† 優しい貴方の照れた声 †










「おはよう、サン」


「あっおはようー仁王くんー」




登校中の声をかけてみる。

思ったとおり、笑顔で返答の言葉が返ってくる。




「一緒に行ってよか?」


「一緒に行っていいのー?」


「俺が聞いてるんじゃけど?」


「あっそっかーうん、じゃあ一緒に行こうー!」




横に並ぶ。

こういう場合大抵の女は腕を絡めてきたりする。

しかし・・・やっぱりサンはそんな行動はしないんじゃね。




「どうしたのー?」


「ん?何もないよ」


「仁王くんっておっきいねー」




サンが俺を見上げる時自然に上目遣いになる。

・・・・・・。

普通に、可愛いと思えた。

上目遣いに俺を見てくる女なんてたくさんいた。

でも・・・正直、可愛いなんて思えんかった。




「・・・仁王くんー?」


「可愛いのぉー」


「え?!」




不意に言ってしまった言葉。

その言葉を聞いたサンの顔。

真っ赤じゃね・・・




「おはよー


「あっちゃんーおはよー」


「ん?、顔赤いよ?どうしたの?」


「え、えっと・・・そのー・・・」


「詐欺師!に何したわけ?!」


「別に・・・可愛いって言っただけじゃけど?」




一瞬、の顔が固まった。

そんなに俺が可愛いって言うのが意外か?




「・・・アンタが言ったの?」


「そうじゃ」


「確かには可愛いけどねー」




も認めとるんじゃね。

サンは別に顔が悪いわけでもない。

寧ろ、可愛いほうに分類されると思う。




「わ、私可愛くないよー!!・・・でも、ありがと」



「「・・・・・・」」



「やっぱりは可愛いわー!」




とりあえず、今にもサンに抱きつきそうなの横で頷く。

自分のことを可愛くないと言う女もたくさんいる。

しかし、大抵の女にはその言葉にわざとらしさが感じられる。

でも・・・サンにはわざとらしさも感じられん・・・

あいつ等が言うとおり本当に・・・良い子なんじゃね・・・




















◇◇◇





















「あっそうじゃ・・・サン」


「なにー?」


「アイス、好き?」


「好きー!」




予想通り。

何となく・・・甘いものとか好きそうじゃもんなー。




「じゃあ今日一緒に食お?」


「うんー?よくわからないけどー」


「昼休み、約束な?」


「うんー」


「迎えに行くから、待っちょるんじゃよ」


「はーい」




何となく約束した。

遊びのつもりもない。

俺から約束するなんて珍しいしなー。

柳生が聞いたらびっくりするじゃろね。




















◇◇◇





















「幸村!ちょっと聞いてよ!!」


「どうしたの、のことで何かあった?」


「あの仁王が・・・詐欺師が・・・を誘ってた!!」


「え?」




正直、驚いた。

あの仁王がね・・・

仁王と言えば女泣かせで有名。

・・・・・・は知らないと思うけど・・・




「しかも・・・のこと可愛いって・・・!!」


「仁王ものことが気に入ったのかな?」


「あれは気に入ったってレベルじゃない!!」




つまり・・・好きということかな?

仁王がを・・・か。




「ふふ、困ったね」


「あたしの可愛いが・・・!!」


「とりあえず、様子を見なくちゃいけないね」


「幸村!部長の権力でどうにかしてよ」


・・・いくら俺でもそんなことは出来ないよ」


「嘘吐き、黒魔術でも何でもするくせに」


「・・・・・・」


「まぁ・・・限定って知ってるけどさ」


「ふふ、もかけられたいのかな?」


「冗談、あたしたちは仲間でしょ?」


「・・・まぁね」




を守るという意味で仲間。

俺たちにとっては大切な存在。

だから・・・




「まだ仁王には渡したくないね」


「そうよ・・・ってまだ?!」


「そう。仁王がどういうつもりなのかもイマイチまだわからないから」


「あの仁王が女の子に興味持つこと自体珍しいもんね」




確かに珍しい。

あの仁王・・・だからね。

仁王とは一年の時からの付き合いだけど・・・女の子に興味を持つなんて多分初めて。

以外の女の子に話しかけてるところも見たことないしね。




「昼休み邪魔する?」


「昼休み?」


「そう、詐欺師がを誘ってたのよ」


「昼休みに何するつもりなのかな?」


「アイスだって」


「アイス?」


「そ、一緒にアイス食べるんだって」




・・・仁王がアイスなんて珍しい。

そういう甘いものは丸井専門だからね。




「そうだね・・・とりあえず近くで見ていようか」


「賛成」










† 優しい貴方の照れた声 †

(まぁいざとなったら・・・権力なり黒魔術なりなんでも使うけどね。)



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