† たとえ世界の果てに居たって、君のことを見つけてみせる †
「遅すぎる!!」
休憩中で特に話すこともなく黙っていた俺たちの前で・・・
がキレた。
「何で帰ってこないのよ!!」
「、とりあえず落ち着いて」
「落ち着いていられるはずないでしょ!!」
そりゃそうだ。
曰く・・・買出しに出かけたが帰って来ないらしい。
もう日も落ちてしまってもうすぐ真っ暗という状況になることは目に見えている。
「探しに行って来る!!」
「待って、」
「どうして止めるのよ、幸村?!」
「はここで待っていること」
「・・・どうしてよ」
「危ないだろ?」
幸村の言うことは最もで、間違っていない。
が行方不明で、も行方不明という状況になったら大変じゃからね。
「が心配なのはわかる。でもね・・・もしを探しに行って次はが行方不明になったら誰が一番心配すると思う?」
「・・・」
「そう、だからはここでの帰りを待っていてあげて」
「・・・わかった」
「じゃあとりあえず・・・を探しに行こう」
懐中電灯を片手にを捜し始める。
全く・・・どこに行ってしまったんじゃろうね、お姫様は。
◇◇◇
「もう、ここはどこなのよー」
買出しに出かけて、帰り道に見事に迷子になってしまった。
しかも電波がなくて携帯は繋がらないし・・・
みんな心配してるかな・・・
「こんなことになっちゃうなら誰かに一緒に来てもらえばよかったー・・・」
買出しに行くと伝えた時、みんな一緒に行ってくれると言ってくれた。
でも、断ったのは私。
だって・・・みんな頑張って練習するために合宿に来たってこと、ちゃんと知ってるから。
だから断った。
「暗くなってきちゃったー」
気が付いたらあたりはもう真っ暗で、何も見えない。
「・・・怖いよー・・・」
一度怖いと感じたらどんどん怖くなってきてしまう。
風の音ひとつで震えてしまっている自分がいる。
「雅治くん・・・」
紡いだのはあの人の名前。
最後まで一緒に来てくれると言ってくれた人。
すごく優しい彼。
「助けて・・・」
日差しに負けそうになった時、頭からタオルをかけてくれたり・・・
自分のドリンクを飲ませてくれたり・・・
本当に優しい彼。
まだ、話をするようになって長くないのにね・・・
◇◇◇
「!!」
「・・・雅治、くん・・・?」
木に凭れかかって小さくなっている彼女。
頬には涙の痕が見える。
「・・・大丈夫か?」
「うん・・・ごめんね」
「怪我とかしちょらん?」
「大丈夫・・・探しに来てくれたの?」
「当然じゃろ」
「・・・ありがとう」
心配した。
自分でもわからないくらい、心配した。
こんな思いをするのは初めて・・・
「でも、迷ったん?」
「・・・はい」
「携帯は圏外じゃもんね」
「うん、困っちゃった・・・」
俯いたまま答える彼女。
その声には僅かに震えが感じられる。
・・・・・・怖かったんじゃね。
「もっと早く迎えにいけなくて、ごめん」
「え?」
「やっぱり一緒に行けばよかったのぉ・・・」
「雅治くんのせいじゃないよ」
「でも・・・」
「雅治くんは悪くないの、迷っちゃった私が悪いんだもん」
俺の手を取り、俺に視線を向ける。
その瞳は強くて、あまりにも俺には眩しすぎる・・・
「・・・・・・」
「探しに来てくれてありがとうね、雅治くん」
「が無事ならよかよ」
本当に、無事でよかった。
この気持ちは作ったものでも、何でもない・・・俺の本心。
◇◇◇
「ー!!!」
「ちゃんー!」
「よかった・・・無事で・・・ッ!!」
「ごめんね、ちゃん・・・」
「もう絶対!これからは一人に買出しに行かせたりしないから!!」
抱きしめてくれるちゃん。
本当に、すごく心配してくれてたんだ・・・
心配かけちゃってごめんなさい。
「無事でよかったよ、本当に」
「精市くん・・・」
「怪我とかしてない?」
「うん、大丈夫」
頭を撫でてくれる精市くん。
精市くんもすごく心配してくれてたんだ・・・
「でも、よくを見つけられたね。仁王」
「何となく・・・声が聞こえた気がしたんじゃよ」
え・・・?
声、届いてたの・・・?
「だから、見つけた」
あの時、一人で怖くて・・・
思わず雅治くんの名前を呼んでしまった。
その声が・・・届いていたの?
「無事でよかったのぉー」
なんて私に笑顔を向けてくれる。
その笑顔はすごく眩しくて・・・
なんだろう・・・ドキドキする。
こんな想い、初めて・・・・・・
† たとえ世界の果てに居たって、君のことを見つけてみせる †
(・・・この想い、人は、恋と呼ぶのかな。)
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