† あの光は私には眩しすぎるのです †










「・・・・・・幸村と・・・?」




サンの両隣にいるのは・・・

テニス部部長、幸村精市とテニス部マネージャー、

両方とも俺がよく知った奴ら。




「仁王、どうしたの?」


「詐欺師が珍しいね」


「・・・柳」


「何だ?」


「ガードってこいつ等か?」


「あぁ、そうだ」


「で、仁王何の用?」


「俺が用があるのは・・・サンにじゃ」



「「に?」」




・・・・・・睨まれた。

しかも二人が俺を見た一瞬だけ。

今はサンのほうを向いてニコニコしちょる・・・




「・・・手強いだろう?」


「・・・あぁ」


「ねぇ、・・・仁王なんて知らないよね?」


「仁王くんー?」


「知らないよね、は!!詐欺師のことなんて知らないよね?」


「知ってるー」



「「・・・・・・!!!!!!」」



「・・・柳、ちょっとのことお願いね」


「参謀、手は出さないでよ」


「あぁ」


「仁王、ちょっとおいで」




幸村の涼しげな笑顔が見えたかと思えば・・・

に引っ張られていく。

さすがウチのマネージャー・・・怪力じゃのぉ・・・




















◇◇◇





















「仁王、どういうつもり?」


「どういうつもりとは?」


のことよ!!」


「・・・・・・に興味があるの?」


「あぁ、興味津々じゃ」



「「・・・・・・」」




幸村とがガードしてるってところで尚更。

より興味が湧いた。

癒姫と呼ばれる女に。




「仁王」


「・・・なんじゃ?」


「遊びでには近づかないでくれ」


「・・・・・・」


はね・・・本当にいい子なのよ」




二人の真剣な顔。

サンに近づいたのはただ興味が湧いたから、ただそれだけ。

別に遊びのつもりはない。




「そんなにサンが大切なん?」



「「大切だよ」」



「・・・・・・」




口を揃えて言う二人。

その表情は真剣なもので・・・何も言えない。




「・・・遊びのつもりはなかとよ」


「それならいいけどね」


「でも、詐欺師が女の子に興味持つなんて珍しいよねー」


「そうかのぉ?」




柳生にも柳にも言われたような気がするのぉ・・・

確かに、珍しいかもしれん。

女なんて寄ってくれば相手にしてた、ただそれだけ。

自分から話しかけるなんてことはしない。

それこそ、以外は。




「でも、どうしてに興味持ったわけ?」


「何となく」



「「・・・・・・」」



「でも、傷つけるつもりはないぜよ」




傷つけるとか、遊びとか・・・

自然にそんな言葉は頭に過ぎらなかったというのが本音。

自分とは全く違う存在。

自分にないものを持つ女。




「傷つけるようなことがあったらあたしが許さないから」


、俺も許さないよ」




真剣な二人の顔。

こいつ等にとってサンは本当に大切な存在で・・・

二人は彼女を守っている。

理由は全くわからないけど。




「どういう関係なんじゃ?」


と?」


「そう」


「うーん・・・に守られてるのよ、あたしたちは」


「守られてる?」




の口から出た言葉は意外なもの。

サンがこいつ等を守ってる・・・?

守られてるじゃなくて、守っている?




「そう、守られてるんだよ」


「・・・・・・よくわからん」


「・・・だろうね」


「柳はわかっちょるん?」


「多分ね、柳も守られてると思うよ」




柳も守られてる?

余計にわけがわからん。




「アンタもそのうちわかると思うよ」


「そうなんかのぉー?」


「さ、そろそろ戻ろうか」


「そうだね」




















◇◇◇





















「あっ話終わったのー?」


!参謀に何もされてない?!」


、俺は何もしていない」


「アンタに聞いてない、に聞いてるの」


「蓮二くんにねー飴もらったのー!」


「そっか、よかったね」


「うんー!」




やっぱりサンはよくわからん。

飴ひとつで喜んで・・・お子様か?

しかし・・・ただのお子様がこいつ等を守る?

考えても無駄じゃな、きっと。




サン」


「はーい?」


「俺は仁王雅治じゃ」


「うん、知ってるよー?」


「よろしくな」


「よろしくーあっ私はですー」




よろしく、と手を差し出されてその手をとる。

そういえば・・・握手なんて久し振りにしたのぉー。

試合のとき以外にすることなんて殆どない。

そもそも、女が話しかけてきて握手なんてした覚えもない。

大体は俺のことをカッコいいだの、賛辞の言葉を述べて告白してきて・・・

遊んでおしまい。




「仁王、そろそろ戻った方がいい」


「そうじゃな」




参謀の言葉に促されて教室を出る。

その際にもサンは手を振っている。

あの、自然な笑顔。










† あの光は私には眩しすぎるのです †

(少し眩しすぎるくらい。)



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