† 君と一緒にずっと生きたかった… †
「何をしている」
「手塚・・・・・・」
「菊丸に・・・?!」
何故お前がここにいる?
一体、何故・・・?
「ごめん、俺、戻るにゃ」
「あ、あぁ・・・・・・」
「・・・ごめんにゃ、ちゃん・・・・・・・」
そう言い去っていく効く丸。
雨の中残されたのは俺と・・・・・・
「とりあえず室内に入ろう」
頭から水に被ったように雨に濡れているの頭に自分のジャージを掛けてやる。
「風邪をひくといけないからな」
今の彼女には俺の姿が見えているのだろうか・・・
壊れた人形といわれる彼女に・・・
見えていなくても構わない。
ただ、目の前の少女が俺を拒絶することが無いのならば・・・・・・
◇◇◇
「国光、別れよ」
「・・・何故だ?」
「あのね、国光には私は重荷になっちゃうの」
「・・・・・・」
「テニスを大切にして」
「・・・・・・」
「大好きだよ、国光のこと。でもね、テニスを大切にして欲しいの。テニスをやってる国光がすごく素敵だから」
「・・・・・・」
「勝手なこと言ってごめんね、本当に大好きだよ、国光」
「・・・・・・」
◇◇◇
「・・・何故ここに来た?」
自分から進んでここに来るとは思えない。
ここには菊丸がいる。
「・・・頼まれたの、渡して欲しいものがあるって・・・・・・でも、渡せなかったの」
油断すれば聞き逃してしまいそうな声で発せられた言葉。
「渡すものとは?」
「・・・これ」
目の前に差し出されたものは封筒。
差出人は「」
菊丸に宛てられた手紙。
「ふたりはね、お手紙とかも送りあってたみたいなの。これががポストに投函し忘れちゃった手紙、あの日に出そうとしていたみたい、なの」
「・・・・・・」
「これを、菊丸くんに渡して」
「・・・わかった」
「ありがとう、国光・・・・・・さよなら」
それだけ言い、は帰って行った。
俺には止めることが出来なかった。
◇◇◇
「菊丸」
「・・・ちゃん、帰った?」
「あぁ」
「・・・・・・」
「これを預かった」
「何だにゃ?」
「お前宛の手紙だ」
「・・・・・・?!」
「あの日投函し忘れてしまったものらしい」
「・・・わざわざこれを届けにきてくれたのかにゃ・・・ちゃん・・・・」
「あぁ、そうらしい」
「・・・・・・ちゃんに俺、悪いことしちゃったんだよにゃ・・・」
「・・・・・・誰も悪くないだろう」
そう、誰も悪くは無い。
人間として、当然のこと。
菊丸が抱いている感情も。
が抱いている感情も・・・・・・
† 君と一緒にずっと生きたかった… †
(誰も悪くないんだ。)
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