† 君は、変わってしまったよね †
「もう無理じゃ」
「どうしてよ!!」
「・・・・・・」
「雅治のバカっっ!!」
ひとりの女と別れた。
別れることなんて慣れてたはずなのに・・・
何故か胸が痛む。
きっと・・・の優しさに触れてしまったから。
「・・・・・・ごめん」
謝った。
初めて自分が悪いと思った。
今まで自分の勝手で女と付き合って別れてきた。
それが当たり前だという気分でいた。
だから、謝るなんてことこれが初めて。
「・・・・・・もういい」
「・・・・・・」
「雅治のそんな表情初めて見た」
なんて言われた。
自分がどんな顔してるかなんてわからない。
「・・・好きな人できたでしょ?変わったもん、雅治」
「・・・・・・」
「その人が雅治のこと幸せにしてくれる人ならいいね」
「・・・・・・」
「最初、雅治と付き合えてすごく嬉しかった。でも、雅治の心が私には見えなかった」
「・・・・・・」
「今も私には雅治の心は見えないけど・・・表情が優しくなったのはわかるよ」
「・・・・・・」
「今までありがとう」
ありがとうと言った。
俺は酷い男。
俺の勝手で付き合って勝手に別れたというのに・・・
それなのに、ありがとうと言った。
「・・・・・・知っとったん?」
「何を?」
「俺がお前以外の女とも付き合ってたこと」
「知ってたよ」
「じゃあ何で付き合ってたん?」
「・・・・・・雅治が好きだったから」
「・・・・・・」
「私以外に彼女がいることは知ってたよ。もしかしたら雅治の一番になれるんじゃないかって思ってたから」
「・・・・・・ごめん」
「・・・やっぱり変わったね」
「・・・・・・」
「雅治からそんな言葉が聞けるとは想わなかった」
「・・・・・・」
「雅治の一番の人ってどんな人?」
「初めて俺が本気になった女」
興味を持ったのも初めてで・・・
本気になったのも初めて。
という名の癒姫。
「そっか・・・雅治にそんな顔させる人だもんね、もう付き合ってるの?」
「まだじゃ」
「じゃあ頑張れ」
「サンキュ」
「バイバイ、仁王くん」
癒姫が俺のものになるとは到底思えない。
俺は酷い男だから・・・
酷い男に癒姫は似合わない。
でも、好きなんじゃ・・・
† 君は、変わってしまったよね †
(・・・俺は癒姫に恋をしている。)
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