† 初めから強い人間なんてどこにもいない †










「景時ーホントにこの道で望美ちゃんご一行と合流できるのー?」




景時と走ってるのはまるで獣道。

っていうか、獣道。

抜け道っぽいといえば抜け道っぽい。




「大丈夫だよー・・・多分」




その最後の多分って言うのが気になります。

合流できなかったら大変大変。

景時にもせっかく協力してもらえることになったのにー。




「あーとりあえず、弁慶が怖いー」


「俺は朔が怖いよー」




さっきも同じような会話を交わしたなぁ・・・

なんていうか、これもきっと幸せなんだろうな・・・

今、この状況で考えるのは不謹慎だね。




「お説教はヤダなー」


「同感ー」


「あっ政子さん、気づいてるかなぁー?」


「んーどうだろうねー?」


「まぁ・・・頼朝のところにみんなで着くころに戻ってきてくれるといいなー」




一番重要なのはみんなでってこと。

これが一番大切だよねー。

とりあえず、それまで鎌倉の軍勢を平泉のみんなに守ってもらわなくちゃだね。

泰衡、ごめん。

先に謝っとく!!

荼吉尼天の動きは予測不可能です。




ちゃんってやっぱり強いね」


「え?」


「本当に強くて素敵な人だよ」


「あははー褒めても何も出ませんよー」


「あははー」


「さーってと!とりあえず、前進あるのみ、だよね?」


「うん、真っ直ぐ真っ直ぐ前進だよー」


「んーじゃ、みんなの幸せのために頑張りますか!」


「お供しましょう、女神様」




















◇◇◇





















「・・・あぁ、わかった」


「熊野の烏ですね」


「望美!」


「どうしたの?ヒノエくん」


「もうすぐ女神様が追いついてくるぜ!」


「女神様・・・ってさんが?!」


「あぁ!今、熊野の烏が報告に来た」


「神子様、よかったですね」


「うん!」




銀の、・・・さんの言葉を信じていなかったわけじゃない。

でも、自信がなかった。

絶対に大丈夫っていう証拠が欲しかった。




さんが追いついてくるってこともわかったし・・・前に進もう」




待ってるだけじゃ駄目。

私たちはさんとの約束通り前に進まなきゃいけないんだ。

立ち止まってなんていられない。

だから、さん、景時さん・・・私たちは先に行くからね。

ちゃんと追いついてきてくれないと駄目だからね・・・!




「行こう、みんな!」










† 初めから強い人間なんてどこにもいない †

(私・・・私たちはきっと強くなったんだ。この運命で。)



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