「そうだね、今から出て行っても部活には間に合うもんね」




部活に間に合えば問題なし。

私も、精市も。

一応、優等生サンだから。

そ、例え・・・この手首が血だらけでも、優等生であることは変わらない。




「さ、行こうか」




















◇◇◇




















気紛れに連れ出し、少しでも笑わせる。

俺にはきっとこれしか出来ない。

でも、少しでもが笑っていられるのならそれで構わない。




「精市ークレープ、クレープ」


「まだスポーツ用品店に着いてないんだけど?」


「だってークレープ屋さん」


「はぁ・・・仕方ないなぁ」




のお願いには俺も敵わない。

お願いを叶えてあげれば、は笑う。

俺はには笑っていて欲しいと思っているんだ、いつも。




「いいよ、その代わり・・・逃がさないよ?」


「うわぁー精市、怖」


「逃げるつもりなら買ってあげない」


「はいはーい、逃げません、逃げません」


「じゃあ買いに行こうか」


「うん」





















◇◇◇






















「お兄さーん、苺のクレープ」


「はいはい、ちょっと待っててねー」


「精市は?」


は一人で全部食べれないだろ?」


「あー・・・ん、そうだね」


「はい、苺のクレープ」


「ありがと。じゃ、いただきまーす」




美味しそうにクレープを食べ始める

その姿は穢れることの知らない無垢な存在。

そう、でもそれは姿だけ。

の心は穢れを知っている。




、口に生クリームついてるよ」


「え、どこー?」


「ここ」




口元についていた生クリームを指で拭ってあげれば、または笑う。

穢れを知っていても、笑えるから。

俺はが笑うのなら、何でもしてあげられるよ。










† 笑顔の方が数倍怖い †

(そんな君だから、傍にいたいと思うんだ。)



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