† 理論では説明出来ない気持ち †










目が覚めた部屋は私の知らない部屋でした。




「目醒めたけえ?」


「仁王、くん?」


「そうじゃ」


「ここ、仁王くんのお部屋?」


せんぱーい!!」


「・・・赤也?」


「俺もいるぜぃ!」


「・・・全員居るじゃろーが」


「ちなみに柳生と柳とジャッカルと真田は朝飯係だぜぃ☆」


「あっここは仁王先輩の部屋っすよ!」


「どうして私はここにいるの・・・?」


が目を覚まさなかったけん、連れてきた」


「あっさっき新聞取りに行かされた時にコレ、預かってきたっす」


「コレ、何?」


「さぁ?なんか今日の朝届けられたみたいっす。管理人さんが渡してくれって」




赤也に渡されたのは少し大きめの封筒。

中には手紙がふたつ。




















◇◇◇





















ちゃんへ



突然ですが、私達は引っ越すことになりました。

跡部くんから訊きました、あなたが気に病んでしまっていると・・・

でも、私達はあなたを恨んではいません。

だから・・・の分まで生きて。

あの子は本当にちゃんのことが大好きだったわ。

だからあの子の分まで生きて・・・・・・


もうひとつの手紙はから彼への手紙です。

申し訳ないけど、ちゃんから渡してあげて下さい。

それではお元気で。
























◇◇◇





















「誰からじゃった?」


「私、行かなきゃ・・・・・・」


「行くって何処へ?!」


「行ってくる」


「ちょ、ちょっと待てよ!!」




行かなきゃ。

の手紙を渡しに。

行かなきゃ・・・・・・




















◇◇◇





















見てみて!青学レギュラー勢ぞろい!」


「あっもしかしての彼氏さんがいる?」


「そう!この人だよー菊丸英二」


「・・・あれ?国光がいる・・・」


「国光?」


「うん、手塚国光ー」


「手塚くんって言ったら有名じゃん、どういう関係?」


「元彼」


「アンタって手塚くんと付き合ってたんだ・・・」


「だいぶ前の話だよー」


「おい、今の話本当か?」


「跡部盗み聞きはいけないぞ!!」


「いいから答えろ」


「もう景吾どーして怒ってるのー?あっちなみに今の話は本当だよー」


「・・・・・・」


「ははっ!跡部がヤキモチー!」


「黙れ!!」


「どーして景吾がヤキモチー?」




















◇◇◇





















!」


「・・・・・・サエ、ちゃん?」


「やっぱりだね!久し振りだね、元気だったかい?」


「・・・・・・」




やっぱり様子がおかしい。

あの頃と同じなら、俺に笑顔を向けてくれるはずだ。

でも、今のには笑顔がない。

あの頃の笑顔がない。




「・・・・・・・・・何があったの?」


「サエちゃん・・・っ」


「泣いてるの?少し落ち着こう?」


「サエちゃん、あのね、私ね人殺しなの。大好きだった親友がね、私のせいで死んじゃったの」


「・・・・・・」


「だからね、誰かに私の罪を裁いてもらわなきゃいけないの。ねぇ、サエちゃんは私を裁いてくれる?」




親友が死んだ?

のせいで?

の罪?

を裁く?

俺にはよくわからなかった。




「・・・・・・ごめん、俺にはを裁くことなんて出来ないよ」




何があったのかもわからない。

でもきっと、俺はを裁くことなんて出来ない。




「・・・・・・サエちゃん・・・」


「泣かないで、




どうか泣かないで。

君は俺の大切なお姫様なのだから・・・・・・




「・・・ごめんね、サエちゃん。私もう行くね」




俺には止めることが出来なかった。

ただ少しわかったこと、はあの頃のとは変わってしまったということ。

そして・・・誰かが言ってた、壊れた人形になってしまった・・・と。

全くその通りだということが・・・・・・

去っていくを見送りながら電話を掛ける。

相手は「千石清純」。

彼は交流の幅が広いと訊いたことがある、彼なら知っているかもしれない。

に何があったのか・・・




「あっもしもし、俺、六角の佐伯だけど」


「あー佐伯くん、どーしたの?」


「君はのこと知っているかな?」


ちゃん?ちゃん?」


「そう、


「・・・・・・君はちゃんとどういう関係なの?」


は六角に通っていたんだよ」


「・・・なるほどね、じゃあ君は笑顔の頃のちゃんを知っているんだね」


「そういうことになるかな」


「わかった、じゃあ話をしよう。明後日、六角に行くよ」


「うん、よろしく」




電話は切れた。

これで少しはわかる、に何があったのか。

逢わなかった数年間にに一体何があったのか・・・・・・










† 理論では説明出来ない気持ち †

(君の笑顔が見れなかったことが辛い。)



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