† 後悔、していますよ †
「・・・が窓から落ちたらしい」
部活が始まる前。
息切れするほどのスピードで走ってきたのだろう跡部部長がそう言った。
先輩が窓から落ちた・・・・・・と。
「何やて?!」
「今病院にいるらしい」
「早く行こうぜ!!」
立ち上がってドアの前までもう行っている向日さん。
「先輩の状態は?!」
跡部部長に詰め寄る鳳。
「・・・・・・危険な状態らしい」
危険な状態を物語っている跡部部長の顔。
本当はここに来るよりも先に病院に向かいたかったって顔をしている。
「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」
「強制はしねぇーよ。行きたい奴だけ行けばいい」
「・・・・・・俺たちは行ってもいいのかな・・・?」
俺の隣にいた芥川さんが呟いた。
確かにそうだ。
先輩はまだ俺たちが見えていない。
壊れた人形だから・・・・・・
「いいに決まってるだろ!!」
「疑問がある奴は行くな」
突き放すような言葉。
だけど・・・確かにその通りだと思う。
疑問を感じるということは心が乱れているということ。
そんな状態では行っても意味がない。
「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」
「じゃあな」
「跡部は行くん?」
「当たり前だろ」
「そうやな・・・俺も行くで、姫さんが心配やし」
「俺だって行くからな!!」
「俺も行くぜ、が心配だからな」
どんどんと出て行く先輩たち。
残ったのは芥川さんだけ。
「・・・どうするんですか?」
「・・・・・・行くよ、ちゃんが心配だし・・・傍にいたいから・・・」
芥川さんの瞳には疑念は感じられなかった。
答えは決まったらしい。
今から俺たちはあなたの傍に行きます。
だからどうか・・・無事でいて下さい。
◇◇◇
「おはよー若」
「おはようございます」
「毎日寒いよねぇー」
「マフラーも手袋もしてるのに寒いですか?」
「うん、寒いよー」
「・・・仕方ないですね、どうぞ」
「マフラー貸してくれるの?」
「寒いのでしょう?」
「うん」
「二重に巻けばちょっとはマシでしょう」
「若は?」
「俺は今から動くので平気です」
「そっかぁ・・・うん、じゃあ借りちゃうね。ありがとう」
◇◇◇
「先輩・・・・・・」
いつもみたいに先輩のクラスに行った。
少しでも、ほんの少しでも笑ってくれたらそれでいいと思ったから・・・
笑ってくれなくてもいい。
ただ先輩の顔が見れたらそれでよかった。
でも・・・俺が行った時先輩は外を見ていた。
外は青空だった。
綺麗な綺麗な青い空。
そして・・・先輩は落ちた、窓から。
「何で俺はもうちょっとはやく先輩のところに行けなかったんだろ・・・」
俺がもうちょっと早く行っていれば落ちた先輩の手を掴めたのに・・・
「赤也、お前のせいじゃねぇーよ!」
「そうじゃ、俺のほうがに近かった。それやのに手を掴めんかった」
「でもっ!」
先輩を見たのは俺が最後だった。
先輩の教室のドアから落ちる瞬間を見た。
見てしまった。
◇◇◇
「チィーッス!先輩、来たっすよー!」
「何じゃ赤也、また来たんかい」
「別に仁王先輩に逢いに来たわけじゃないっすよー。センパーイ!空じゃなくて俺を・・・・・・先輩っ!!」
◇◇◇
俺のせいかもしれない。
俺が突然声をかけたから驚いて落ちてしまったのかもしれない。
俺のせいだ。
俺のせいだ。
俺のせいだ・・・・・・
「切原くん、あなたのせいじゃありませんよ」
「俺のせいっすよ・・・・・・っ」
「そんなこと言うなよ!!」
「・・・丸井先輩・・・」
「お前のせいじゃない!お前のせいのはずないじゃん!そんなこと言ってたらが傷つく」
「・・・・・・」
「絶対に言うなよ。に”自分のせい”だなんて絶対に言うなよ!!わかったなっ!?」
「・・・はい」
丸井先輩の気持ちがわかる。
確かにそうだ、あの人は本当に繊細で傷つきやすい人だから。
俺が自分のせいだと言ったらきっと「違う」って言う。
そして傷ついてしまう。
俺だって先輩を絶対に傷つけたくない。
絶対に。
絶対に・・・・・・
まだ先輩は目覚めない。
お願いだからはやく、目覚めて下さい。
「先輩・・・・・・」
お願いだからはやく目覚めて。
笑顔じゃなくてもいい。
† 後悔、していますよ †
(お願いだから、はやく、目を覚ましてください・・・・・・)
SEO
掲示板
[PR]
爆速!無料ブログ
無料ホームページ開設
無料ライブ放送