† 君の思いは通じているよ †










「はよ、


「・・・・・・仁王くん?」




ドアの前にいたのは仁王くん。

昨日もここまで送ってくれたのは彼。

どうして、そんなに優しくしてくれるの・・・?




「そんなに遅く出てきて遅刻しても知らんよ?」


「待っててくれたんですか?」


「昨日言ったじゃろ」


「・・・・・・」




昨日?

話をした。

それなのに・・・彼は私を待っていてくれたの?




「マンション出たらわかるぜよ」


「え・・・?」




出口のところに沢山の人。

見たことがある人たち。




「おはよーございます!先輩!」




赤也・・・




「おはようございます」




柳生くん・・・




「遅いぜぃ☆」




ブン太・・・




「この時間だと少し急がねば遅刻する確立87%」




柳くん・・・




「はよ」




ジャッカルくん・・・




「おはよう」




真田くん・・・




「どうして・・・?」




どうして、あなたたちは・・・

私に優しくしてくれるの・・・?




「昨日言ったじゃないですか!俺が先輩に幸せをあげますから!」


「私達は別に約束をしたわけではないのですよ」


「そうそう!を迎えに行こうとしたらなんかみんな集まってたんだぜぃ!」


「わざわざ昨日丸井先輩から先輩の住んでるとこ訊きましたからね」


「全員からメールが着たからビックリだぜぃ☆そんだけ愛されてるってことだな、よかったじゃん!」


「はやく行きましょーよ!本当に遅刻しちゃいますよ!」




















◇◇◇





















俺は何となく氷帝に来ていた。

昨日ちゃんに逢ったから。

跡部くんに逢ったから・・・




「やっぱでかいなーさすが氷帝」




ここは、あの子が通っていた場所。




「跡部くんたちいるかなー?」




やっぱり話したいと思う。

ちゃんと、彼らの気持ちも聞きたい。

あの時の気持ちじゃなくて、今の気持ち。




「立海はちゃんにとって優しい場所だといいな・・・」


「千石やん、どうしたん?」


「あー忍足くんだね!ちょうどよかったよ」


「何しにきたん?」


「ちょっと話をしに」


「・・・・・・まぁ部室に来いや」


「うん」




彼らは今、どう思っている?

跡部くんの気持ちは少しはわかった。

なら、他の彼らの気持ちは?

俺が彼らの気持ちを知ってもどうにかなるわけではないこともわかる。

でも、少しでも・・・ちゃんが笑えるようになるのなら。

俺だって協力するよ。




「跡部、客や」


「どーも、跡部くん」


「千石・・・」


「昨日ぶりだね」


「何しに来たんだよ」


「ちょっと話をね」


「・・・・・・忍足、アイツ等を呼べ」


「わかった」


「ピリピリしてるねー跡部くん」


「うるせぇー」


「まぁ、わかるからいいんだけどね」




彼はきっと悩みすぎてしまったんだ。

ちゃんのことを・・・




「・・・・・・」


「連れてきたで」


「とりあえず、座れ」




来たのはあの時と同じメンバー。

彼らからちゃんに対する気持ちを訊いた時と・・・

あの時の彼らはまだ全てを受け止めることが出来てなかった。

それは当然。




「単刀直入に言うよ。今の君たちの気持ちが聞きたい」


「俺は・・・姫さんにもう一度笑って欲しいねん。別に俺に向かってやなくてもええ、ただあの姫さんには幸せに笑っててもらいたいんや」




初めに声をあげたのは忍足くん。

彼の瞳はあの時とは違う。




「俺は・・・ちゃんにまた戻って来てほCー。前みたいに膝枕してもらいたEー!」




芥川くん。

彼も変わった。




「俺だって!あの時の・・・楽しかった時に戻りたいぜ!」




向日くん。

彼もまた・・・前とは違う。




「・・・・・・アイツがまた笑える場所があるならそれでいーんじゃねぇーか?」




宍戸くん。

彼もちゃんと変わっている。




「良かったね、君たちはちゃんとわかっている。って俺が言うのもなんか変だね」




みんなちゃんのことを本当に愛しいと想っている。

あの時は愛しいという想いと、もうひとつの想いが混ざっていた。

でも、今は違う。

彼らは変われている、でも・・・

ちゃんはまだ・・・




「でも、まだちゃんには逢えないよ」


「何で?!」


ちゃんがまだ、自分を責め続けているから・・・」




短い時間だったけど、わかった。

彼女はまだ、自分を責め続けている。




「千石さん」


「ん?何かな?」


「俺だって、先輩に戻ってきて欲しいと思います」


「うん、君たちはね、あの時も同じ言葉を言っていたよね」




ちゃんへの気持ちを上手く表現できていなかったのは3年生だけ。

ここにいる、鳳くんや日吉くん、樺地くんはちゃんとわかっていた。

それはきっと・・・過ごしてきた時間の違い。

でも、それは悪いことじゃないんだよ。




「今のこの場所はきっとちゃんにとって優しいものだね」




あとはちゃんの心が戻ればいい。

自分を責め続けるだけじゃなく、ちゃんと前に進めるように・・・・・・










† 君の思いは通じているよ †

(前に進んでいいんだよ?)



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